要人

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第411話 『各国からの使者とイギリスと昭武』

慶応三年六月二十九日(1867年7月30日) パリ万博の日本パビリオン、特に大村藩の展示場は連日大盛況で、人波は途切れなかった。 むしろ、各国要人からの視察要請が相次ぎ、対応に追われる状況となっていたのである。 しかし、次郎はイギリスとの交...
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第410話 『列強の思惑』

慶応三年五月二十六日(1867年6月28日) 万博会場は前日に増して多くの来訪者でにぎわっていた。 日本パビリオン全体が注目を集める中、特に大村藩の展示は人だかりができるほどの盛況である。 軍事技術展示の評判が広まり、各国の軍事専門家や外交...
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第403話 『通信革命』

慶応三年五月十五日(1867年6月17日)パリ 朝方、日本パビリオンから叫び声が上がった。 警備を担当していた藩士が、息を切らして次郎のもとへ駆け込んでくる。「た、大変です! 大変です! 御家老様!」 次郎は慌てて起き上がり、部下の報告を聞...
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第402話 『空への挑戦』

慶応三年五月十三日(1867年6月15日)フランス・ブローニュの森 朝露がまだ残るブローニュの森に、異様な熱気が漂っていた。 パリ市民の憩いの場であるこの広大な森林公園の一角に、特別な設備が整えられているのだ。 高台にある長い滑走路状の平た...
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第401話 『移動と計算の革命』

慶応三年五月十一日(1867年6月13日)万博会場 晴れ渡ったパリの朝。 日本パビリオン前には前日を上回る長蛇の列ができていた。昨日の電灯実演の評判が市内に広まり、多くの見学者が詰めかけている。「兄上、もう門前にこれほどの人が……」 隼人が...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第13話 『シャルル・ド・モンモランシー』

1590年6月19日 オランダ ライデン 背が高い。 おそらく180cmはあるだろう。 日焼けしたがっしりとした体格に銀髪を持ち、その中に貴族的な品位が漂っている。「モンモランシー家の当主代理、シャルル・ド・モンモランシーだ。それとも、フレ...
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第360話 『決着』

慶応元年六月二十七日(1865/8/18) 琉球 オールコックとニール、そしてパークスの3人は立ち上がらざるを得なかった。 目の前に前英国首相と前外務大臣の2人が現れたのである。 立ち上がり……そして開いた口がふさがらない。「ば、バカな……...
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第357話 『アーサーの告白と英国外交文書』

慶応元年六月二十六日(1865/8/17) 琉球「パークス領事、あの時あなたも首をかしげていたではありませんか。なぜ英国人の仕業だとわかるのだ、と」 ……確かに。 パークスはアーサーと交わした会話を思い出す。「……」 YesともNoとも言わ...
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第282話 『生麦事件』

文久二年七月二十一日(1862年8月16日)生麦村 雲一つない晴天。東海道の生麦村付近を、薩摩藩主・島津忠義の父、島津三郎久光の一行がゆっくりと進んでいた。江戸での交渉を終え、薩摩への帰路についたのだ。「国父様、少々お休みになってはいかがで...
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第277話 『久光の上洛と寺田屋事件』

文久二年四月一日(1862/4/29) 京都 岩倉邸 発 諸調方しょしらべかた(諜報局) 宛 蔵人様 薩摩ノ草ヨリ報セアリ 島津三郎様 上洛ノ由 日本は次郎の活躍で不平等条約は締結しておらず、関税自主権もあり、領事裁判権も認めていない。また...
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第271話 『坂下門外』

文久二年一月十五日(1862/2/13)  江戸城「申し上げます! 御大老様、坂下門外にて襲われましてございます!」「なに! ? 真か?」 大老安藤信正襲撃の報はまたたく間に江戸城をかけめぐり、久世広周は信正の安否を問うた。「幸いにして御大...
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第269話 『小栗上野介との交渉』

文久元年十二月二十日(1862/1/19)  江戸城「これはこれは蔵人殿(次郎)、如何いかがなさいましたかな? 某、もはや大抵の事には驚きませぬぞ」「上野介様、なにも驚かそうなどとは考えておりませぬ。実は此度こたび、お許しいただきたいことが...
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第254話 『歴史は、変わらないのか?』

万延元年十二月九日(1861/1/12) 吉之助(西郷隆盛)にとって幸いだったのは、横浜から大阪を経由して鹿児島、長崎、大村を往復する小曽根大浦海運の客船(輸送船)が一日、五日、十日、十五日、二十日、二十五日と運航していた事だ。 四日に江戸...
大日本国から世界へ

第742話 『籠手田安経と三度、イスパニアの影』

天正十七年二月二十七日(1588/3/28) 純正が向かう東南アジア総督府はカリマンタン島のクチンにあり、ブルネイ県・スラウェシ県・インドネシア県・ニューギニア県・オーストラリア県の広大な領域を統括する総督府である。 陸地面積だけでルソン地...
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第216話 『江戸出府と将軍継嗣問題』

安政四年十一月九日(1857/12/24)  下田、箱館、長崎を開港地としてアメリカ人を居住させ、長崎において限定的な交易を行うという成果をあげたハリスの残りの目的は、江戸へ出府して将軍家定と謁見し、大統領の親書を渡す事であった。「太田和殿...
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第203話 『通商条約の前に和親条約の改正』

安政三年八月十七日(1856/9/15)   イギリス・アメリカ・フランス・オランダの4か国艦隊が、各国の領事予定者を乗せて下田に着いた頃、中国では太平天国の乱が継続中であった。 イギリスは太平天国の首都(建都された南京・天京)を公使である...
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第192話 『第12代アメリカ東インド艦隊司令長官ジェームス・アームストロング』

安政二年八月二十四日(1855/10/4)  ようやく涼しくなってきた十月(旧暦八月)の四日、大村藩庁海防掛に驚くべき電信が入った。 発 瀬戸台場 宛 海防掛 我 異国船 発見セリ 指示ヲ願フ 大村藩領内の瀬戸村の台場からの電信である。 来...
天下百年の計?

第697話 『本能寺の変』(1582/6/21)

天正十一年六月二日(1582/6/21) 京都大使館  織田信長をはじめとした旧来の新政府の面々に加え、北条からの使者を諫早に迎える事が出来たのは大きかった。氏規も江雪斎も小佐々の国力と軍事力に度肝を抜かれ、すっかり新政府の一員としての考え...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第624話 『日ノ本大同盟内の経済格差と移住問題』(1576/2/9) 

天正五年一月十日(1576/2/9)永禄四年四月(1561)に、沢森平九郎政忠として転生して15年がたっていた。その治める版図は北は北海道の北西岸、南は鹿児島県のトカラ列島、東は静岡県の吉原湊(租借地)に、西は五島列島までに及んでいた。小佐...
北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。

第607話 連合艦隊司令長官 深沢勝行(1574/8/18)

天正三年八月二日(1574/8/18)小佐々城新たに編成された第四、第五艦隊の陣容は以下のとおりである。■第4艦隊(呉) 連合艦隊司令長官 深沢勝行大将 第4艦隊司令長官 佐々清左衛門加雲中将第41戦列戦隊(41bd) 74門戦列艦 富士(...
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第30話 『人生初の参勤交代』(1838/12/29)

天正九年十一月十三日(1838/12/29) <次郎左衛門> 4月にいきなり参勤交代への同行を命じられた俺は、条件を出した。 臣下の身分で主君に条件など、というのが普通かもしれないが、こればかりは願い出るしかなかったのだ。 その条件とは俺を...
第2.5次信長包囲網と迫り来る陰

第443話 通訳を求めて堺へ。紙屋甚六の旅

元亀元年 十二月二十三日 大和国(奈良県)「やはり遠いですな、大和は。ここからさらに京に堺にとなると、さらに遠い。そしてこのたびのお役目は、難儀な事ですなあ」 そうやって同行者に愚痴をこぼす者がいる。 相模国小田原の紙商人の紙屋甚六である。...
西国の動乱、まだ止まぬ

第373話 土佐安芸郡一揆⑤陰のフィクサー?小佐々治部少丞純久

永禄十二年 十一月十五日 京都 室町御所「公方様、小佐々弾正大弼純正が家臣、小佐々治部少丞純久にございます」 純久は京都にあって大使として各国(各勢力)の重要人物と会うことが多いが、義昭は少し面倒くさいので、必要最小限にしていたのだ。 しか...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第41話 戦乱の足音 藤原千方の報告

「千方か、入れ」「はは」 相手が千方だと無駄な話がない。性格が生真面目、ではなく、主従の関係がそうさせているのだろう。「それで、どうであった?」 言葉少なに聞く。「は、されば先日の曲者ですが、やはり針尾伊賀守の手の者に間違いございません。昨...
人物紹介

人物紹介④(127話~272話)

( )内は転生時、永禄4年(1561年)時点での数え年齢です。基本的に架空・史実の両方記載しますが、史実の人物の生没年、内容、記載の有無は筆者の任意なのでご了承ください。※は史実人物(本作ストーリー上内容修正あり)龍造寺政家(5)※純家/太...