我ら

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第428話 『雲行き』

慶応四年(明治元年)三月九日(1868年4月1日) 遡ること数日前――。「斯かくなる上は、殿御自らご尽力頂くより他ございません」「ほう……」 居住まいを正して真剣な眼差しの上野介に対して、慶喜も表情を変えて相対する。「一体、何を如何様いかよ...
一強からの変化

第886話 『塩が消える日』

慶長五年三月四日(西暦1600年4月17日) 尾張 清洲城下「おい、どけ! 俺が先だ!」「ふざけるな! 昨日から並んでるんだぞ!」 美濃路に面した大店、『尾張屋』の店先は、怒号と罵声が飛び交う戦場と化していた。 店の前には数百の民が殺到し、...
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第427話 『薩長』

慶応四年(明治元年)三月五日(1868年3月28日) 鹿児島城「そもそも、今に始まった話では無いわ」「は」 鹿児島城内では、江戸城での一件で激高して帰ってきた島津忠義と、その父である久光、そして淀よど屋や清兵衛の三者が会談していた。 久光の...
一強からの変化

第885話 『抗えぬ国力差』

慶長五年二月二十日(西暦1600年3月16日) 岐阜城「何だと? 上様が?」 武井十左衛門は家来からの報告を受け、苦々しい顔をしている。 大日本国崩壊を受け、織田家は日ノ本大同盟以前の状態に戻り、純正から一切の干渉を受けなくなった。 信長の...
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第426話 『北へ南へ』

慶応四年(明治元年)三月二日(1868年3月25日) 松前城「はぁーはっはっは! さすがであるな! あの御仁は見かけによらず豪胆じゃ! この君して臣なり、その逆もまた然りじゃな」 松前城の広間で次郎と謁見した崇広たかひろは、次郎の報告を聞い...
一強からの変化

第884話 『純正、問答無用』

慶長五年二月十六日(西暦1600年3月12日) 諫早城「して、殿下、この先は如何いかがなさるおつもりでしょうか。陸海軍すべて備えは十分にて、あとは殿下の号令のみにございます」「まあ待て、直茂、まだ最後の確認をいたしておらぬ。安土の政庁にて、...
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第425話 『決別か否か』

慶応四年(明治元年)二月二十八日(1868年3月21日) 江戸城「はて、それがしは何も話す事はございませぬ。次郎、そうであろう」「は、はは……」 次郎は、ここは純顕に任せた方がよいと考えたのか、相づちをうったのみである。「安藤殿、中納言様、...
一強からの変化

第883話 『寿命と病状と織田家中』

慶長五年一月二日(西暦1600年2月16日) 岐阜城 年が明けて慶長五年となったが、年賀の挨拶どころではない。 信長の病状がまったく変わらず、その病状も秘匿されていたので、織田家中はおろか領内でも不穏な噂が飛びかっていたのだ。 当主である信...
一強からの変化

第882話 『信長の病状』 

慶長四年十一月十六日(西暦1600年1月2日) 岐阜城「馬鹿な! 目通り叶わぬだと! 貴様、わしが浅井備前守と知っての事か! 義兄あにの見舞いも出来ぬなど聞いた事がない! 今一度とりつくのだ!」 浅井長政は怒りを露わにしたが、城兵は冷静であ...
一強からの変化

第881話 『密書と各州』

慶長四年十一月十二日(西暦1599年12月29日) 能登 七尾城「何、書状じゃと?」「は、岐阜の宰相武井十左衛門からそれがしへの書状にございます」 武井十左衛門は織田の重臣であったが、それでも直接他家の当主に手紙は送れない。 そのため、同じ...
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第422話 『カナダとの密約』

慶応三年八月二十一日(1867年9月18日) 史実における徳川慶勝は、激動の幕末において、藩祖以来の伝統を重んじつつも、時代の変化を見通す柔軟な思考力を持っていた。 将軍徳川慶喜とは母方の従兄弟にあたる関係で、隠居謹慎中には、当時最新技術で...
一強からの変化

第880話 『武井十左衛門』

慶長四年十一月二日(西暦1599年12月19日)「おいおっさん! まさか今この有り様でくたばるつもりじゃねえだろうな?」「ふっ……。その声は平九郎か。余に然様さような物言いが出来るのはお主しかおらんが。減らず口をたたきおって」 部屋の中には...
一強からの変化

第877話 『新生 大日本国と信長』

慶長四年十月四日(西暦1599年11月21日)「斯様かような仕儀にて、ここにいたっては、乱れ騒ぎし策も立たず(混乱の解決策もなく)、殿下にご足労いただくほかないと愚考した次第にございます」 純正の御前で平伏しているのは、1か月半前から大日本...
一強からの変化

第876話 『佐世保電信開通と大日本国の動向』

慶長四年八月十五日(西暦1599年10月4日) 肥前国佐世保「接続完了!」 太田和源五郎の声が、佐世保の電信局に響き渡った。 諫早から佐世保まで、約56.5kmにわたって敷設された電信線が、ついに開通したのである。 当初は4月に完成予定だっ...
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第417話 『意外な来訪者』

慶応三年七月十五日(1867年8月15日) カナダ自治領首相ジョン・A・マクドナルドとブリティッシュ・コロンビア総督フレデリック・シーモアの行動は素早かった。 万博会場での密談から10日余り、彼らは関係各所に確認と調整を行い、ついに次郎を訪...
一強からの変化

第874話 『世界技術・学術同盟』

慶長四年七月二十七日(西暦1599年9月16日)午前「殿下、和蘭(オランダ)の蒸気船から煙が上がっております!」 突然、諫早城の見張り台から報告が入った。 純正は書斎でマウリッツからの親書を読み返していたが、慌ただしい足音と共に直茂が駆け込...
八紘共栄圏を目指して

第870話 『大ハーン、リンダン・フトゥクト・ハーン』

慶長四年六月四日(西暦1599年7月25日) アスト部領域 リンダン大ハーン即位式典 春の草原に清らかな風が吹いている。 小さな丘の上には、簡素ながらも厳かな祭壇が設けられ、その周囲をチャハル部とアスト部の部族民が囲んでいた。 参列者の顔に...
八紘共栄圏を目指して

第869話 『守りなき竜』

慶長四年四月十二日(西暦1599年6月4日)アスト部領域との境 チャハル部臨時宿営地 春の嵐が過ぎ去った草原に、朝の光が差し込む。 20ほどのゲルを中心に、その外側には馬と家畜の柵、さらにその外には見張りの塚が置かれていた。 中央の大きなゲ...
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第410話 『列強の思惑』

慶応三年五月二十六日(1867年6月28日) 万博会場は前日に増して多くの来訪者でにぎわっていた。 日本パビリオン全体が注目を集める中、特に大村藩の展示は人だかりができるほどの盛況である。 軍事技術展示の評判が広まり、各国の軍事専門家や外交...
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第407話『鉄を繋ぐ火花』

慶応三年五月二十日(1867年6月22日)万博会場 まだ多くの市民が眠りについている早朝、大村パビリオンでは特別な準備が進められていた。 今日は一般公開ではない『限定技術展示』の日。欧州の鉄鋼業関係者や技術者だけを招待したデモンストレーショ...
八紘共栄圏を目指して

第868話 『5年の計』

慶長四年三月二十六日(西暦1599年4月21日) 集落の東側 ヌルハチは馬上から集落の内部へと突入する兵たちを見渡した。予想以上に激しい抵抗に、眉を少しひそめている。「ブヤンめ……まだこれほどの抵抗力を持っていたか」 エイドゥが近づいてきた...
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第406話 『研究会のその後とパリデート』

慶応三年五月十八日(1867年6月20日)フランス・パリ「確かにその面は無きにしも非ずでしょう」 渋沢が答え、通訳がフランス人に伝えている。「商人風情町人風情と、武士が町人を下に見ている風潮が、産業の発展を阻害してきたと言われても、反論はで...
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第405話 『武士の商人化、商人の武士化』

慶応三年五月十八日(1867年6月20日)フランス・パリ パリ万博の日本パビリオン内に設けられた小さな会議室。 緊張感と熱気が入り混じる空間で、渋沢栄一主催の研究会が始まろうとしている。 この集まりは、当初大々的に開かれる予定であったが、現...
八紘共栄圏を目指して

第867話 『密かなる進軍』

慶長四年二月二十五日(西暦1599年3月21日) 建州女真本営 早春の風が吹き抜ける建州女真の本営。 モンゴル高原への入口に位置する本営は、女真軍の集結地となっていた。広場には1,500名を超える騎兵が整然と隊列を組み、出発の合図を待ってい...
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第403話 『通信革命』

慶応三年五月十五日(1867年6月17日)パリ 朝方、日本パビリオンから叫び声が上がった。 警備を担当していた藩士が、息を切らして次郎のもとへ駆け込んでくる。「た、大変です! 大変です! 御家老様!」 次郎は慌てて起き上がり、部下の報告を聞...
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第866話 『佐世保への線』

慶長四年二月十五日(西暦1599年3月11日) 肥前国諫早城「中継所の建設予定地はこちらになります」 太田和源五郎は純正の前に広げられた地図を指さした。諫早から佐世保までのルートに沿って、赤い点が複数打たれている。「まずは、諫早の御城下より...
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第401話 『移動と計算の革命』

慶応三年五月十一日(1867年6月13日)万博会場 晴れ渡ったパリの朝。 日本パビリオン前には前日を上回る長蛇の列ができていた。昨日の電灯実演の評判が市内に広まり、多くの見学者が詰めかけている。「兄上、もう門前にこれほどの人が……」 隼人が...
八紘共栄圏を目指して

第865話 『電信の実験とフレデリック・ヘンドリック』

慶長四年二月五日(西暦1599年3月2日)科学技術省 技術開発研究所 太田和源五郎秀政は夜明け前から実験準備に没頭していた。 目の前には、改良を重ねた電信装置が置かれている。2本の銅線と新型電池、そして信号を記録するための装置が綿密に配置さ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第400話 『移動と計算の革命(前夜)』

慶応三年五月十日(1867年6月12日)万博会場 日本パビリオン 電灯の実演が終わり、パリの夜も更けようとしている。日本パビリオンの初日は大成功を収め、スタッフたちは疲労と達成感が入り混じった表情で片付けを終えていた。「みんなご苦労、明日も...
八紘共栄圏を目指して

第863話 『開封府にて。諫早にて』

慶長四年正月十日(西暦1599年2月5日) 開封府「李化龍りかりゅうよ、それに李如松。余が貴公らと約束したのは、二ヶ月の後に女真に奪われた土地を全て取り戻すことである。それがなぜ、追いやるどころか、蓬莱ほうらいを残して和睦となったのだ?」 ...
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第398話『万博会場での驚き』

慶応三年五月七日(1867年6月9日) エコール・ポリテクニーク フランスのパリ近郊、エソンヌ県パレゾーにそれはあった。 軍事省管轄の公立高等教育研究機関であり、フランスの技術の粋が集約されている。「さて、君の見解はどうかな。日本、いや、大...
八紘共栄圏を目指して

第862話 『登州会談、決着』

慶長四年正月二日(西暦1599年1月28日) 登州城外・会談場「申し上げます! 急報でございます!」 明軍の伝令の声が高らかに響いた。「何事だ! いや待て! ホホリどの、しばし失礼を」 ただならない様子に声を上げた李化龍は、李如松に目配せを...
八紘共栄圏を目指して

第861話 『登州会談』

慶長四年正月二日(西暦1599年1月28日) 登州城外 霧の立ち込める湾に、沙門しゃもん島を経て一隻の小舟が静かに近づいていた。ホホリは和平の旗印を携え、緊張した面持ちで周囲を警戒している。 女真軍は登州全域から撤退し、登州城を中心とした蓬...
八紘共栄圏を目指して

第860話 『反転攻勢』

慶長三年十二月二十九日(西暦1599年1月25日) 遼東 三萬衛「よし、攻めるぞ! この機を逃すな」 霧に覆われた草原を、凍いてつく風が吹き抜けていった。 夜明け前の空は、まだ暗く沈んでいる。 何もなければ年の瀬である。大みそかに向けて準備...
八紘共栄圏を目指して

第859話 『ブヤン・セチェン・ハーンと後のクンドゥレン・ハーン』

慶長三年十二月二十六日(西暦1599年1月22日) 遼東 三萬衛「ハーン、このままでは山東は明軍に奪い返されてしまいますぞ!」「分かっておる! しかし、今はこれが最善の策なのだ! くそう、チャハルのブヤンめ、この機に攻め寄せてくるとは、やは...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第394話 『再会、そして再出発』

~慶応三年一月十九日(1867年2月23日)プリンスエドワード島「おお! 司書よ! 繁太郎も無事か! 良かった。……本当に良かった」 南東方面の探索にあたっていた『知行』をはじめとする分艦隊六隻は、入り江に投錨とうびょうして上陸を開始してい...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第52話 『狗奴国との緊張状態、戦争は避けられるのか?』

正元四年一月二十一日(257/2/21?) 方保田東原かとうだひがしばるの宮処みやこ 修一たちとSPROのメンバーは、結局前回と同じ方法で弥馬壱国へ向かうことになった。 車を使って行けば一日で行けると喜んだ一行だったが、すぐにぬか喜びに終わ...
八紘共栄圏を目指して

第857話 『盤上の策士たち』

慶長三年十月三十日(西暦1598年11月28日) 海西地方 天津市 開封府で万暦帝との会見を終えた純正は、大陸三分の計が実現しようとしている今、海西地方の天津市で今後の対策を練っていた。 女真はモンゴルの侵攻を受けて防戦のために遼東へ撤退し...
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第392話 『喜望峰沖の嵐』

慶応三年一月六日(1867年2月10日)喜望峰沖 大村藩海軍艦艇『知行』を旗艦とする日本国万博遣欧艦隊は、南緯三十八度、喜望峰沖の海上を進んでいた。 夕暮れの空は一面灰色の雲に覆われ、海面は不自然なほど静まりかえっている。「嵐の前の静けさだ...
八紘共栄圏を目指して

第856話 『大明皇帝朱翊鈞と肥前国王純正』

慶長三年十月一日(西暦1598年10月30日) 開封府「直茂よ、オレは初めて大陸に来たが、やはり北京の紫禁城を訪れてから開封府に来てよかったの。都なれば、その国のすべてが集まっておるであろう? ゆえにその国の力とそのゆえんの何たるかが分かる...
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第390話 『交渉の平行線――補給地の誘惑と日本の決断』

慶応二年十一月十日(1866年12月16日)サラワク王国 クチン ガウワーの言葉の裏にある意図を感じ取りながらも、次郎は表情を崩さず、静かに返答した。「過去の出来事は決して忘れませんが、未来を築くためには慎重な歩みが必要です。今はまだ状況が...
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第388話 『結局、とサラワン王国』

慶応二年十一月三日(1866年12月9日) バタヴィア「やや! 今なんと? ……我がんこ? なんか? 無理やり……最初……めん、つ?」 各藩がそれぞれの方言と共通語で翻訳するが、さっぱり分からない。 分からないが、次郎が感情をあらわにしてい...
八紘共栄圏を目指して

第854話 『三国鼎立とモンゴルのオルドス・トゥメト・ヨンシエブ・チャハル・ハルハ・ウリャンカイ』

慶長三年八月一日(西暦1598年9月1日) 諫早「殿下はこれでもまだ、明が弱まるべきだと仰せになりますか――」 明国の内閣次輔、沈一貫は諫早城下の外交使節迎賓館の一室に滞在していた。 純正との初回交渉から一週間。 彼は齢六十を超え、最後の奉...
八紘共栄圏を目指して

第853話 『新都 開封』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 開封府 黄河のほとりに広がる開封は、かつて北宋の『東京』として栄えた都だった。 三重の城壁に囲まれた街並みは、長安のような碁盤目状ではなく、複雑に入り組んだ路地と水路が張り巡らされている。 ...
八紘共栄圏を目指して

第852話 『決断』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 万暦帝は決断を下した。 開平府(現在の内モンゴル自治区シリンゴル盟正藍旗南部)から順天府(北京)までは、約441km。 宣府(河北省張家口市)からは約194km、大同府(山西省大同市)からは...
八紘共栄圏を目指して

第850話 『登州決戦』

慶長三年五月十五日(西暦1598年6月18日) 満州国が登州に侵攻して1か月。 その間李化龍りかりゅうは敵の動きを警戒しつつ、防衛線の強化を図ってきた。しかし、事態は彼の予想以上に深刻な展開を見せている。「総兵大人! 沙門島しゃもんとうに敵...
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第849話 『山東戦線と技術革新』

慶長三年四月十日(西暦1598年5月15日)「総兵大人! 敵艦隊が撤退しています!」「何?」 登州城の城壁の上で、李化龍りかりゅうは遠くに見える船影をじっとにらみつけた。しかし明らかに不自然だ。 これだけの大船団をそろえておきながら、一度も...
八紘共栄圏を目指して

第848話 『山東から北京へ。寧夏の決断』

慶長三年四月九日(西暦1598年5月14日)「急報! 急報! 登州沖に大船団が出現しました! 女真の水軍と思われます!」 副官からの報告を受け、李化龍は全軍に戦闘態勢を整えるよう指示した。「おいでなさったな。女真のヤツらめ」 李化龍は城壁に...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第377話 『イギリス、再び』

慶応二年五月十二日(1866年6月24日)「Oui,jepensequec'estunebonneidée.(はい、これでいいと思います)」 駐日フランス帝国全権公使ミシェル・ジュール・マリー・レオン・ロッシュは、幕府からの出品目録を見て言...
八紘共栄圏を目指して

第847話 『ネゴシエイト』

慶長三年三月四日(西暦1598年4月9日) 諫早「これはこれはフュンドン殿、遠いところわざわざようお越し下さった」「いえいえ。伊集院殿も安国寺殿も、お元気そうでなによりです」 ヌルハチの腹心、フュンドンが肥前国首都の諫早を訪れるのは2度目で...