姜維信繁

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第392話 『喜望峰沖の嵐』

慶応二年一月六日(1867年2月12日)喜望峰沖 大村藩海軍艦艇『知行』を旗艦とした日本国万博遣欧艦隊は、南緯三十八度、喜望峰沖の海上を進んでいた。 夕暮れの空は一面灰色の雲に覆われ、海面は不自然なほど静まり返っている。「嵐の前の静けさだな...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第391話 『レユニオン島』

慶応二年十二月七日(1867年1月12日)レユニオン島「いやー、いいねえ。熱帯、南国だねえ……」 次郎は上半身裸の半ズボンになって、どこから持ってきたのか作らせたのか、海水浴でよく見かける折りたたみの椅子に横たわり、日光浴を楽しんでいる。 ...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第73話 『嫌で嫌で仕方がない家庭訪問』

1986年(昭和61年)4月25日(金曜日)<風間悠真> 毎年、毎年やってくるいやーな日が、今年も来た。 家庭訪問だ。 思春期の男子中学生にとって嫌なイベントのひとつである。 ちなみにそのイベントは三者面談・運動会(要するに親がくる学校行事...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第18話 『世の中そんなに甘くない』

1590年10月19日 オランダ ライデン 前回の方舟会議(中二病商会の会員三人による廃屋会議)で、フレデリックは10アールあたりのテンサイの生産量から、十分なビジネスとして成立することを確信した。 しかし、生産効率を上げて病気の対策や連作...
八紘共栄圏を目指して

第856話 『大明皇帝朱翊鈞と肥前国王純正』

慶長三年十月一日(西暦1598年10月30日) 開封府「直茂よ、オレは初めて大陸に来たが、やはり北京の紫禁城を訪れてから開封府に来てよかったの。都なれば、その国のすべてが集まっておるであろう? ゆえにその国の力とそのゆえんの何たるかが分かる...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第390話 『交渉の平行線――補給地の誘惑と日本の決断』

慶応二年十一月十日(1866年12月16日)サラワク王国 クチン ガウワーの言葉の裏にある意図を感じ取りながらも、次郎は表情を崩さず、静かに返答した。「過去の出来事は決して忘れませんが、未来を築くためには慎重な歩みが必要です。今はまだ状況が...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第17話 『計算違いの商会創設記~現実は甘くない~』

1590年9月19日 オランダ ライデン 突然だが、三人は商会を設立した。 兄であるマウリッツから、弟とはいえ国民の税金を使う以上、なあなあにはできないと言われたのだ。 その点において、商会の名目上の責任者としてシャルルを任命する考えは悪く...
八紘共栄圏を目指して

第855話 『保定府会談と草原の狼煙』

慶長三年九月一日(西暦1598年10月1日) 天津衛「何だ、ヌルハチはおらんのか?」 三国戦争の調停のために渡海し、天津に到着した純正は、河間府にヌルハチがいないと知り、驚きを隠せなかった。 随行員はいつもどおり、戦略会議室のメンバーで構成...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第389話 『ガウワー再び! サラワク王国で揺れる日英の駆け引き』

慶応二年十一月十日(1866年12月16日)サラワク王国 クチン「な、何をなさっておいでなのですか……」 次郎は加賀藩の名代である前田慶寧よしやすに近づき、最初にこう言った。 慶寧は酒杯を手に持ったまま、次郎の声に驚いて振り返った。その表情...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第16話 『砂糖で儲ける? 石けんで守る? 富と衛生を両立せよ!』

1590年8月23日 オランダ ライデン「え? どういうこと?」 フレデリックは立ち上がってシャルルに詰め寄った。 無理もない。 市場を徹底的に探し回ってクルシウスにも相談し、何度も計算を重ねた結果なのだ。それを一言で否定されてしまうと、さ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第388話 『結局、とサラワン王国』

慶応二年十一月三日(1866年12月9日) バタヴィア「やや! 今なんと? ……我がんこ? なんか? 無理やり……最初……めん、つ?」 各藩がそれぞれの方言と共通語で翻訳するが、さっぱり分からない。 分からないが、次郎が感情をあらわにしてい...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第15話 『儲らない? 三人寄れば文殊の知恵』

1590年8月23日 オランダ ライデン「おー、良いねえ良いねえ。まさに中二病だよ。ん、なんだ? こういうのを中二病って言うんじゃないのか?」 大学を出て川沿いをしばらく歩くと、森の入り口に朽ちかけた廃屋がある。 その扉には、誰にも解読でき...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第387話 『ぶち切れる』

慶応二年十一月三日(1866年12月9日) バタヴィア「では各々方、憚はばかりながらそれがし、太田和蔵人次郎左衛門が、議事を進めたく存じます」 次郎の隣には、大村藩の名代である甲吉郎純武が控えている。 幕府と加賀藩を除く各藩の名代と艦長(責...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第14話 『魔術師裁判』

1590年7月16日 オランダ ライデン ライデン市庁舎の石造りの法廷には、いつもよりも多くの市民が集まっていた。 窓から差し込む夏の光は、緊張感に満ちた空気を和らげるどころか、むしろその場の重苦しさを一層際立たせている。 中央の被告席には...
八紘共栄圏を目指して

第854話 『三国鼎立とモンゴルのオルドス・トゥメト・ヨンシエブ・チャハル・ハルハ・ウリャンカイ』

慶長三年八月一日(西暦1598年9月1日) 諫早「殿下はこれでもまだ、明が弱まるべきだと仰せになりますか――」 明国の内閣次輔、沈一貫は諫早城下の外交使節迎賓館の一室に滞在していた。 純正との初回交渉から一週間。 彼は齢六十を超え、最後の奉...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第386話 『図らずも』

慶応二年十月二十九日(1866年12月5日) バタヴィア『李百里』の遭難を受けて、次郎は全力で捜索すると同時に、全艦の整備点検を実施した。「MijnheerOtawa(太田和殿)、我々も全力をあげて捜索しています。考えられる場所としては、ス...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第13話 『シャルル・ド・モンモランシー』

1590年6月19日 オランダ ライデン 背が高い。 おそらく180cmはあるだろう。 日焼けしたがっしりとした体格に銀髪を持ち、その中に貴族的な品位が漂っている。「モンモランシー家の当主代理、シャルル・ド・モンモランシーだ。それとも、フレ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第385話 『バタヴィアでの決断』

慶応二年十月二十四日(1866年11月30日) ごう音と共に、暗雲が艦隊を覆い尽くした。「縮帆! 備えよ!」 顕武の命令がすぐさま甲板の乗組員に告げられる。 雨音はさらに大きくなり、声がかき消されそうなほどだ。「隼人助(大村艦隊司令)、スコ...
八紘共栄圏を目指して

第853話 『新都 開封』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 開封府 黄河のほとりに広がる開封は、かつて北宋の『東京』として栄えた都だった。 三重の城壁に囲まれた街並みは、長安のような碁盤目状ではなく、複雑に入り組んだ路地と水路が張り巡らされている。 ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第384話 『出るわ出るわ』

慶応二年十月十七日(1866年11月23日) 次郎の横には勝海舟、薩摩の川村純義、佐賀の中牟田倉之助、長州の来原良蔵がいる。 目の前には万博参加の各藩の艦長または責任者が神妙な面持ちで並んでいた。 ・土佐藩の後藤象二郎の横に国沢新九郎(名代...
八紘共栄圏を目指して

第852話 『決断』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 万暦帝は決断を下した。 開平府(現在の内モンゴル自治区シリンゴル盟正藍旗南部)から順天府(北京)までは、約441km。 宣府(河北省張家口市)からは約194km、大同府(山西省大同市)からは...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第383話 『仏領コーチシナ』

慶応二年十月十日(1866年11月16日) 次郎はこの航海を終えた後、幕府に願い出て海軍士官の練習航海を年に一度実施しようと考えていた。 幕府海軍にも必要だろうが、今後、日本が近代国家として列強と渡り合っていくには見聞を広める必要がある。 ...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第72話 『オレたちのMY REVOLUTION』

1986年(昭和61年)4月18日(金曜日)<風間悠真>「ふふふふーんふふ、ふーんふふふーふん♪」 オレは渡辺美里の『MyRevolution』を鼻歌交じりに口ずさみながら、音楽室にいる。いつものようにバンドの練習をしていると、休憩中に祐介...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第12話 『転生者フレデリックと転生者オットー&コンパス・オブ・ディスティニー』

1590年6月19日 オランダ ライデン「ちょっと話がある、後で時間とれるか? お前も同じ転生者なんだろ? 日本人の(日本語で)」 フレデリックはオットーの耳元でそうささやいた。 オットーは瞬時に状況を理解したのか、短くうなずく。「皆、静ま...
八紘共栄圏を目指して

第851話 『対スペインパルチザンと李化龍のあせり』

慶長三年六月十八日(西暦1598年7月21日)「直茂、ビルカバンバの皇帝に親書は届いておろうな?」「は、そろそろかと存じます」 今年の2月にインカ帝国の皇帝から親書を受け取り、正式に国交を樹立する旨の返書を送ったのだ。 ただし、軍事支援は行...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第382話 『幕府海軍と大村海軍』

慶応二年九月二十二日(1866年10月30日) 当初、次郎は大村海軍の両艦隊の旗艦である『知行』と『大成』、さらに補給艦2隻と潜水艦『大鯨』、水雷艇『神雷』を伴ってパリ万博に臨む予定であった。 しかし、幕府と諸藩の強い要望を受けて、幕府と各...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第11話 『幹部候補生学校と航空学生』

令和7年4月(2025年4月)佐世保 山口多聞少将、加来止男大佐、鹿江隆中佐をはじめとする数名の士官は、佐世保教育隊の敷地内で幹部候補生課程に入った。 同様に角野博治大尉、橋本敏男大尉、重松康広大尉、その他の航空要員の下士官や兵士たちは、山...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第51話 『再び、西暦255年? なのか』

正元四年一月十四日(西暦257年2月14日?) 同じだ。 修一はそう思った。 何度も経験しているが、決して慣れない。 毎回頭痛に悩まされているからだ。「壱与、イツヒメ、イサク、咲耶、比古那……みんな無事か? 結月ちゃんは?」「はい、私は大丈...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第11話 『オットー・ヘウルニウス』

1590年5月12日 オランダ ライデン <オットー・ヘウルニウス> 5年前の出来事だった。 オレが7歳の時、すべてが突然変わった。いや、正確に言うと、オレ自身が変わったのだ。 父の研究室で初めて解剖を目にした日は、今でも鮮明に記憶に残って...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第381話 『実は黒字でいざゆかん万博へ!』

慶応二年九月二十日(1866年10月28日) チュイルリー宮殿の一室は、異様な熱気に満ちていた。 中央の大きなテーブルには、駐日フランス帝国公使レオン・ロッシュからの報告書と、それに添付された写真が広がっている。 ナポレオン三世(シャルル・...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第71話 『美咲と礼子のPROGRESS』

1986年(昭和61年)4月12日(土曜日)<風間悠真>「美咲、どうしたの? まさか告白か? あれ、オレたちって相思相愛じゃなかったっけ?」 中学二年生が『相思相愛』って言葉を使うかどうかは不明だが、思わず冗談交じりに口にしてしまった。校舎...
八紘共栄圏を目指して

第850話 『登州決戦』

慶長三年五月十五日(西暦1598年6月18日) 満州国が登州に侵攻して1か月。 その間李化龍りかりゅうは敵の動きを警戒しつつ、防衛線の強化を図ってきた。しかし、事態は彼の予想以上に深刻な展開を見せている。「総兵大人! 沙門島しゃもんとうに敵...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第10話 『軍人としての矜持』

令和7年3月16日(2025年3月16日) 護衛艦『いずも』 多目的室「小松司令、そして石川艦長、一つお伺いしたいのですが、よろしいですか?」「どうぞ」 山口に聞かれて小松は返事をした。石川は黙ってうなずいている。「この戦争はなぜ始まったの...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第50話 『いざ、西暦255年へ』

2025年1月5日(日) 午後 長崎 宮田遺跡「そ、そうね。確かに先生の言うとおりね。何の準備もせずに向こうに行っても、命の危険があるかもしれない」 咲耶が真剣な表情で同意した。「でも、何を持っていけばいいの? 向こうで使える物が、そんなに...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第380話 『過労と財政と航路』

慶応二年八月十二日(1866年9月20日)「まったくもう、お前様ときたら。子煩悩かと思えば、家のことはまったく気にしない。そのくせお役目は、人に任せればいいものまで自分でしないと気が済まない。倒れるまでお勤めなさるなんて、尋常ではありません...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第10話 『兄貴へ直談判②本格始動へ』

1590年4月5日 オランダ デン・ハーグ <フレドリック・ヘンドリック>「砂糖と塩、それに石けんとロウソクか」 兄貴は、ふむ、とうなずきながら、羊皮紙に書かれた計算式に目を通した。 寒い。 16世紀のオランダは寒いな。オランダの気候には慣...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第379話 『航路問題と大村藩財政問題』

慶応二年八月四日(1866年9月12日)<次郎左衛門>「え? 今、何とおっしゃいましたか?」 オレは耳を疑った。 ここは駐日フランス帝国公使館。 目の前にいるのは公使のレオン・ロッシュだ。「私もパリ万博への貴国の出品物を確認した際に、申し上...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第70話 『おい君たち、昨日までオレと祐介をチヤホヤしてたんじゃないのかね?』

1986年(昭和61年)4月12日(土曜日)『おい君たち、昨日までオレと祐介をチヤホヤしてたんじゃないのかね?』 それが悠真の心の声であった。(13脳&51脳) いつものとおり、土曜日は昼から音楽室で練習するか、祐介の家で練習する。宇久兄弟...
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第849話 『山東戦線と技術革新』

慶長三年四月十日(西暦1598年5月15日)「総兵大人! 敵艦隊が撤退しています!」「何?」 登州城の城壁の上で、李化龍りかりゅうは遠くに見える船影をじっとにらみつけた。しかし明らかに不自然だ。 これだけの大船団をそろえておきながら、一度も...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第9話 『ロシア・ウクライナ戦争』

2025年3月16日(令和7年3月16日)「この馬鹿者が! 一列に並べ! 足を開け! 歯を食いしばれ!」(元)飛龍副長の鹿江隆(海軍中佐)の叫び声が聞こえた。「はっ!」 角野、橋本、重松が横並びになり、足を開いて休めの姿勢で直立不動の状態に...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第378話 『アラスカ国境問題』

慶応二年六月二十四日(1866年8月4日) 慶喜と春嶽の圧力がすごい。『説き伏せて参れ』の言葉に、次郎は思わず『ははっ』と答えたが、無為無策で交渉に臨むわけにはいかなかった。 まずは情報収集が必要だ。 ロシアとの交渉において、現地に居住する...
八紘共栄圏を目指して

第848話 『山東から北京へ。寧夏の決断』

慶長三年四月九日(西暦1598年5月14日)「急報! 急報! 登州沖に大船団が出現しました! 女真の水軍と思われます!」 副官からの報告を受け、李化龍は全軍に戦闘態勢を整えるよう指示した。「おいでなさったな。女真のヤツらめ」 李化龍は城壁に...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第49話 『あわや』

2025年1月4日 SPRO内「ねえせんせ、伊勢神宮にお詣まいり行ってきたって?」「ああ、この歳まで行こうと思っていたのに、行けていなかったからな。まあ、何というか、神話の世界に近い人たちとお近づきになれたわけだし、ここは東京だしな。(距離...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第377話 『イギリス、再び』

慶応二年五月十二日(1866年6月24日)「Oui,jepensequec'estunebonneidée.(はい、これでいいと思います)」 駐日フランス帝国全権公使ミシェル・ジュール・マリー・レオン・ロッシュは、幕府からの出品目録を見て言...
八紘共栄圏を目指して

第847話 『ネゴシエイト』

慶長三年三月四日(西暦1598年4月9日) 諫早「これはこれはフュンドン殿、遠いところわざわざようお越し下さった」「いえいえ。伊集院殿も安国寺殿も、お元気そうでなによりです」 ヌルハチの腹心、フュンドンが肥前国首都の諫早を訪れるのは2度目で...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第376話 『万博とアラスカとイギリス』

慶応二年四月二十九日(1866年6月12日) 「前田殿、淀屋、と申しましたかな。商人にあのような物言いをさせて良いのでしょうか」 前田斉泰に対して、伊達慶邦が問いかけた。 慶邦はその責任感と保守的な性格から、孫三郎の放埓な物言いに眉をひそめ...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第9話 『石けんとロウソクとストーブ』

1590年3月12日 オランダ デン・ハーグ「……さて、次は石けんだな」 オレは市場で見かけた石けんを思い出していた。 地中海沿岸、特にマルセイユ産は高級品として有名だが、主な原料はオリーブオイルとソーダ灰だ。 ソーダ灰はオランダでも手に入...
八紘共栄圏を目指して

第846話 『哱拝(ぼはい)の死』

慶長三年一月二十七日(西暦1598年3月4日) 寧夏 寧夏城の居室で、哱拝は苦しそうな呼吸を繰り返していた。布団の上で横たわる彼の顔は蒼白で、額には大粒の汗が浮かんでいる。「父上、お薬を」 長男の哱承恩が差し出す薬を、哱拝は手を震わせながら...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第375話 『淀屋清兵衛の策略』

慶応二年三月十五日(1866年4月29日) 江戸 加賀藩邸「兵備輸入取締令? あの……あれは確か万延、いや安政六年に御公儀が出した法であったな」 前田斉泰が思い出しながら牧田孫兵衛(淀屋清兵衛)に聞き直した。『兵備輸入取締令』 大名・家臣に...
八紘共栄圏を目指して

第845話 『電気・電灯・電信』

慶長二年十二月二十日(西暦1598年1月27日) 純正が転生してから36年が経過したが、肥前国では蒸気船をはじめ、さまざまな分野で研究・開発が盛んに行われている。 軍事分野では管打式小銃の実用化が進み、炸裂さくれつ弾や榴弾りゅうだんといった...