転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第455話 『再び、フィクサー次郎』

慶応四年十一月上旬(1868年12月中旬) ・まずは幕府に公式に合議制を認めさせる(成功・貴族院) ・貴族院議場を幕府の権限を弱めるために本願寺に移設(論議中に騒動発生) ・無党派層の取り込み(進行中だが京都の騒乱のために進んでいない) 本...
信長と純正、そして教え子たち

第907話 『科学の盾と信仰の刃』

慶長七年三月十五日(西暦1602年5月7日)リスボン大聖堂 毒殺計画の失敗から数日が経過し、枢機卿すうききょうの憎悪は頂点に達していた。「王は悪魔に魅入られた。もはや我らが王ではない。毒を見破る術など人間の業ではないのだ。あれは間違いなく悪...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第87話 『勉強会という名の抜け駆け』

1986年5月26日(月) AM8:00 <風間悠真>   いやあ、昨日の図書館での勉強会は完全に失敗だったな。 予想はしていたが、収拾がつかん。 紳士協定(いや淑女協定、いや少女協定か?)で私一人だけが悠真の女、という行動は暗黙の了解でN...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第454話 『勅許と激震』

慶応四年十月二十九日(1868年12月12日) 京都 岩倉邸「~との由にて、麿まろが草(下書き)をしたためて奏上いたしましゃる。近々に主上おかみより宣旨が発せられましゃる」 ! な、なんて? なんて言った? 殿が正四位下で近衛大将このえのだ...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第86話 『13人の勉強会大作戦~でも勉強にならない~』

1986年5月25日(日) AM10:00 五峰町立図書館 約束の時間より30分早く、悠真は図書館に到着していた。 どう考えても思春期の男女13人が一緒に勉強して上手くいくはずがない。恋愛関係が複雑に絡み合っているならなおさらだ。 いや、て...
信長と純正、そして教え子たち

第906話 『賢王の茨の道』

慶長七年二月十三日(西暦1602年4月5日) リベイラ宮殿 セバスティアン1世が政教分離を宣言した後、謁見の間は静寂に包まれていた。 力なく歩きながら部屋を出た枢機卿すうききょうは、恥辱を感じた表情をローブのフードで隠し、彼に従う保守派貴族...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第85話 『ガレージに集う13人~恋愛格差と勉強会提案~』

1986年5月11日(日) PM5:30 バンド練習が終わると、祐介のガレージに続々と人が集まってきた。いつも一緒の祐介が小百合に声をかけたのだろう。小百合は部活に入っていないが、今日は家の都合で昼間は離ればなれだった。 悠真の6人のハーレ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第453話 『武備恭順 ~長州藩、復讐への道筋~』

慶応四年十月二十七日(1868年12月10日) 周防国 山口城 周布政之助の死は、長州藩に重苦しい影を落としていた。 慶喜の政治的裁定によって藩の重臣が命を絶たれた事実は、藩士たちの心に幕府への消えぬ憎悪を刻み付けたのである。藩庁の空気は悲...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第84話 『7月のIndependence Day Live』

1986年5月11日(日)「祐介! ゆうすけ! ゆーすけ! ユウスケ! YUUSUKEEEE!」「うるせえなっ! 遅刻してきたくせに黙りやがれっ!」(蓮)「珍しいね。悠真がそこまで興奮するなんて」(湊みなと)「どうしたんだいユーマ。どこかで...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第30話 『金融革命~オランダに現れた銀行と証券取引所~』

1591年8月15日(天正19年6月26日) オラニエアカデミーの一室 フレデリックたちはコルネリス・ピーテルスゾーン・ホーフトをアカデミーの一室に案内して商談し、その後メンバーで相談するために別室に移動して議論を交わしていた。 アカデミー...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第452話 『三権分立と薩長の離反』

慶応四年十月二十日(1868年12月3日) 京都 大村藩邸  京都の混乱が一応の決着を見てから六日が過ぎ、徳川慶喜の政治的手腕によって表面上は秩序が回復したかに見えた。 しかし次郎には、この平穏が砂上の楼閣に過ぎないと分かっている。 三権分...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第83話 『絵美。ハグからキスへ』

1986年5月9日(金) <風間悠真> 放課後、オレはいつも通り下校中に絵美を廃工場に誘った。 昨日の菜々子との進展で、遅れ組の攻略に本格的に着手する決意を固めていたんだ。6人の中で1番遅れている絵美を、今日はキスまで持っていく。「悠真~、...
信長と純正、そして教え子たち

第905話 『望むところだ』

慶長七年二月十三日(西暦1602年4月5日)「では兄上、行ってまいります」「うむ、日本はもちろんだが、欧州においてポルトガルの影響力は大きいからな。しっかり頼むぞ」 フレデリックは、先月ポルトガルより届いた技術交流(供与)と『火山の冬』に関...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第451話 『慶喜の政治的裁定と三権分立への道』

慶応四年十月十四日(1868年11月27日) 二条城 偽の長州藩士2名(真犯人)  罪状:騒乱罪(首謀者)、放火罪、詐欺罪(身分詐称)、謀反罪(幕府転覆)   処罰:死罪(斬首) 見廻みまわり組隊士  罪状:騒乱罪(料亭での集団暴行・刃傷沙...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第450話 『沙汰と黒幕』

慶応四年九月六日(1868年10月21日) 新選組の屯所で、土方は取り調べを続けていた。 しかしいっこうに進展はない。 一方には京都見廻みまわり組の隊士たち、もう一方には長州藩士たちがいる。「我らは何もしておらぬ。祝い酒の帰りに歩いていただ...
信長と純正、そして教え子たち

第904話 『賢王セバスティアン1世の探求』

慶長七年(西暦1602年)一月 ポルトガル王国・リスボン アムステルダムから帰国した視察団の報告は、リベイラ宮殿を未曾有の衝撃と混乱に陥れた。 謁見の間は重く冷たい沈黙に支配されている。 玉座の前に整列した重臣たちの顔には、焦りと屈辱、そし...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第14話 『緊迫の尖閣』

令和9年4月8日(2027年4月8日) 東シナ海 尖閣諸島周辺海域 横須賀で編成式が執り行われていた、まさにその時。 東シナ海の尖閣諸島、魚釣島周辺海域は一触即発の緊張に包まれていた。 巡視船『あさづき』の船橋内の空気は張り詰め、田中は双眼...
信長と純正、そして教え子たち

第903話 『ポルトガルの焦燥』

慶長六年(西暦1601年)十二月 ポルトガル王国・リスボン リスボンの空は鉛色の雲に重く閉ざされていた。 本来であれば冬でも気温が高い地域だが、大西洋から吹く風は冷たく湿気を含んでおり、太陽の暖かさを感じられない港町は、北方の地域と同じく活...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第449話 『料亭の凶刃』

慶応四年九月四日 夜半 京都 京都守護職屋敷「……近藤、土方をここへ」 執務室の静寂を破ったのは、松平容保の低くしぼり出すような声だった。 近習が息をのんで退出すると、部屋は再び沈黙に包まれる。燭台しょくだいの炎が揺れ、机の前に座っている容...
信長と純正、そして教え子たち

第902話 『天下治平之大計』

慶長六年十一月四日(1601年11月28日) 帝都・諫早 指令室内では、昼夜を問わず担当者が全国から届く報告を叫びながら作業していた。 壁一面の巨大な日本地図の前では、書記官たちが長い竿さおの先に付けた駒を、目まぐるしく動かし続けている。 ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第448話 『長州を救う密約』

慶応四年九月三日 夜更け 京都 大村藩邸 日付がまさに変わろうとする刻限であった。 自室に長州藩の家老・周布政之助と重臣・久坂玄瑞を残し、次郎は純顕の私室へと続く廊下を速足で進んでいく。 静まり返った屋敷に、次郎の足音だけが響いた。その歩み...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第55話 『資源の道を拓け』

西暦257年3月下旬 対蘇国ついそこく国境地帯 険しい山々の間から、空の一部分だけが見える。木々の間を吹き抜ける風はまだ冷たく、兵士たちの呼気を白く染めた。「敵の動きはどうだ?」 崖の上の持ち場で、ミユマは静かに傍らの兵士に確認した。「はっ...
信長と純正、そして教え子たち

第901話 『ポルトガルの疑念』

遡ること慶長五年六月(1600年7月) ネーデルラント連邦共和国 ハーグ ハーグのビネンホフにある共和国議事堂の一室で、ネーデルラントで最も力を持つ2人の男が、1枚の報告書を前に腕組みをしていた。 1人は連邦共和国総督、マウリッツ・ファン・...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第447話 『周布と久坂』

慶応四年九月三日(1868年10月18日) 夜の闇が三条小橋界隈の小さな居酒屋にまで忍び寄っていた。 行燈の頼りない光が、店内にいる数人の男たちの顔をぼんやりと照らしている。 昼間に藩邸で『弾圧停止の約束』を取り付けたとの知らせを受け、束の...
信長と純正、そして教え子たち

第900話 『黄金の国の飢餓』

慶長五年(1600年)十一月 新生インカ帝国首都 クスコ「……まだ、来ないのか」 絞り出すような声が、がらんとしたクスコの玉座の間に響いた。 皇帝トゥパク・アマルの言葉は、問いかける相手もいないまま、高く冷たい石の天井に吸い込まれて消える。...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第446話 『守護職弾劾』

慶応四年九月二日(1868年10月17日)「御用改めである! 神妙にいたせ!」 けたたましい怒鳴り声と共に、旅籠の部屋の障子が無残に蹴破られた。 月明かりを遮って現れたのは浅葱あさぎ色の羽織をまとった新選組の隊士たちである。抜き身の刀が行燈...
信長と純正、そして教え子たち

第899話 『飢える帝国』

慶長六年九月(1601年10月)肥前県諫早 政府庁舎 秋の収穫が終わった。 しかし残念ながら純正の1年前の予言は的中し、破滅的な結果がもたらされたのである。 南米ペルーのワイナプチナ火山が噴き上げた『見えざる灰』は、容赦なく日本列島にも降り...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第445話 『第一回貴族院と事件』

慶応四年八月下旬(1868年10月) 京・小松帯刀たてわき邸 庭に落ちる影が、ゆっくりと西へ傾き始めていた。 帯刀は大久保利通が去った後、数日間にわたって一人部屋に籠もって考え込んでいる。 大久保が示した策は暗闇を照らす希望の光にも見えれば...
信長と純正、そして教え子たち

第898話 『見えざる灰』

慶長六年九月十九日(1601年10月25日) 肥前県諫早 帝国政府庁舎 純正が館山で東日本の新たな秩序の礎を築いている頃、首都諫早では、緊張感の中で国家の全ての機能がフル稼働していた。 帝国食糧安全保障会議。 そこでは、帝国の存亡を左右する...
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第444話 『公儀政体党』

慶応四年八月十五日(1868年9月30日) 京・薩摩藩邸「和戦両様? 詳しゅう申せ、帯刀たてわき」「は」 久光の低い声には未だ納得できない苛立ちが表れている。帯刀は主君の視線を真っ直ぐに受け止め、覚悟を決めて口を開いた。「は。まず『和』ん道...
信長と純正、そして教え子たち

第897話 『江戸と館山』

慶長五年九月十三日(1600年10月19日) 安房国館山 館山に向かった純正の座乗艦『多比良』は、3日間の航海を経て館山の港に入港した。 天然の良港として知られている館山港の湾内は、波が穏やかで大型船の停泊にも適している。 里見義重は佐貫城...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第443話 『公儀の影』

慶応四年八月十三日(1868年9月28日) 京・大村藩邸 小御所での嵐の朝議から二日が経過した。 次郎が心血を注いで起草した『重要技術管理法案』は、帝の裁可を経て正式に布告される段取りとなり、その知らせは京の有力者たちの間に静かだが確実な波...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第13話 『新鋭、第一護衛艦隊第一機動護衛隊』

令和9年4月8日(2027年4月8日) 海上自衛隊の横須賀岸壁には、初春の柔らかな陽光が降り注いでいる。 海将補として任官していた山口は、第一護衛隊群司令である沢村利行海将補とともに、横須賀基地で執り行われる特別な編成式に参加していたのだ。...
信長と純正、そして教え子たち

第896話 『新旧対立と安房』 

慶長五年九月十日(1600年10月16日)  純正は、新しく編成した戦略会議室の面々と蒸気船に乗って関東地方安房県館山へ向かった。「おお、これはなんとも……」「話には聞いておったが、真に風もないのに動いておるの」 武藤喜兵衛(真田昌幸)と曽...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第442話 『典薬寮と権力闘争』

慶応四年八月十一日(1868年9月26日) 「ふう」 次郎は、書き上げたばかりの『重要技術管理法案』の草案から顔を上げた。 新暦に直すと9月末だが、それでも残暑が厳しい。 洛中らくちゅうの連続ボヤ騒ぎに関する加賀藩からもたらされた情報は、犯...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第441話 『技術の担い手』

慶応四年六月二十三日(1868年8月11日)  横浜外国人居留地内 商館 商館内は緊張感に包まれていた。 幕府とフランス、双方の技術者を集めた実務者協議の場である。 パリ万博において、フランスに対する無煙火薬と高強度鋼の供与に関する協定が結...
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第440話 『典薬寮と理化学研究所』

慶応四年五月四日(1868年6月23日)「脚気衝心かっけしょうしん……にございますか。にわかには信じがたい診立てですな」 藩医は困惑した表情で首をひねっている。 薩摩藩邸に戻った小松帯刀は、藩医に大村藩病院での診断結果を報告していた。 横に...
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第439話 『事件は迷宮へ、されど疑心暗鬼は深まり時は過ぎる』

慶応四年五月三日(1868年6月22日)「五兵衛よ、詳しく知らせよ」 慶寧よしやすの問いに、五兵衛は頭の中で情報をすり合わせ、間違いがないか考えている。 ただの風聞では片付けられない、不穏な意味合いを持っていると考えられるのだ。「はい、申し...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第438話 『顛末とこれから』

慶応四年五月三日(1868年6月22日)「申し上げます。禁裏御守衛総督屯所より上使がお越しになりました」 張り詰めた声が静かな部屋に響く。純顕が短く応じた。「お通しせよ」 初夏の陽光が障子を通して柔らかく差し込む中、大村藩邸の奥座敷には純顕...
信長と純正、そして教え子たち

第894話 『純正と信長』

慶長五年六月二十六日(1600年8月5日) 岐阜城「……」「……」 病によって半年以上も意識を失っていた純正の盟友は、痩せてはいたが、その目は穏やかであった。 静かな瞳がただ真っ直まっすぐに純正を見据えている。 部屋には他に誰もいない。 信...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第436話 『科学の目』

慶応四年四月二十五日(1868年5月17日) 洛中らくちゅう同時多発火災から数日後、容疑者の実行犯4名の男たちが捕縛された。 幕府、薩摩、長州、公家くげの全勢力に恨みを持つ者たちが同時に事件を起こし、人々に深い困惑をもたらしたのである。 こ...
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第893話 『覚醒』

慶長五年四月二十五日(西暦1600年6月26日)美濃 岐阜城 大阪での過酷な裁定から2日が経過し、信則たちは故郷の岐阜へ戻ることを許された。 温情ではない。 越前への移住準備で最後の務めを果たすためである。 岐阜城下は肥前国の役人によって完...
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第435話 『洛中謀略譚』

慶応四年四月十八日(1868年5月10日) 小御所での会議が混乱のうちに終わった翌朝、京の空には雨がやんで湿った空気が漂っていた。 洛中らくちゅうを騒がせた火事は大きな延焼もせず、いずれも小規模なボヤ程度の騒ぎで鎮火していたのである。 人的...
一強からの変化

第892話 『是非もなし』 

慶長五年四月二十三日(西暦1600年6月4日) 大阪政庁 近江から昼夜を問わずに駆け続けた信則と氏郷は、ようやく大阪政庁に到着した。 和議への最後の望みをつなぐため、彼らは疲労した体に鞭むち打ってここまで来たのである。 肥前国の役人に案内さ...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第81話 『どう考えても無理! じゃあどこにいく?』

1986年(昭和61年)5月4日(日) 悠真の突然の発言で、美咲たちの顔がパッと変わった。さっきまでキラキラしていた瞳が一瞬で不機嫌マックス。「えー! なんで?」 美咲が真っ先に声を上げる。その声は明らかに不満そうだ。「せっかく楽しみにして...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第434話 『政治改革と京都炎上』

慶応四年四月十七日(1868年5月9日)夜 御所内 小御所 慶喜が提示した石高に応じた票数配分案は、小御所内の空気を再び動かした。 親藩・譜代と外様とざまの票数が拮抗きっこうし、公家くげ衆が加わる。 一見すると数の不公平を解消する現実的な妥...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第433話 『混迷の小御所会議:慶喜の貴族院構想と各藩の思惑』

遡って大村藩邸での会合の後――。「お見事でございます。これにて万事、滞りなく相成りました」 永井尚志なおゆきはわずかな笑みを浮かべて慶喜に言った。「ふん」「頭を下げて事が良き方へ流れるならば、いくらでも下げれば良いのです。然さりながら殿が行...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第54話 『動乱の九州:女王壱与と狗奴国との攻防』

西暦257年3月1日 方保田東原《かとうだひがしばる》の都「各国の皆様、お集まりいただき、ありがとうございます」 都の大広間では、弥馬壱国同盟の主要国から代表者が集まっていた。壱与が上座に座り、その隣には比古那と彌勇馬(ミユマ)、伊都比売(...
一強からの変化

第890話 『飢餓の進軍と死装束の長政』

慶長五年四月十日(西暦1600年5月22日) 「おお、越後屋に組屋ではないか。他にも……。何人かは見知らぬが、代替わりでもしたか? 懐かしいのう。如何いかがした?」 嘆願書を携えた十名の商人である。 昔馴染みへ語りかける穏やかな口調とは裏腹...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第432話 『禁裏御守衛総督』

慶応四年四月十日(1868年5月2日) 京・大村藩邸 春の柔らかな日差しが、手入れの行き届いた庭の苔こけを照らしている。「――以上が、越前までのあらましの次第にございます」 次郎は純顕への報告を終えた。 北陸から戻って京で合流してから7日が...