随分遅くなったが、それぞれの役割分担と業務効率を上げる為に、省庁再編を行った。
あわせて永禄七年度の予算会議を実施。
領地も増えたし、再度の見直しが必要だったからね。予算会議は毎年行い、追加・補正予算は都度実施する。
当主
小佐々弾正純正(沢森政忠)
顧問
沢森政種(父)
大蔵省
太田屋弥市
陸軍省
深作次郎兵衛兼続(兼第一即応旅団長)
海軍省
深沢義太夫(兼小佐々海軍艦隊司令)
司法省
佐志方杢兵衛(兼針尾・佐世保地区行政長官)
外務省(旧外交方)
沢森利三郎
内務省 (旧内務・兵糧方)
太田七郎左衛門
文部省
上泉喜兵衛延利
工部省(旧殖産方)
沢森忠右衛門
農商務省(殖産方より分離)
曽根九郎次郎定政
情報省(国内・国外情報収集統括)
藤原千方
新しいメンバーは司法省の佐志方杢兵衛。
領内統治の法整備をやってもらう。俺の考えを元に、政教分離とか信教の自由など。あとは身分に関係なく能力成果主義的な?
名付けて『小佐々領内諸法度』。
それからもう一人は、文部省の上泉喜兵衛延利。ピンと来た人は凄い! 以前奴隷売買の現場に居合わせた時に、一緒に助けた優男(悪口! ?)だ。
彼にはあの後、諸国を回って戦乱による孤児などを保護する様に命じてきた。今では百人以上いる。子供は将来の国の宝なので、教育全般をやってもらう。
最後は曽根九郎次郎定政。なんと、マツばあちゃんの推薦だ。
「ばあちゃん、誰かいい人いない? 野良仕事でも漁師でも木こりでも。顔がきくというか、つぶしがきくというか、詳しい人」
それで推薦されたのが曽根九郎次郎定政だ。
商家の三男で、その商家もばあちゃんが生まれるそのまた昔に、沢森から分家した家系らしい。すご。
「ではまず予算だが、大蔵大臣、どうだ?」
「は、まずは今年度でございますが、歳入は十六万五千百八貫を予定しております。そして来年度は塩・油・捕鯨・綿花・石けん・鉛筆等々、設備の増設状況が不明なので、高の増えた分と想定いたします」
おおお! と全員がざわめく。一貫を二石で高に換算すれば、三十万石程度の金であろう。龍造寺家と同じ石高だ。
しかし、すべての条件が同じでないと、単純比較はできない。
「なるほど。それで歳出はどうだ?」
「はい。本年度の設備投資が桑畑、綿花工場に二百貫、技術部門に二万四千貫、技術部は職人、人夫代も含んでおります。続いて軍需部門になりますが、兵卒の手当に陸海軍あわせて二万八千七百五十二貫、これはさきの戦の見舞金も含まれております。さらに、このままの生産量ですと鉄砲で一万八千貫、フランキ砲三千六百貫、艦船三万六千貫、鍛鉄砲一万六千六百三十三貫、合計十二万七千百八十五貫となり申す」
座が静まり返る……。
「この他に外交特別費、情報保持管理費等が入りますので、決して潤沢ではありませぬ」
さらに静まり返る。
「……あくまで概算であろうが、聞いてのとおり潤沢ではない。やはり開発技術費と軍事費に金がかかる。工部省と農商務省の予算は増やし、大砲に関してはフランキ砲の製造を順次鍛鉄砲にかえつつ、費用の削減を工部大臣は頼む」
「ははっ」
「兵の備えについては、陸軍大臣も海軍大臣も順次拡充で納得してくれ。特に海軍に関しては一年ではなく、複数年度にて艦船の建造計画を立てる、これでよいか?」
「かしこまりました」
「あの!」
全員が発言の主を見る。
「斜身式大花楼機(しゃしんしきだいかろうき)という織り機の図面が手に入りました。完全ではありませんが、改良を加えれば品質、生産量の底上げになるかと。予算をお願いします!」
さすが、曽根九郎次郎定政! ばあちゃんの推薦だけある。緊縮ムードでこの発言!
でも、先行投資だからね。ありがとう!

コメント