九郎

八紘共栄圏を目指して

第812話 『純正の後継者問題』

文禄四年三月二十五日(1595/6/11) 諫早城 御年四十五となる関白太政大臣小佐々平九郎純正は、重度の健康オタクである。 目の前に並べられた食事は……。 ・青魚(サンマ、アジ、イワシ、サバなど) ・緑黄色野菜(ほうれん草、にんじん、かぼ...
東アジアの風雲

第791話 『条約締結と新しい秩序』

文禄二年二月八日(1593/3/10)諫早城「御苦労様でした、叔父上」 居室でくつろいでいた純正に報告をしている政直であったが、公務以外のときは叔父と甥である。「いやいや、まさかわしがあの明国との交渉にあたるとは……考えもみんかったわい」「...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第299話 『帰途』

文久二年九月二日(1862年10月24日) 上海沖「もうちっと居たかった気もするが、仕方ねえか」「晋作さん、仕方ないですよ。御家老様と御公儀からの命となれば、逆らえません」「そうか……僕にとっては狭い日本より随分と暮らしやすいと思うのだが…...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第298話 『埠頭の攻防とそれぞれの思惑』

文久二年九月一日(1862年10月23日) 夜 上海 埠頭ふとう「rukko! eh log chor nahin! (待て! ちょっと! 人たち、あれ、犯人、違う!)」「おお晋九郎! 遅いぞ! 何やってたんだ!」 息を切らしながら説明して...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第297話 『謎の男、その正体と目的』

文久二年九月一日(1862年10月23日) 夜 上海 埠頭ふとう バシャ! バシャ! バシャ! 「おいおいおい……こりゃあ御家老様が襲われた時よりひどいじゃないか」 騒ぎが収まるまで待っていたのだろう。 銃声がやみ、清国人(紅幇ほんぱん)数...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第296話 『租界潜入』

文久二年九月一日(1862年10月23日) 上海 イギリス公使館「失礼します」 明らかにそれと分かる風貌の男が、公使館内でパークスの部屋のドアを叩いて入り、開口一番に告げた。イギリス租界一円を管轄している警察署の署長である。 すでに捜索開始...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第295話 『イギリス租界と2人の行方』

文久二年八月二十一日(1862年9月14日) 肥前 川棚港「なんじゃこのどでかい船は……平三、本当にこれで間違いないのか?」「はい、これで間違いございません」 男は使用人の男に聞いた。 乗る予定の船は、聞いていた普通の客船ではなかったのだ。...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第293話 『青幇と黄金栄』

文久二年八月十九日(1862年9月12日) 玉蘭閣ぎょくらんかく 晋作とその一行は重厚な扉を押し開け、『玉蘭閣』の中へと足を踏み入れる。 そこは豪華絢爛けんらんな装飾と、妖艶な雰囲気に満ちた別世界だった。華やかな衣装をまとった人々が行き交い...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第292話 『フランス租界と青幇』

文久二年八月十九日(1862年9月12日) ホテル『宏記洋行』 夕方 「おい! 晋作は何処いずこだ! まったくあいつは読めん! 何をしているのだ?」「申し訳ありません。昼まではいたのですが、ちょっと目を離した隙にまかれました……」 中牟田倉...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第291話 『上海租界とリボルバー』 

文久二年八月十八日(1862年9月11日) 上海 フランス租界 ホテル『宏記洋行』  部屋には佐賀藩の中牟田倉之助、薩摩藩の五代友厚、そして大村藩士の峰源助がいた。彼らは皆、晋作と同じく通商のために上海に来ていた同志である。「おお、晋作君か...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第290話 『生麦事件交渉-5-10万ポンドの要求』

文久二年八月十八日(1862年9月11日)  日本側とイギリス側の会談は連日にわたって続き、ついにニールは上海租界における捜査協力を認めるに至った。 今回のニールの目的は、100対0の勝利でなくともイギリス優位で交渉を進め、賠償金を勝ち取り...
東アジアの風雲

第772話 『朝鮮出兵』

天正二十年五月十三日(1591/7/3) 諫早城「暑い! そして蒸し暑い!」 ぐちぐちと文句を言いながら、その様相とは真逆の立ち居振る舞いで周囲を困惑させる人物が、諫早城の会議場へやってきた。その人物とはもちろん……。 肥前国海軍艦隊総司令...
東アジアの風雲

第764話 『新しき三省』

天正十九年七月二十日(1590/7/20) 諫早 <小佐々純正> オレは諫早に戻ってきて城に戻り、吃緊きっきんの陸海軍の再編を終えて、ぐったりした。 もうそろそろリタイヤしてもいいんじゃね? 国内は統一してないけど戦は終わったし、大日本国も...
東アジアの風雲

第761話 『北方三国同盟と明の滅亡への序曲』

天正十九年五月十一日(1590/6/12) 紫禁城「兵はいる。だが動かすことは難しいだろう」 内閣大学士の申時行は誰に告げるわけでもなく、静かに、淡々と述べた。「100万の兵を抱え、各地の衛所にも精鋭がいる。しかし……」「軍餉ぐんしょう(兵...
東アジアの風雲

第750話 『フレデリックの立場と仕事』

天正十八年二月二七日(1589/4/12) リスボン 王宮 1か月に及ぶ協議の末、肥前国とポルトガルとの間に条約が結ばれた。 肥前国ポルトガル王国相互防衛条約 肥前国とポルトガル王国は、両国の安全保障を強化し、相互の防衛協力を確立するため、...
大日本国から世界へ

第741話 『ルソン総督と北川長介純清』

天正十六年十二月二十九日(1588/1/27)フィリピン「父上、やはりルソンまで来ると暑うございますね。台湾も暖こうございましたが、さらに南だとこうも暑いものでしょうか」「ふふ、平十郎よ、そなたは肥前国から出るのは初めてではなかろう? 海軍...
天下百年の計?

第737話 『ウラジオストクにて、ヌルハチと』

天正十六年八月二十九日(1587/10/1)~の1か月前 へトゥアラ「なに? 肥前国の国王が海參崴かいわんわい(ウラジオストク)へ来ているだと?」 海西女真との戦いを終えて、本拠地であるへトゥアラへ戻ってきたヌルハチは、斥候の報告を聞いて驚...
天下百年の計?

第712話 『大日本国銀行』

天正十二年十一月二日(1583/12/15) 肥前国庁舎 最上義光に送った質問状については、予想通りの回答がきた。要するに単なる軍事訓練であり、他領への侵攻の意図はまったくない、という事である。 真偽のほどは別として、純正は念のため、義氏に...
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第704話 『純正の三職推任と第一次港湾整備計画。もう色々と面倒臭いから、全部うちからの借款にして先行投資しまくろうか』

天正十二年一月十九日(1583/2/11) 肥前国庁舎 <純正> 前々から、えーっと天正元年(1572年・作中では改元が1年早い)からずーっと言われてきた事。やっと受ける事にした。面倒くさい事この上ないが、実質新政府のトップなんだから、期間...
天下百年の計?

第697話 『本能寺の変』(1582/6/21)

天正十一年六月二日(1582/6/21) 京都大使館  織田信長をはじめとした旧来の新政府の面々に加え、北条からの使者を諫早に迎える事が出来たのは大きかった。氏規も江雪斎も小佐々の国力と軍事力に度肝を抜かれ、すっかり新政府の一員としての考え...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第689話 『殖産と産業育成政策』(1581/5/16)

天正十年四月十四日(1581/5/16) 小佐々家大使館「さて、皆に集まってもらったのは他でもない。新政府の財源としている負担金であるが、予算の半数以上を我が家中が出して居る。その為、他の各国には負担金の分を上げてもらうべく、生業を興し栄え...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第678話 『艦隊の帰還と世界地図。大同盟の財源は?』(1580/6/27) 

天正九年五月十六日(1580/6/27) 京都 大使館 発 南四(南遣第四艦隊) 宛 屋形 メ 籠手田湊(ポートモレスビー)ニテ 婆羅島(ボルネオ島)ヨリ南ヲ 随時哨戒中 新幾内亜ニューギニア島ヨリ東ノ島々ノ 沖合ニテ イスパニアノ艦影 見...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第677話 『まず発議した。後はおいおい考えよう。見積もりいくら?』

天正九年四月三日(1580/5/16) 京都 大使館「まずは全体の法を決めねばならぬ。その後省庁をつくり、内閣をつくる」 純正は現在肥前国に設置された省庁を中央政府、仮に大日本幕府と呼ぼう。その中に省庁を同じように置く事を考えた。そして、行...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第676話 『中央政府構想の波紋』(1580/4/3)

天正九年三月十九日(1580/4/3) 南近江 大同盟合議所 「徳川殿。武田殿。此度こたびの所領の件については、大同盟加盟の際の約定の通り、これで仕舞いという事でよろしいな」「異論ございませぬ」「異論、……ございませぬ」 家康は満面の笑みを...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第120話 『勝海舟と大村城下の下水道整備計画』(1850/1/8) 

嘉永二年十一月二十五日(1850/1/8) <次郎左衛門> さて、確かこの頃の勝海舟は、どこだっけ? 本所から赤坂田町に移ってる頃だったかな。「御免候!」「はいよ。どなたかな?」「勝麟太郎殿にござろうか。それがし、肥前大村家中、家老の太田和...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第672話 『純正、惣無事令構想を打ち立てる。武田軍、信越国境より撤退す』(1579/7/19)

天正八年七月十九日(1579/7/19) 京都 大使館 「おわっ! だ、誰じゃ……て、平九郎? ごほん。御屋形様、いついらっしゃったのですか?」 不意に執務室で声をかけられた純久は、驚いて思わず名指しで呼んでしまった。「あはは。さっき。いい...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第671話 『上洛要請のその後と景勝vs.景虎始まる』(1579/6/15)

天正八年五月二十一日(1579/6/15)  小田原城「……! おのれ純正め! このわしに上洛せよだと? なにゆえわしが、成り上がり者の純正に頭を垂れに京まで出向かねばならぬのだ」 純正からの手紙を読んだ氏政は怒り心頭である。  上杉家の家...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第669話 『上杉景勝と上杉景虎。そして氏政への上洛命令』(1579/5/27) 

天正八年五月二日(1579/5/27)  越後の龍、上杉謙信が死んだ。その知らせは越後のみならず近隣諸国に知れ渡り、周辺の諸大名はその動静を固唾を呑んで見守り、あるいは行動に移した。 が、今世は違った。 純正が信長と同じ立場で東に武田と上杉...
技術革新と内政の時、日本の内へ、外へ

第664話 『日ノ本大同盟の今』武田と畠山と里見(1579/3/8)

天正八年二月十一日(1579/3/8) 七尾城「殿、なにやらうれしい事でもあったのですか?」 側近である大塚孫兵衛尉連家まごべえのじょうつらいえの問いかけに、畠山義慶は穏やかな表情を浮かべる。「孫兵衛よ、わしが家督を継いで早十二年。長かった...
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第663話 『日ノ本大同盟の今』織田と徳川と浅井(1579/2/12)

天正八年一月十七日(1579/2/12)『日ノ本大同盟』 純正が天正元年に提唱し、小佐々・織田・武田・徳川・浅井・畠山・里見の七家で結成した合議同盟の事である。 経済・技術の交流はあるが、主な目的は各国の軍事行動の可否を決定する事と、軍事行...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第639話 『景轍玄蘇、ヌエバ・エスパーニャ副王領、フィリピン総督フランシスコ・デ・サンデ・ピコンと相対す』(1578/4/8)

天正七年三月二日(1578/4/8) ビサヤ諸島 セブ島「何? KOZASAの使者が来ていると? KOZASAというのは、あのKOZASAなのか?」 フィリピン総督のピコンは、伝令に対して聞き直した。「はい。間違いありません。出で立ちはもち...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第636話 『琉球から台湾、そして呂宋へ』(1578/1/9)

天正六年十二月二日(1578/1/9) 京都 会議所周辺 織田家宿舎「ひゅ、日向守殿! 日向守殿!」 木下藤吉郎秀吉は、真っ青な顔をして叫ぶ。「そうぞうしい。なんですか。もともと貴殿は落ち着きというものがない。城持大名となったのですから、威...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第634話 『織田水軍から織田海軍へ、イスパニア情報の収集』(1577/10/13)

天正六年九月二日(1577/10/13) 岐阜城「何? 小佐々から参陣の求めが来ただと?」「は、これよりイスパニアなる南蛮の国と戦をするゆえ、海軍の参陣を求めると。水軍とは呼ばず、海軍と。されど強いるものではなく、判は委ねるとのことで、その...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第624話 『日ノ本大同盟内の経済格差と移住問題』(1576/2/9) 

天正五年一月十日(1576/2/9)永禄四年四月(1561)に、沢森平九郎政忠として転生して15年がたっていた。その治める版図は北は北海道の北西岸、南は鹿児島県のトカラ列島、東は静岡県の吉原湊(租借地)に、西は五島列島までに及んでいた。小佐...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第623話 『中浦ジュリアンの元服と洗礼。遣欧使節団?』(1576/1/18) 

天正四年十二月十八日(1576/1/18) 諫早城寒く、それでも晴れ渡った天気のもと、数えで14歳になる中浦小佐々甚吾じんご(中浦ジュリアン)の元服式が行われた。小佐々甚吾純吉である。本来は純正の姉である幸の息子、幸若丸の元服式と同時に行わ...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第604話 ガレオン船によるセブ-小笠原-アカプルコ貿易

天正三年七月十八日(1574/8/4) そのころ、北関東の下野と常陸においては、北条が攻勢を強めていた。 結城氏はすでに降伏して北条の軍門に降っており、常陸の佐竹と下野の宇都宮は同盟を組んでいたものの、北の那須家と組んだ北条に圧倒されていた...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第597話 馬場信春の秘策と三十年後、五十年後を見据えて

天正二年九月十日(1573/10/5) 安芸日野山城 吉川元春居城「殿、武田大膳大夫様が郎党、曽根九朗右衛門尉様がお見えにございます」「うむ、通すが良い」 日野山城は中世山城でありながら、堀切や竪堀といった一般的な防御施設が見あたらない。地...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第596話 尾甲同盟と加賀紀伊討ち入りの策

天正二年八月十九日(1573/9/15) 甲斐 躑躅ヶ崎館 信長は加賀・紀伊侵攻作戦の合議対策をするための策を練るとともに、必須条件である甲斐の武田家との通商・安保同盟を結ぶために光秀を武田家に送った。「はじめて御意を得ます。織田兵部卿様が...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第593話 女真派遣団の帰国と蝦夷地開拓

天正二年四月十二日(1573/5/23) 諫早城 二年前の夏に始まった蝦夷地の開拓と入植は順調に進んでいた。 蝦夷地交易を独占的に任せている太田和屋弥次郎の交易船の運航とあわせて、人員の輸送も行われたのだ。 まずは大首長チパパタインの勢力圏...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第587話 織田信長と武田勝頼の密談会盟。軍事行動合議制の可否

天正二年 一月十四日(1573/02/16) 夜 近江国蒲生郡 武佐宿村 織田宿舎「殿、いかがなさるおつもりですか?」「左様、このままでは織田は完全に小佐々の下風に立ち、顔色をうかがわねばならなくなりますぞ」 光秀の言葉に秀吉が同調する。珍...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第579話 純正の同盟国の事情。畠山義慶と佐渡の儀。

天正元年(1572)八月十五日 能登 七尾城  発 修理大夫 宛 権中納言 秘メ……○▽■ぐしゃぐしゃぽい……。  平九郎、元気ですか?  いや、最初は例の通信文で書こうとしたんだけど、あれ、いくら暗号っつったってダダ漏れでしょ?  それに...
内政拡充技術革新と新たなる大戦への備え

第574話 上杉戦の反省と留学生の今後

少し遡って天正元年(1572) 三月三十日 諫早城 織田信忠 小佐々の殿様、権中納言様が上杉と軍いくさをなさっているさなか、春休みという事でわれらはいったん故郷へ帰り、元服を済ませた。 父は今年の三月が中学の終わりで、小佐々の領民は卒業後は...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第567話 国内と国外~ヌルハチの祖父とフェリペ二世~

天正元年(1572) 四月十四日 岐阜城 「ははっ」 長秀が苦笑いし、光秀や秀吉はわからないようにため息をしている。「さて、加賀の、本願寺の動きはどうか?」「は、謙信からの計略によって引き起こされた一揆にございましたが、それにより本願寺の我...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第565話 続く謙信の誤算と和睦への流れ

天正元年 四月十日 京都 大使館「大使、関白様がお見えです」 大使館の近習が純久につげる。「叔父上、これは……」「うむ、昨日の和議の件に関しての事であろうな」「……よし、お通ししろ」 ちょうど二人の時の来客であった。 純正は四六時中戦略会議...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第563話 狭まる謙信包囲網 継戦か、和睦か?

天正元年 四月九日 京都 大使館 ここ数日、京都の大使館にいる純正のもとには、驚くべき報告が多数届いていた。 ・一日に第四艦隊が敗北。 ・七尾城の政変と小佐々水軍と上杉水軍との偶発的海戦。 ・上杉方である城生城の陥落と第二師団三千の損失。 ...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第561話 和睦交渉を左右する所口湊の海戦と七尾城の戦い

天正元年 四月六日 巳の一つ刻(0900)「なんぞ(何だ)あれは? 如何いか様にも(どうみても)兵船ではないか! 然しかも、上杉の兵船、船手衆ではないか!」 来島通総と得居通幸が、七尾湾に停泊する三百艘の上杉水軍の軍船を発見したのだ。「なに...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第558話 激突! 島津vs.上杉と七尾城の陥落

天正元年 四月五日 午三つ刻(1200) 越中 水戸田村 道雪本陣「申し上げます! 敵勢六千! 島津勢に掛かりけり候(攻撃しました)!」「何? 案に違えて(予想外に)早いの。敵将は誰じゃ?」「は……それが、謙信自らかと思われます!」「何じゃ...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第553話 享年六十四歳

天正元年 四月四日 午一つ刻(1100) 能登 七尾城「待たれよ。降るとして、殿(畠山義慶)は小佐々に与するとして越中へ向かったのだぞ。謙信も殿が小佐々に与しているなど、とうに知っておるであろう。如何様にして取り繕うのじゃ?」 温井景隆の言...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第548話 織田と一揆と、隠尾城と千代ヶ様城

天正元年 四月二日 未二つ刻(1330) 庄川西岸(二塚村) 道雪本陣 曇りときどき雨「申し上げます! 一条隊が布陣を終え、龍造寺隊は千代ヶ様ためし城に掛かりけり(攻撃した)候!」 道雪の本陣とわかれ南へ向かった二隊も、一条隊は布陣し、龍造...
対上杉謙信 奥州東国をも巻き込む

第527話 上杉領経済封鎖 すべての津、浦、湊で津留をいたす。

天正元年 三月二十四日 越後 柏崎沖 佐々清左衛門加雲少将率いる、小佐々海軍第四艦隊の陣容は次の通りである。 旗艦 戦艦 霧島丸(500トン)  二番艦 重巡足柄(400トン)  三番艦 重巡羽黒(400トン)   四番艦 軽巡阿武隈(30...