転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第405話 『武士の商人化、商人の武士化』

慶応三年五月十八日(1867年6月20日)フランス・パリ パリ万博の日本パビリオン内に設けられた小さな会議室。 緊張感と熱気が入り混じる空間で、渋沢栄一主催の研究会が始まろうとしている。 この集まりは、当初大々的に開かれる予定であったが、現...
八紘共栄圏を目指して

第867話 『密かなる進軍』

慶長四年二月二十五日(西暦1599年3月21日) 建州女真本営 早春の風が吹き抜ける建州女真の本営。 モンゴル高原への入口に位置する本営は、女真軍の集結地となっていた。広場には1,500名を超える騎兵が整然と隊列を組み、出発の合図を待ってい...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第404話 『通信革命②』

慶応三年五月二十二日(1867年6月24日)パリ 大村パビリオンでは、電話機の実演が始まった。「Hallo! Kunt u mij horen?」(もしもし! 聞こえますか?) 離れた場所のもう一台の電話機からオランダ語で話しかけると、受話...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第403話 『通信革命』

慶応三年五月十五日(1867年6月17日)パリ 朝方、日本パビリオンから叫び声が上がった。 警備を担当していた藩士が、息を切らして次郎のもとへ駆け込んでくる。「た、大変です! 大変です! 御家老様!」 次郎は慌てて起き上がり、部下の報告を聞...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第76話 『退部届ドミノ』

1986年(昭和61年)5月3日(土)~5日(月) 前日、5月2日(金) やがて昼休みになり、さらなる情報が飛び交った。「聞いた? 卓球部の3年生も退部届け出したって」「誰? うそ! あの鶯谷うぐいすだに先輩が?」「ああ。朝練サボって顧問に...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第75話 『辞めます騒動』

1986年(昭和61年)5月3日(土)~5日(月) 話は少しさかのぼって連休2日前の木曜日の放課後、練習が終了して下校時間を迎えた体育館裏。 コンクリートの壁を拳でたたく音が響いた。「くそっ! ったく、やってらんねえな」 その声の主は3年の...
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第866話 『佐世保への線』

慶長四年二月十五日(西暦1599年3月11日) 肥前国諫早城「中継所の建設予定地はこちらになります」 太田和源五郎は純正の前に広げられた地図を指さした。諫早から佐世保までのルートに沿って、赤い点が複数打たれている。「まずは、諫早の御城下より...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第402話 『空への挑戦』

慶応三年五月十三日(1867年6月15日)フランス・ブローニュの森 朝露がまだ残るブローニュの森に、異様な熱気が漂っていた。 パリ市民の憩いの場であるこの広大な森林公園の一角に、特別な設備が整えられているのだ。 高台にある長い滑走路状の平た...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第401話 『移動と計算の革命』

慶応三年五月十一日(1867年6月13日)万博会場 晴れ渡ったパリの朝。 日本パビリオン前には前日を上回る長蛇の列ができていた。昨日の電灯実演の評判が市内に広まり、多くの見学者が詰めかけている。「兄上、もう門前にこれほどの人が……」 隼人が...
八紘共栄圏を目指して

第865話 『電信の実験とフレデリック・ヘンドリック』

慶長四年二月五日(西暦1599年3月2日)科学技術省 技術開発研究所 太田和源五郎秀政は夜明け前から実験準備に没頭していた。 目の前には、改良を重ねた電信装置が置かれている。2本の銅線と新型電池、そして信号を記録するための装置が綿密に配置さ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第400話 『移動と計算の革命(前夜)』

慶応三年五月十日(1867年6月12日)万博会場 日本パビリオン 電灯の実演が終わり、パリの夜も更けようとしている。日本パビリオンの初日は大成功を収め、スタッフたちは疲労と達成感が入り混じった表情で片付けを終えていた。「みんなご苦労、明日も...
八紘共栄圏を目指して

第864話 『つかの間の平穏と技術の発展』

慶長四年正月二十五日(西暦1599年2月20日) 肥前国諫早城「あー、良い天気……」 純正は両手を頭の上で組んで伸ばし、さらに左右に倒してストレッチした。 ふうっと一息ついて縁側に座り、春の訪れを告げるかすかな梅の香りを感じながら、東アジア...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第25話 『五つの歯車がかみ合い始める』

1591年3月15日(天正19年閏うるう1月20日) ライデン「なあみんな、オレ、思ったんだけど」 フレデリックはコンパス会議の中で他の四人に提案した。「みんな、ギルドから反発を食らっているよね。シャルルおじさんは領民からの反発もあるって言...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第399話 『音と映像の革命』

慶応三年五月十日(1867年6月12日) 朝から快晴に恵まれたパリの空の下、万博会場では日本パビリオンの公開初日を迎え、正面入口には早朝から長蛇の列が形成されている。 四月一日の万博開幕から一ヶ月以上がたち、すでに各国の展示が注目を集める中...
八紘共栄圏を目指して

第863話 『開封府にて。諫早にて』

慶長四年正月十日(西暦1599年2月5日) 開封府「李化龍りかりゅうよ、それに李如松。余が貴公らと約束したのは、二ヶ月の後に女真に奪われた土地を全て取り戻すことである。それがなぜ、追いやるどころか、蓬莱ほうらいを残して和睦となったのだ?」 ...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第53話 『銅と錫』

正元四年一月二十四日(257/2/24⇔2025/1/7 09:00)方保田東原かとうだひがしばるの宮処みやこ「香春岳の調査隊、本日出立しゅったつします!」 宮処の広場では、百名ほどの調査隊が出発の準備を整えている。 数十人の人夫が荷物を背...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第24話 『五人の技術者、それぞれの戦場で』

1591年2月19日(天正19年1月26日) ライデン フレデリック・ヘンドリックは(1584年1月29日~7歳/前世は51歳・伊藤英太郎)ネーデルランド総督の弟。前世は理工学者で外交官。 オットー・ヘウル二ウスは(1577年9月8日~13...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第398話『万博会場での驚き』

慶応三年五月七日(1867年6月9日) エコール・ポリテクニーク フランスのパリ近郊、エソンヌ県パレゾーにそれはあった。 軍事省管轄の公立高等教育研究機関であり、フランスの技術の粋が集約されている。「さて、君の見解はどうかな。日本、いや、大...
八紘共栄圏を目指して

第862話 『登州会談、決着』

慶長四年正月二日(西暦1599年1月28日) 登州城外・会談場「申し上げます! 急報でございます!」 明軍の伝令の声が高らかに響いた。「何事だ! いや待て! ホホリどの、しばし失礼を」 ただならない様子に声を上げた李化龍は、李如松に目配せを...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第74話 『GWだ! っつっても公立中学だしこの時代。大型連休なんてねえよ』

1986年(昭和61年)5月3日(土)~5日(月)「憲法記念日と子どもの日だけが休みで、翌日の6日は普通に学校じゃねえか」 それが悠真の感想だった。 転生してからGWは2回目だが、毎年思う。「ゴールデンウィークってなんなんだよ……こんなの"...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第23話 『密かなる協力者たち』

1591年1月26日(天正19年1月2日) アムステルダム アムステルダムの運河沿いにある赤い屋根の工房。 夜の闇に紛れて、フレデリックとウィルは若き時計職人、ヘンドリック・フローネンの秘密の工房を再び訪れた。 フレデリックには護衛と家庭教...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第397話 『パリへの道』

慶応三年五月六日(1867年6月8日)フランス・セーヌ川・シュレーヌ ル・アーヴルから6月5日に出発した日本の遠征隊は、約340キロメートルのセーヌ川を遡上する航行の4日目を迎えていた。 夜間の航行は危険なため、日の出から日没までの約12時...
八紘共栄圏を目指して

第861話 『登州会談』

慶長四年正月二日(西暦1599年1月28日) 登州城外 霧の立ち込める湾に、沙門しゃもん島を経て一隻の小舟が静かに近づいていた。ホホリは和平の旗印を携え、緊張した面持ちで周囲を警戒している。 女真軍は登州全域から撤退し、登州城を中心とした蓬...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第22話 『振り子が刻む新時代』

1591年1月7日(天正十八年十二月十二日) オランダ ライデン フレデリックとウィルは、早速翌日からメートル原器を作るための第一段階である、秒の測定の準備に取りかかった。 まず、昼間に垂直な棒(グノーモン)を立て、その影の長さを観測する。...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第396話 『潜水艦と少年』

慶応三年五月二日(1867年6月4日)フランス ル・アーヴル パリ万博に二ヶ月遅れて参加となった日本遣欧団は、艦隊をフランスのセーヌ川河口にある港町ル・アーヴルまで進ませた。 潜水艦『大鯨』と水雷艇『神雷』のえい航索を切り離し、万博の参加要...
八紘共栄圏を目指して

第860話 『反転攻勢』

慶長三年十二月二十九日(西暦1599年1月25日) 遼東 三萬衛「よし、攻めるぞ! この機を逃すな」 霧に覆われた草原を、凍いてつく風が吹き抜けていった。 夜明け前の空は、まだ暗く沈んでいる。 何もなければ年の瀬である。大みそかに向けて準備...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第12話 『海将補、山口多聞』

令和9年4月1日(2027年4月1日)佐世保教育隊 本日ここに、特別プログラムを修了された三名の皆さんに、心から敬意と祝意を表します。 皆さんはかつて日本海軍で指揮を執り、歴史の荒波を生き抜いた指揮官であり、幾多の困難と責任を背負ってこられ...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第21話 『測れるものだけが改良できる』

1590年12月12日(天正十八年十一月十六日) オランダ ライデン「うーん」 フレデリックは考えていた。 何を? 産業革命時点、つまり18世紀末~19世紀半ばの技術力にまでオランダを爆進させるっていったって、一体何からやればいいのか? そ...
八紘共栄圏を目指して

第859話 『ブヤン・セチェン・ハーンと後のクンドゥレン・ハーン』

慶長三年十二月二十六日(西暦1599年1月22日) 遼東 三萬衛「ハーン、このままでは山東は明軍に奪い返されてしまいますぞ!」「分かっておる! しかし、今はこれが最善の策なのだ! くそう、チャハルのブヤンめ、この機に攻め寄せてくるとは、やは...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第20話 『某大手銀行史上初の女性頭取、転生す』

1590年11月16日(天正十八年十月十九日) オランダ ライデン 誰? フレデリックとオットーがそう思うのも無理はない。 シャルルが連れてきた女の子。 フレデリックと変わらない年齢に見える少女は、さっきまで部屋の中を走り回って、さまざまな...
八紘共栄圏を目指して

第858話 『鄧松と明黎国境・中原の争いやまず』

慶長三年十一月二十八日(西暦1598年12月26日) 大越国 東京(トンキン・ハノイ)「何? 肥前国から使者が来たと? ふむ、お通しせよ」 後期後黎朝の都、トンキンの宮殿で、丞相である鄭松ていしょうは使者の謁見を受けた。「よくぞ来られた。肥...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第52話 『狗奴国との緊張状態、戦争は避けられるのか?』

正元四年一月二十一日(257/2/21?) 方保田東原かとうだひがしばるの宮処みやこ 修一たちとSPROのメンバーは、結局前回と同じ方法で弥馬壱国へ向かうことになった。 車を使って行けば一日で行けると喜んだ一行だったが、すぐにぬか喜びに終わ...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第19話 『10年で産業革命』

1590年11月16日(天正十八年十月十九日) オランダ ライデン 結局、 塩は1lbポンドで3ギルダー。→十分にもうかる。 砂糖は1lbで1.5ギルダー。→もうかるが、生産量とポルトガルの砂糖との兼ね合い。そして、今後始まるであろうオラン...
八紘共栄圏を目指して

第857話 『盤上の策士たち』

慶長三年十月三十日(西暦1598年11月28日) 海西地方 天津市 開封府で万暦帝との会見を終えた純正は、大陸三分の計が実現しようとしている今、海西地方の天津市で今後の対策を練っていた。 女真はモンゴルの侵攻を受けて防戦のために遼東へ撤退し...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第392話 『喜望峰沖の嵐』

慶応三年一月六日(1867年2月10日)喜望峰沖 大村藩海軍艦艇『知行』を旗艦とする日本国万博遣欧艦隊は、南緯三十八度、喜望峰沖の海上を進んでいた。 夕暮れの空は一面灰色の雲に覆われ、海面は不自然なほど静まりかえっている。「嵐の前の静けさだ...
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第18話 『世の中そんなに甘くない』

1590年10月19日 オランダ ライデン 前回の方舟会議(中二病商会の会員三人による廃屋での会議)で、フレデリックは10アールあたりのテンサイの生産量をもとに、ビジネスとして十分に成り立つと確信した。 しかし生産効率を向上させるためには、...
八紘共栄圏を目指して

第856話 『大明皇帝朱翊鈞と肥前国王純正』

慶長三年十月一日(西暦1598年10月30日) 開封府「直茂よ、オレは初めて大陸に来たが、やはり北京の紫禁城を訪れてから開封府に来てよかったの。都なれば、その国のすべてが集まっておるであろう? ゆえにその国の力とそのゆえんの何たるかが分かる...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第390話 『交渉の平行線――補給地の誘惑と日本の決断』

慶応二年十一月十日(1866年12月16日)サラワク王国 クチン ガウワーの言葉の裏にある意図を感じ取りながらも、次郎は表情を崩さず、静かに返答した。「過去の出来事は決して忘れませんが、未来を築くためには慎重な歩みが必要です。今はまだ状況が...
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第17話 『計算違いの商会創設記~現実は甘くない~』

1590年9月19日 オランダ ライデン 突然だが、三人は商会を設立した。 兄であるマウリッツから、弟とはいえ国民の税金を使う以上、なあなあにはできないと言われたのだ。 その点において、商会の名目上の責任者としてシャルルを任命する考えは悪く...
八紘共栄圏を目指して

第855話 『保定府会談と草原の狼煙』

慶長三年九月一日(西暦1598年10月1日) 天津衛「何だ、ヌルハチはおらんのか?」 三国戦争の調停のために渡海し、天津に到着した純正は、河間府にヌルハチがいないと知り、驚きを隠せなかった。 随行員はいつもどおり、戦略会議室のメンバーで構成...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第389話 『ガウワー再び! サラワク王国で揺れる日英の駆け引き』

慶応二年十一月十日(1866年12月16日)サラワク王国 クチン「な、何をなさっておいでなのですか……」 次郎は加賀藩の名代である前田慶寧よしやすに近づき、最初にこう言った。 慶寧は酒杯を手に持ったまま、次郎の声に驚いて振り返った。その表情...
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第16話 『砂糖で儲ける? 石けんで守る? 富と衛生を両立せよ!』

1590年8月23日 オランダ ライデン「え? どういうこと?」 フレデリックは立ち上がってシャルルに詰め寄った。 無理もない。 市場を徹底的に探し回ってクルシウスにも相談し、何度も計算を重ねた結果なのだ。それを一言で否定されてしまうと、さ...
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第387話 『ぶち切れる』

慶応二年十一月三日(1866年12月9日) バタヴィア「では各々方、憚はばかりながらそれがし、太田和蔵人次郎左衛門が、議事を進めたく存じます」 次郎の隣には、大村藩の名代である甲吉郎純武が控えている。 幕府と加賀藩を除く各藩の名代と艦長(責...
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第14話 『魔術師裁判』

1590年7月16日 オランダ ライデン ライデン市庁舎の石造りの法廷には、いつもよりも多くの市民が集まっていた。 窓から差し込む夏の光は、緊張感に満ちた空気を和らげるどころか、むしろその場の重苦しさを一層際立たせている。 中央の被告席には...
八紘共栄圏を目指して

第854話 『三国鼎立とモンゴルのオルドス・トゥメト・ヨンシエブ・チャハル・ハルハ・ウリャンカイ』

慶長三年八月一日(西暦1598年9月1日) 諫早「殿下はこれでもまだ、明が弱まるべきだと仰せになりますか――」 明国の内閣次輔、沈一貫は諫早城下の外交使節迎賓館の一室に滞在していた。 純正との初回交渉から一週間。 彼は齢六十を超え、最後の奉...
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第386話 『図らずも』

慶応二年十月二十九日(1866年12月5日) バタヴィア『李百里』の遭難を受けて、次郎は全力で捜索すると同時に、全艦の整備点検を実施した。「MijnheerOtawa(太田和殿)、我々も全力をあげて捜索しています。考えられる場所としては、ス...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第13話 『シャルル・ド・モンモランシー』

1590年6月19日 オランダ ライデン 背が高い。 おそらく180cmはあるだろう。 日焼けしたがっしりとした体格に銀髪を持ち、その中に貴族的な品位が漂っている。「モンモランシー家の当主代理、シャルル・ド・モンモランシーだ。それとも、フレ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第385話 『バタヴィアでの決断』

慶応二年十月二十四日(1866年11月30日) ごう音と共に、暗雲が艦隊を覆い尽くした。「縮帆! 備えよ!」 顕武の命令がすぐさま甲板の乗組員に告げられる。 雨音はさらに大きくなり、声がかき消されそうなほどだ。「隼人助(大村艦隊司令)、スコ...
八紘共栄圏を目指して

第853話 『新都 開封』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 開封府 黄河のほとりに広がる開封は、かつて北宋の『東京』として栄えた都だった。 三重の城壁に囲まれた街並みは、長安のような碁盤目状ではなく、複雑に入り組んだ路地と水路が張り巡らされている。 ...
八紘共栄圏を目指して

第852話 『決断』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 万暦帝は決断を下した。 開平府(現在の内モンゴル自治区シリンゴル盟正藍旗南部)から順天府(北京)までは、約441km。 宣府(河北省張家口市)からは約194km、大同府(山西省大同市)からは...