転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第418話  『慶勝との会談』

慶応三年七月十六日(1867年8月15日) パリのフランス外務省別館では長時間の交渉が続いていたが、重厚な石造りの建物がより一層重い雰囲気を醸し出していた。「我が国としては、特に火薬製造の技術、製鉄の技術、そして精密な機械細工の技術に関心が...
一強からの変化

第874話 『世界技術・学術同盟』

慶長四年七月二十七日(西暦1599年9月16日)午前「殿下、和蘭(オランダ)の蒸気船から煙が上がっております!」 突然、諫早城の見張り台から報告が入った。 純正は書斎でマウリッツからの親書を読み返していたが、慌ただしい足音と共に直茂が駆け込...
一強からの変化

第873話 『金色の時計』

慶長四年七月二十六日(西暦1599年9月15日) 諫早城<小佐々純正> あー、眠……。 オレはコーヒーを飲み干しておかわりを頼み、立ち上がって伸びをする。それから頭の上で手を組んで、左右に体を伸ばした。 次に、前屈して腕を前にやろうとする。...
八紘共栄圏を目指して

第870話 『大ハーン、リンダン・フトゥクト・ハーン』

慶長四年六月四日(西暦1599年7月25日) アスト部領域 リンダン大ハーン即位式典 春の草原に清らかな風が吹いている。 小さな丘の上には、簡素ながらも厳かな祭壇が設けられ、その周囲をチャハル部とアスト部の部族民が囲んでいた。 参列者の顔に...
八紘共栄圏を目指して

第869話 『守りなき竜』

慶長四年四月十二日(西暦1599年6月4日)アスト部領域との境 チャハル部臨時宿営地 春の嵐が過ぎ去った草原に、朝の光が差し込む。 20ほどのゲルを中心に、その外側には馬と家畜の柵、さらにその外には見張りの塚が置かれていた。 中央の大きなゲ...
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第866話 『佐世保への線』

慶長四年二月十五日(西暦1599年3月11日) 肥前国諫早城「中継所の建設予定地はこちらになります」 太田和源五郎は純正の前に広げられた地図を指さした。諫早から佐世保までのルートに沿って、赤い点が複数打たれている。「まずは、諫早の御城下より...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第53話 『銅と錫』

正元四年一月二十四日(257/2/24⇔2025/1/7/09:00)方保田東原《かとうだひがしばる》の宮処《みやこ》「香春岳への調査隊、本日出立します!」 宮処の広場では、三十名ほどの調査隊が出発の準備を整えていた。 何人もの人夫が荷物を...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第74話 『GWだ! っつっても公立中学だしこの時代。大型連休なんてねえよ』

1986年(昭和61年)5月3日(土)~5日(月)「憲法記念日と子どもの日だけが休みで、翌日の6日は普通に学校じゃねえか」 それが悠真の感想だった。 転生してからGWは2回目だが、毎年思う。「ゴールデンウィークってなんなんだよ……こんなの"...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第52話 『狗奴国との緊張状態、戦争は避けられるのか?』

正元四年一月二十一日(257/2/21?) 方保田東原かとうだひがしばるの宮処みやこ 修一たちとSPROのメンバーは、結局前回と同じ方法で弥馬壱国へ向かうことになった。 車を使って行けば一日で行けると喜んだ一行だったが、すぐにぬか喜びに終わ...
八紘共栄圏を目指して

第857話 『盤上の策士たち』

慶長三年十月三十日(西暦1598年11月28日) 海西地方 天津市 開封府で万暦帝との会見を終えた純正は、大陸三分の計が実現しようとしている今、海西地方の天津市で今後の対策を練っていた。 女真はモンゴルの侵攻を受けて防戦のために遼東へ撤退し...
八紘共栄圏を目指して

第855話 『保定府会談と草原の狼煙』

慶長三年九月一日(西暦1598年10月1日) 天津衛「何だ、ヌルハチはおらんのか?」 三国戦争の調停のために渡海し、天津に到着した純正は、河間府にヌルハチがいないと知り、驚きを隠せなかった。 随行員はいつもどおり、戦略会議室のメンバーで構成...
八紘共栄圏を目指して

第854話 『三国鼎立とモンゴルのオルドス・トゥメト・ヨンシエブ・チャハル・ハルハ・ウリャンカイ』

慶長三年八月一日(西暦1598年9月1日) 諫早「殿下はこれでもまだ、明が弱まるべきだと仰せになりますか――」 明国の内閣次輔、沈一貫は諫早城下の外交使節迎賓館の一室に滞在していた。 純正との初回交渉から一週間。 彼は齢六十を超え、最後の奉...
八紘共栄圏を目指して

第853話 『新都 開封』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 開封府 黄河のほとりに広がる開封は、かつて北宋の『東京』として栄えた都だった。 三重の城壁に囲まれた街並みは、長安のような碁盤目状ではなく、複雑に入り組んだ路地と水路が張り巡らされている。 ...
八紘共栄圏を目指して

第852話 『決断』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 万暦帝は決断を下した。 開平府(現在の内モンゴル自治区シリンゴル盟正藍旗南部)から順天府(北京)までは、約441km。 宣府(河北省張家口市)からは約194km、大同府(山西省大同市)からは...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第12話 『転生者フレデリックと転生者オットー&コンパス・オブ・ディスティニー』

1590年6月19日 オランダ ライデン「ちょっと話がある、後で時間とれるか? お前も同じ転生者なんだろ? 日本人の(日本語で)」 フレデリックはオットーの耳元でそうささやいた。 オットーは瞬時に状況を理解したのか、短くうなずく。「皆、静ま...
八紘共栄圏を目指して

第851話 『対スペインパルチザンと李化龍のあせり』

慶長三年六月十八日(西暦1598年7月21日)「直茂、ビルカバンバの皇帝に親書は届いておろうな?」「は、そろそろかと存じます」 今年の2月にインカ帝国の皇帝から親書を受け取り、正式に国交を樹立する旨の返書を送ったのだ。 ただし、軍事支援は行...
八紘共栄圏を目指して

第850話 『登州決戦』

慶長三年五月十五日(西暦1598年6月18日) 満州国が登州に侵攻して1か月。 その間李化龍りかりゅうは敵の動きを警戒しつつ、防衛線の強化を図ってきた。しかし、事態は彼の予想以上に深刻な展開を見せている。「総兵大人! 沙門島しゃもんとうに敵...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第10話 『軍人としての矜持』

令和7年3月16日(2025年3月16日) 護衛艦『いずも』 多目的室「小松司令、そして石川艦長、一つお伺いしたいのですが、よろしいですか?」「どうぞ」 山口に聞かれて小松は返事をした。石川は黙ってうなずいている。「この戦争はなぜ始まったの...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第10話 『兄貴へ直談判②本格始動へ』

1590年4月5日 オランダ デン・ハーグ <フレドリック・ヘンドリック>「砂糖と塩、それに石けんとロウソクか」 兄貴は、ふむ、とうなずきながら、羊皮紙に書かれた計算式に目を通した。 寒い。 16世紀のオランダは寒いな。オランダの気候には慣...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第9話 『ロシア・ウクライナ戦争』

2025年3月16日(令和7年3月16日)「この馬鹿者が! 一列に並べ! 足を開け! 歯を食いしばれ!」(元)飛龍副長の鹿江隆(海軍中佐)の叫び声が聞こえた。「はっ!」 角野、橋本、重松が横並びになり、足を開いて休めの姿勢で直立不動の状態に...
八紘共栄圏を目指して

第848話 『山東から北京へ。寧夏の決断』

慶長三年四月九日(西暦1598年5月14日)「急報! 急報! 登州沖に大船団が出現しました! 女真の水軍と思われます!」 副官からの報告を受け、李化龍は全軍に戦闘態勢を整えるよう指示した。「おいでなさったな。女真のヤツらめ」 李化龍は城壁に...
八紘共栄圏を目指して

第847話 『ネゴシエイト』

慶長三年三月四日(西暦1598年4月9日) 諫早「これはこれはフュンドン殿、遠いところわざわざようお越し下さった」「いえいえ。伊集院殿も安国寺殿も、お元気そうでなによりです」 ヌルハチの腹心、フュンドンが肥前国首都の諫早を訪れるのは2度目で...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第8話 『適応プログラム』

2025年2月14日(令和7年2月14日) 佐世保市内 適応プログラムと言っても特に難しくはない。4月1日から各教育課程が始まるが、それまでの3か月間に現代人としての素養を身につけるのが目的である。 2024年度の教育課程全てが修了する3月...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第370話 『京都にて』

慶応二年一月十七日(1866/3/3) 京都 岩倉邸 次郎は正月の年賀の献上品とは別に、挨拶と近況報告を兼ねた参内を終え、岩倉具視の屋敷にいた。 幕府がアラスカの購入に動いている件を次郎から聞いており、岩倉はその真意を探ろうとしていたのだ。...
八紘共栄圏を目指して

第835話 『建州沿岸と豆満江』

慶長元年十一月十四日(1597/1/2)夜 へトゥアラ <小佐々純正> オレたちは問題が解決するまで滞在することになり、宿舎に案内された。『お互いに戦うつもりはない。じっくり腰を据えて話し合おう』 ヌルハチの提案を受けて、居室で一人考え事を...
八紘共栄圏を目指して

第833話 『遼東では足りぬのか、沿海州では足りぬのか』

慶長元年十一月十四日(1597/1/2)へトゥアラ「はっきり言っておきますが、余は肥前国はもちろん、その冊封国である朝鮮と戦うつもりはありませんぞ」 ヌルハチはそう言って純正の言葉を待った。「戦うつもりがないのであれば、なおさら兵を引き上げ...
八紘共栄圏を目指して

第832話 『何をもって領土とするか』

慶長元年十一月十四日(1597/1/2)肥前国彼杵そのぎ郡 佐世保湊みなと『失礼いたします! こおおおおぉぉぉぉぉぉぉのおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおお馬鹿者があああああ!』「そんな感じで殿下の前で、自分の息子を力いっぱいぶん殴ったのよ」「へえ…...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第7話 『情報統制と非公式法整備』

2025/1/30(令和7年1月30日) 海上自衛隊 佐世保地方総監部 山口と加来、そして隊司令の小松と艦長の石川が出迎えた7名の正面に座り、聴取が行われた。 会議室には緊張感が漂っている。 時を超えてきた軍人たちと、彼らを受け入れる現代日...
八紘共栄圏を目指して

第831話 『豆満江からウラジオストク』

慶長元年九月十日(1596/10/31)「長官、なんの変哲もございませんな。海沿いに砦と言えるような代物はありませんぞ」「うむ」 海軍大臣長崎甚左衛門純景からの命令で、佐世保を母港とする第一艦隊は豆満江河口周辺を索敵していた。同時に豆満江ト...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第360話 『決着』

慶応元年六月二十七日(1865/8/18) 琉球 オールコックとニール、そしてパークスの3人は立ち上がらざるを得なかった。 目の前に前英国首相と前外務大臣の2人が現れたのである。 立ち上がり……そして開いた口がふさがらない。「ば、バカな……...
八紘共栄圏を目指して

第828話 『ポルトガルの戦略と反乱の狼煙』

慶長元年五月十七日(1596/6/12)  リスボン「さて、宰相。この状況をどう見る?」 セバスティアン1世は大西洋の地図を見ながら、宰相のクリストヴァン・デ・モウラに質問していた。 ヨーロッパからアメリカ大陸にかけての地図だ。5月の中旬に...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第6話 『佐世保へ』

2025/1/30(令和7年1月30日)佐世保港 ミッドウェーから父島の海上自衛隊基地での補給を終え、佐世保へ帰港したのは十日後であった。 艦橋には小松と石川が立ち、石川が入港の指揮をとっていたが、普段の護衛艦隊の入港とまったく変わらない光...
八紘共栄圏を目指して

第827話 『憔悴のフェリペ2世』

慶長元年四月二十日(1596/5/17) スペイン マドリード フェリペ2世は疲れきっていた。「陛下、この上はバンカロータ(破産宣告)するしか方法がありません」 フェリペは重々しくうなずく。「わかった。だが、これが最後にしたい。我が治世で4...
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第5話 『いまの肥前国とポルトガル、そしてネーデルランド』

1589年11月7日 オランダ アムステルダム <フレデリック> デン・ハーグで得た情報をまとめると、ポルトガルと肥前国の情報は以下のとおりになる。 ・現在、肥前国は大日本国の中核として連邦国家を成している。 ・スペインを撃退。現在も戦争中...
八紘共栄圏を目指して

第823話 『新生バンテン王国』

文禄四年十二月二十八日(1596/1/27) バンテン王国「さあさあっ! 重苦しい話は終わりじゃ! 終わりっ!」 純正は立ち上がって、万座に向かって呼びかけた。「ムハンマド殿、発端はコショウの貿易だと聞き及んでおる。今後、いかがなさるおつも...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第349話 『賠償金交渉とロシア、フランス』

慶応元年一月二十日(1865/2/15) 賠償金交渉は遅々として進んでいなかった。 ■ロシア領事館「やはり、イギリスと日本の交渉は一筋縄ではいかないようですね」 後任の箱館領事のエヴゲーニイ・ビュツォフはゴシケーヴィチに言った。「そうだな。...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第3話 『フレデリックの政治の勉強』

天正十八年七月二十日(1589/8/30)  <フレデリック> クルシウスはライデン大学の教授で、植物学の大家だ。オランダどころかヨーロッパ全体で、植物学についてはかなりの影響力を持った人物である。 こんなことなら最初っからクルシウスに聞き...
八紘共栄圏を目指して

第821話 『バンテン王国とネーデルランド、総督府と純正』

文禄四年十二月十日(1596/1/9) 実はバンテンでの暴動が起きたときにプラタマが提案したオランダ接近案は、結論から言うとうまくいかなかった。 プラタマはバンテンではなく、スンダ・クラパ(現在のジャカルタ・以前のバタヴィア)に漂着したオラ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第345話 『首里城下にて』

元治元年十一月五日(1864/12/22) 琉球 御茶屋御殿うどぅん 2日後にクリスマスイブを控え、それが過ぎれば年末年始で普通は交渉事などやりたくないはずだが、イギリスとしてはそんなことは言ってられなかった。 早期に日本との交渉をまとめな...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第63話 『春休みは、まあやること決まってんだけどな』

1986年(昭和61年)3月20日(木) <風間悠真> 1年の修了式が終わって春休みに入る。 春休みが終われば2年になるわけだが、別にこれといって感慨深くはない。学年が上がって歳をとる、ただそれだけだと達観している51脳と、春休みに無意味な...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

時系列・あらすじ

以下、旧暦表示。随時更新します。1837年天保7年11月: 50歳の男が幕末の大村藩下級藩士に転生。若い妻と息子がいる状況に戸惑うが、純顕と純熈に仕え、列強に対抗する決意を固める。前世の記憶を頼りに、激動の幕末を生き抜こうと覚悟する。天保7...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第1話 『転生?』

1589年2月28日 オランダ アムステルダム <フレデリック・ヘンドリック> 重たい目をゆっくりあけた瞬間、ガン! と痛みが走った。 ズキンズキンと頭が痛み、喉はカラカラに乾いていた。薄暗い天蓋(ベッドの天井にあるフリルのカーテン状の物)...
八紘共栄圏を目指して

第811話 『オランダ-1594-黄金時代の幕開け?』

文禄四年三月二十五日(1595/5/4) ネーデルランド デン・ハーグ「よし、では報告を聞かせてもらおうか」 オランダ総督のマウリッツ・ファン・ナッサウは居並ぶ臣下の報告を宮殿にて聞いていた。呼ばれた人たちと臣下の注目はもちろんマウリッツで...
八紘共栄圏を目指して

第808話 『イングランドのスペインへの挑戦と東洋への野心』

文禄四年一月七日(1595/2/15) イングランド ロンドン 暖炉の火がパチパチと音を立てて執務室を暖かく照らし、窓の外には、テムズ川の穏やかな流れとロンドン市街の景色が広がっている。  エリザベス1世は羽根ペンを握り、羊皮紙に何かを書き...
八紘共栄圏を目指して

第807話 『斜陽のイスパニアと隆盛のポルトガル』

文禄三年十一月二十七日(1595/1/7) スペイン マドリード王宮 フェリペ2世は重々しい表情で窓辺に立ち、マドリードの王宮から広がる景色を眺めていた。彼の目には、かつての帝国の栄光と現在の苦境が映し出されているようだった。「陛下」 側近...
八紘共栄圏を目指して

第800話 『西南王楊応龍の死』

文禄三年二月八日(1594/3/29) 李化龍の進軍の報を聞いた楊応龍の対応は迅速であった。 本拠地の播州を中心として各地の苗族と連携をとり、統治のために配していた親族や腹心に命じて迎撃させたのだ。当初、数では劣勢であった楊応龍であったが、...
八紘共栄圏を目指して

第795話 『哱拝・ヌルハチ・楊応龍』

文禄二年六月十日(1593/7/8) 寧夏鎮「陛下、明が我が国の独立を認めましたな。これでようやく、民を安んじることができ、平穏が訪れるというものです」 哱拝ぼはいが独立を宣言後に明国の軍勢は撤退したが、和平は成立したものの、正式に明は寧夏...
八紘共栄圏を目指して

第792話 『賠償金の受取~黄金の雫』

文禄二年三月十日(1593/4/11) 京都 大日本国政庁「これはこれは……まさに圧巻であるな」 大日本国の財務副大臣である羽柴秀吉は、目の前にある66万貫文の永楽通宝を見てあっけに取られていた。肥前国(肥前州)の役人が特別歳入として届けて...
東アジアの風雲

第788話 『和平ではなく降伏の使者であろう?』

天正二十一年九月三十日(1592/11/4) 諫早城「なに? 和平ですと? 降伏の間違いではないのか、御使者どの」 明国から終戦の使者として礼部尚書の顧憲成が肥前国を訪れ、外務大臣の太田和利三郎政直(63歳)と面会したときの政直の第一声であ...
東アジアの風雲

第770話 『揺らぐ朝鮮』

天正二十年四月五日(1591/5/27) 肥前諫早「陛下、今この時をもって明より離れ、肥前国の冊封を受けるべく動く事が、朝鮮を未来永劫栄えさせる唯一の方策かと存じます」 領議政の柳成龍は、宣祖をはじめ文武の官僚がそろった朝議において声を大に...