【全訳標準語】第141話 親父は神か?

同年 十二月 沢森城下 技術部 試験場

セメントの配合とコンクリートの強度試験が行き詰まっているらしい。どの材料をどのくらい配合するかなんて誰にもわからないから、根気との勝負だ。技術部員が頭を抱えている。

部員を激励しながら、休憩をとらせていると、なぜか親父がやってきた。

「どうしたの?」小声で
「いや、吉法師も愛も寝てるから,
相手してくれないからちょっと気分転換にね。」
そうか、そうなる時もあるよね。後で会いに行こう。

「え?なにこれ?なにしてんの?」
あれ?長崎弁モードだぞ。

「あーそうなんだ。コンクリートね。そっかそっか。」
あれあれ?

「だからセメントをつくるのに、鍾乳洞の石とか貝殻使うんだろ?それと粘土をまぜて。だから順番が違うんだって!混ぜる前に焼いて元をつくらないと。」

「焼いた後に砕いて細かくして、粘土と混ぜて作るんだったら、ちょっとずつやってたら、どのくらい水が必要でどのくらい粘土が必要なのかわからないでしょ?しかも同時に乾いた粘土を砕いて細かくして」

「少ししか作れないし、次に作ったのが柔らかかったり固かったりするから。だからまず、石とか貝殻を焼いて砕くでしょ。それから細かく砕いて粉みたいにして。それと粘土。一番いいのは鉢があるでしょ。茶色の。」

「別に鉢じゃなくても割れていらなくなったやつとか、そこら中にいっぱいあるでしょ?焼いて固くなる前の粘土を混ぜようとしても難しいから、焼き終わったやつを使った方がいい。」

「それを砕いて粉みたいにして、そしてさっきの細かい粉みたいになった、まあ、セメントの元だよね。それを8で粘土が2くらいで混ぜるんだよ。これでいい。その割合でくそみたいにたくさん作ればいい。これが一番大事」

「そしてセメントを作るんじゃなくて、コンクリートを作るんだろ?まあ、後でノロとかモルタルを作るんだったらその時考えればいい。」

「えーっと、それでどのくらい必要なのか知らないけど、とりあえず1リューベで考えたら、いや1リューベじゃわかんないか。えーっと、それならわかりやすいところで一間でいい。縦と、横と高さと、全部一間。」

「これで一辺が1.8mだからわかりやすい。それでそれに必要なのが、えーっと、ああちょっとまった。1.8×1.8×1.8=・・・ちょっと書くもん貸して。・・・ええっと5.832余裕見て1.1かけて6.4152リューベか。」

「それで割合がセメント・水・砂・砂利で3・2・8・10だから300・200・800・1000キロだろ。一貫が3.75キロだから、
セメンが300×6.4152=1924.56キロ=513.216貫
水が200×6.4152=1283.04キロ=342.144貫
砂が800×6.4152=5142.16キロ=1368.576貫
砂利が1000×6.4152=6415.2キロ=1710.72貫」

「ふう、頭が痛い。疲れた。あとはもうわかるだろ?帰って寝るよ。」

ああ、忘れてた。親父、仕事モード入ってる。でも、ありがとう。神だ。

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