転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第397話 『パリへの道』

慶応三年五月六日(1867年6月8日)フランス・セーヌ川・シュレーヌ ル・アーヴルから6月5日に出発した日本の遠征隊は、約340キロメートルのセーヌ川を遡上する航行の4日目を迎えていた。 夜間の航行は危険なため、日の出から日没までの約12時...
八紘共栄圏を目指して

第861話 『登州会談』

慶長四年正月二日(西暦1599年1月28日) 登州城外 霧の立ち込める湾に、沙門しゃもん島を経て一隻の小舟が静かに近づいていた。ホホリは和平の旗印を携え、緊張した面持ちで周囲を警戒している。 女真軍は登州全域から撤退し、登州城を中心とした蓬...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第22話 『振り子が刻む新時代』

1591年1月7日(天正十八年十二月十二日) オランダ ライデン フレデリックとウィルは、早速翌日からメートル原器を作るための第一段階である、秒の測定の準備に取りかかった。 まず、昼間に垂直な棒(グノーモン)を立て、その影の長さを観測する。...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第396話 『潜水艦と少年』

慶応三年五月二日(1867年6月4日)フランス ル・アーヴル パリ万博に二ヶ月遅れて参加となった日本遣欧団は、艦隊をフランスのセーヌ川河口にある港町ル・アーヴルまで進ませた。 潜水艦『大鯨』と水雷艇『神雷』のえい航索を切り離し、万博の参加要...
八紘共栄圏を目指して

第860話 『反転攻勢』

慶長三年十二月二十九日(西暦1599年1月25日) 遼東 三萬衛「よし、攻めるぞ! この機を逃すな」 霧に覆われた草原を、凍いてつく風が吹き抜けていった。 夜明け前の空は、まだ暗く沈んでいる。 何もなければ年の瀬である。大みそかに向けて準備...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第12話 『海将補、山口多聞』

令和9年4月1日(2027年4月1日)佐世保教育隊 本日ここに、特別プログラムを修了された三名の皆さんに、心から敬意と祝意を表します。 皆さんはかつて日本海軍で指揮を執り、歴史の荒波を生き抜いた指揮官であり、幾多の困難と責任を背負ってこられ...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第21話 『測れるものだけが改良できる』

1590年12月12日(天正十八年十一月十六日) オランダ ライデン「うーん」 フレデリックは考えていた。 何を? 産業革命時点、つまり18世紀末~19世紀半ばの技術力にまでオランダを爆進させるっていったって、一体何からやればいいのか? そ...
八紘共栄圏を目指して

第859話 『ブヤン・セチェン・ハーンと後のクンドゥレン・ハーン』

慶長三年十二月二十六日(西暦1599年1月22日) 遼東 三萬衛「ハーン、このままでは山東は明軍に奪い返されてしまいますぞ!」「分かっておる! しかし、今はこれが最善の策なのだ! くそう、チャハルのブヤンめ、この機に攻め寄せてくるとは、やは...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第20話 『某大手銀行史上初の女性頭取、転生す』

1590年11月16日(天正十八年十月十九日) オランダ ライデン 誰? フレデリックとオットーがそう思うのも無理はない。 シャルルが連れてきた女の子。 フレデリックと変わらない年齢に見える少女は、さっきまで部屋の中を走り回って、さまざまな...
八紘共栄圏を目指して

第858話 『鄧松と明黎国境・中原の争いやまず』

慶長三年十一月二十八日(西暦1598年12月26日) 大越国 東京(トンキン・ハノイ)「何? 肥前国から使者が来たと? ふむ、お通しせよ」 後期後黎朝の都、トンキンの宮殿で、丞相である鄭松ていしょうは使者の謁見を受けた。「よくぞ来られた。肥...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第52話 『狗奴国との緊張状態、戦争は避けられるのか?』

正元四年一月二十一日(257/2/21?) 方保田東原かとうだひがしばるの宮処みやこ 修一たちとSPROのメンバーは、結局前回と同じ方法で弥馬壱国へ向かうことになった。 車を使って行けば一日で行けると喜んだ一行だったが、すぐにぬか喜びに終わ...
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第19話 『10年で産業革命』

1590年11月16日(天正十八年十月十九日) オランダ ライデン 結局、 塩は1lbポンドで3ギルダー。→十分にもうかる。 砂糖は1lbで1.5ギルダー。→もうかるが、生産量とポルトガルの砂糖との兼ね合い。そして、今後始まるであろうオラン...
八紘共栄圏を目指して

第857話 『盤上の策士たち』

慶長三年十月三十日(西暦1598年11月28日) 海西地方 天津市 開封府で万暦帝との会見を終えた純正は、大陸三分の計が実現しようとしている今、海西地方の天津市で今後の対策を練っていた。 女真はモンゴルの侵攻を受けて防戦のために遼東へ撤退し...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第392話 『喜望峰沖の嵐』

慶応三年一月六日(1867年2月10日)喜望峰沖 大村藩海軍艦艇『知行』を旗艦とする日本国万博遣欧艦隊は、南緯三十八度、喜望峰沖の海上を進んでいた。 夕暮れの空は一面灰色の雲に覆われ、海面は不自然なほど静まりかえっている。「嵐の前の静けさだ...
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第18話 『世の中そんなに甘くない』

1590年10月19日 オランダ ライデン 前回の方舟会議(中二病商会の会員三人による廃屋での会議)で、フレデリックは10アールあたりのテンサイの生産量をもとに、ビジネスとして十分に成り立つと確信した。 しかし生産効率を向上させるためには、...
八紘共栄圏を目指して

第856話 『大明皇帝朱翊鈞と肥前国王純正』

慶長三年十月一日(西暦1598年10月30日) 開封府「直茂よ、オレは初めて大陸に来たが、やはり北京の紫禁城を訪れてから開封府に来てよかったの。都なれば、その国のすべてが集まっておるであろう? ゆえにその国の力とそのゆえんの何たるかが分かる...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第390話 『交渉の平行線――補給地の誘惑と日本の決断』

慶応二年十一月十日(1866年12月16日)サラワク王国 クチン ガウワーの言葉の裏にある意図を感じ取りながらも、次郎は表情を崩さず、静かに返答した。「過去の出来事は決して忘れませんが、未来を築くためには慎重な歩みが必要です。今はまだ状況が...
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第17話 『計算違いの商会創設記~現実は甘くない~』

1590年9月19日 オランダ ライデン 突然だが、三人は商会を設立した。 兄であるマウリッツから、弟とはいえ国民の税金を使う以上、なあなあにはできないと言われたのだ。 その点において、商会の名目上の責任者としてシャルルを任命する考えは悪く...
八紘共栄圏を目指して

第855話 『保定府会談と草原の狼煙』

慶長三年九月一日(西暦1598年10月1日) 天津衛「何だ、ヌルハチはおらんのか?」 三国戦争の調停のために渡海し、天津に到着した純正は、河間府にヌルハチがいないと知り、驚きを隠せなかった。 随行員はいつもどおり、戦略会議室のメンバーで構成...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第389話 『ガウワー再び! サラワク王国で揺れる日英の駆け引き』

慶応二年十一月十日(1866年12月16日)サラワク王国 クチン「な、何をなさっておいでなのですか……」 次郎は加賀藩の名代である前田慶寧よしやすに近づき、最初にこう言った。 慶寧は酒杯を手に持ったまま、次郎の声に驚いて振り返った。その表情...
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第16話 『砂糖で儲ける? 石けんで守る? 富と衛生を両立せよ!』

1590年8月23日 オランダ ライデン「え? どういうこと?」 フレデリックは立ち上がってシャルルに詰め寄った。 無理もない。 市場を徹底的に探し回ってクルシウスにも相談し、何度も計算を重ねた結果なのだ。それを一言で否定されてしまうと、さ...
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第387話 『ぶち切れる』

慶応二年十一月三日(1866年12月9日) バタヴィア「では各々方、憚はばかりながらそれがし、太田和蔵人次郎左衛門が、議事を進めたく存じます」 次郎の隣には、大村藩の名代である甲吉郎純武が控えている。 幕府と加賀藩を除く各藩の名代と艦長(責...
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第14話 『魔術師裁判』

1590年7月16日 オランダ ライデン ライデン市庁舎の石造りの法廷には、いつもよりも多くの市民が集まっていた。 窓から差し込む夏の光は、緊張感に満ちた空気を和らげるどころか、むしろその場の重苦しさを一層際立たせている。 中央の被告席には...
八紘共栄圏を目指して

第854話 『三国鼎立とモンゴルのオルドス・トゥメト・ヨンシエブ・チャハル・ハルハ・ウリャンカイ』

慶長三年八月一日(西暦1598年9月1日) 諫早「殿下はこれでもまだ、明が弱まるべきだと仰せになりますか――」 明国の内閣次輔、沈一貫は諫早城下の外交使節迎賓館の一室に滞在していた。 純正との初回交渉から一週間。 彼は齢六十を超え、最後の奉...
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第386話 『図らずも』

慶応二年十月二十九日(1866年12月5日) バタヴィア『李百里』の遭難を受けて、次郎は全力で捜索すると同時に、全艦の整備点検を実施した。「MijnheerOtawa(太田和殿)、我々も全力をあげて捜索しています。考えられる場所としては、ス...
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第13話 『シャルル・ド・モンモランシー』

1590年6月19日 オランダ ライデン 背が高い。 おそらく180cmはあるだろう。 日焼けしたがっしりとした体格に銀髪を持ち、その中に貴族的な品位が漂っている。「モンモランシー家の当主代理、シャルル・ド・モンモランシーだ。それとも、フレ...
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第385話 『バタヴィアでの決断』

慶応二年十月二十四日(1866年11月30日) ごう音と共に、暗雲が艦隊を覆い尽くした。「縮帆! 備えよ!」 顕武の命令がすぐさま甲板の乗組員に告げられる。 雨音はさらに大きくなり、声がかき消されそうなほどだ。「隼人助(大村艦隊司令)、スコ...
八紘共栄圏を目指して

第853話 『新都 開封』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 開封府 黄河のほとりに広がる開封は、かつて北宋の『東京』として栄えた都だった。 三重の城壁に囲まれた街並みは、長安のような碁盤目状ではなく、複雑に入り組んだ路地と水路が張り巡らされている。 ...
八紘共栄圏を目指して

第852話 『決断』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 万暦帝は決断を下した。 開平府(現在の内モンゴル自治区シリンゴル盟正藍旗南部)から順天府(北京)までは、約441km。 宣府(河北省張家口市)からは約194km、大同府(山西省大同市)からは...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第383話 『仏領コーチシナ』

慶応二年十月十日(1866年11月16日) 次郎はこの航海を終えた後、幕府に願い出て海軍士官の練習航海を年に一度実施しようと考えていた。 幕府海軍にも必要だろうが、今後、日本が近代国家として列強と渡り合っていくには見聞を広める必要がある。 ...
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第12話 『転生者フレデリックと転生者オットー&コンパス・オブ・ディスティニー』

1590年6月19日 オランダ ライデン「ちょっと話がある、後で時間とれるか? お前も同じ転生者なんだろ? 日本人の(日本語で)」 フレデリックはオットーの耳元でそうささやいた。 オットーは瞬時に状況を理解したのか、短くうなずく。「皆、静ま...
八紘共栄圏を目指して

第851話 『対スペインパルチザンと李化龍のあせり』

慶長三年六月十八日(西暦1598年7月21日)「直茂、ビルカバンバの皇帝に親書は届いておろうな?」「は、そろそろかと存じます」 今年の2月にインカ帝国の皇帝から親書を受け取り、正式に国交を樹立する旨の返書を送ったのだ。 ただし、軍事支援は行...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第382話 『幕府海軍と大村海軍』

慶応二年九月二十二日(1866年10月30日) 当初、次郎は大村海軍の両艦隊の旗艦である『知行』と『大成』、さらに補給艦2隻と潜水艦『大鯨』、水雷艇『神雷』を伴ってパリ万博に臨む予定であった。 しかし、幕府と諸藩の強い要望を受けて、幕府と各...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第11話 『幹部候補生学校と航空学生』

令和7年4月(2025年4月)佐世保 山口多聞少将、加来止男大佐、鹿江隆中佐をはじめとする数名の士官は、佐世保教育隊の敷地内で幹部候補生課程に入った。 同様に角野博治大尉、橋本敏男大尉、重松康広大尉、その他の航空要員の下士官や兵士たちは、山...
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第51話 『再び、西暦255年? なのか』

正元四年一月十四日(西暦257年2月14日?) 同じだ。 修一はそう思った。 何度も経験しているが、決して慣れない。 毎回頭痛に悩まされているからだ。「壱与、イツヒメ、イサク、咲耶、比古那……みんな無事か? 結月ちゃんは?」「はい、私は大丈...
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第11話 『オットー・ヘウルニウス』

1590年5月12日 オランダ ライデン <オットー・ヘウルニウス> 5年前の出来事だった。 オレが7歳の時、すべてが突然変わった。いや、正確に言うと、オレ自身が変わったのだ。 父の研究室で初めて解剖を目にした日は、今でも鮮明に記憶に残って...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第381話 『実は黒字でいざゆかん万博へ!』

慶応二年九月二十日(1866年10月28日) チュイルリー宮殿の一室は、異様な熱気に満ちていた。 中央の大きなテーブルには、駐日フランス帝国公使レオン・ロッシュからの報告書と、それに添付された写真が広がっている。 ナポレオン三世(シャルル・...
『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

第71話 『美咲と礼子のPROGRESS』

1986年(昭和61年)4月12日(土曜日)<風間悠真>「美咲、どうしたの? まさか告白か? あれ、オレたちって相思相愛じゃなかったっけ?」 中学二年生が『相思相愛』って言葉を使うかどうかは不明だが、思わず冗談交じりに口にしてしまった。校舎...
八紘共栄圏を目指して

第850話 『登州決戦』

慶長三年五月十五日(西暦1598年6月18日) 満州国が登州に侵攻して1か月。 その間李化龍りかりゅうは敵の動きを警戒しつつ、防衛線の強化を図ってきた。しかし、事態は彼の予想以上に深刻な展開を見せている。「総兵大人! 沙門島しゃもんとうに敵...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第10話 『軍人としての矜持』

令和7年3月16日(2025年3月16日) 護衛艦『いずも』 多目的室「小松司令、そして石川艦長、一つお伺いしたいのですが、よろしいですか?」「どうぞ」 山口に聞かれて小松は返事をした。石川は黙ってうなずいている。「この戦争はなぜ始まったの...
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

第50話 『いざ、西暦255年へ』

2025年1月5日(日) 午後 長崎 宮田遺跡「そ、そうね。確かに先生の言うとおりね。何の準備もせずに向こうに行っても、命の危険があるかもしれない」 咲耶が真剣な表情で同意した。「でも、何を持っていけばいいの? 向こうで使える物が、そんなに...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第10話 『兄貴へ直談判②本格始動へ』

1590年4月5日 オランダ デン・ハーグ <フレドリック・ヘンドリック>「砂糖と塩、それに石けんとロウソクか」 兄貴は、ふむ、とうなずきながら、羊皮紙に書かれた計算式に目を通した。 寒い。 16世紀のオランダは寒いな。オランダの気候には慣...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第379話 『航路問題と大村藩財政問題』

慶応二年八月四日(1866年9月12日)<次郎左衛門>「え? 今、何とおっしゃいましたか?」 オレは耳を疑った。 ここは駐日フランス帝国公使館。 目の前にいるのは公使のレオン・ロッシュだ。「私もパリ万博への貴国の出品物を確認した際に、申し上...
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第849話 『山東戦線と技術革新』

慶長三年四月十日(西暦1598年5月15日)「総兵大人! 敵艦隊が撤退しています!」「何?」 登州城の城壁の上で、李化龍りかりゅうは遠くに見える船影をじっとにらみつけた。しかし明らかに不自然だ。 これだけの大船団をそろえておきながら、一度も...
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』

第9話 『ロシア・ウクライナ戦争』

2025年3月16日(令和7年3月16日)「この馬鹿者が! 一列に並べ! 足を開け! 歯を食いしばれ!」(元)飛龍副長の鹿江隆(海軍中佐)の叫び声が聞こえた。「はっ!」 角野、橋本、重松が横並びになり、足を開いて休めの姿勢で直立不動の状態に...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第378話 『アラスカ国境問題』

慶応二年六月二十四日(1866年8月4日) 慶喜と春嶽の圧力がすごい。『説き伏せて参れ』の言葉に、次郎は思わず『ははっ』と答えたが、無為無策で交渉に臨むわけにはいかなかった。 まずは情報収集が必要だ。 ロシアとの交渉において、現地に居住する...
八紘共栄圏を目指して

第848話 『山東から北京へ。寧夏の決断』

慶長三年四月九日(西暦1598年5月14日)「急報! 急報! 登州沖に大船団が出現しました! 女真の水軍と思われます!」 副官からの報告を受け、李化龍は全軍に戦闘態勢を整えるよう指示した。「おいでなさったな。女真のヤツらめ」 李化龍は城壁に...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第377話 『イギリス、再び』

慶応二年五月十二日(1866年6月24日)「Oui,jepensequec'estunebonneidée.(はい、これでいいと思います)」 駐日フランス帝国全権公使ミシェル・ジュール・マリー・レオン・ロッシュは、幕府からの出品目録を見て言...
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第847話 『ネゴシエイト』

慶長三年三月四日(西暦1598年4月9日) 諫早「これはこれはフュンドン殿、遠いところわざわざようお越し下さった」「いえいえ。伊集院殿も安国寺殿も、お元気そうでなによりです」 ヌルハチの腹心、フュンドンが肥前国首都の諫早を訪れるのは2度目で...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第376話 『万博とアラスカとイギリス』

慶応二年四月二十九日(1866年6月12日) 「前田殿、淀屋、と申しましたかな。商人にあのような物言いをさせて良いのでしょうか」 前田斉泰に対して、伊達慶邦が問いかけた。 慶邦はその責任感と保守的な性格から、孫三郎の放埓な物言いに眉をひそめ...