『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第19話 『海上警備行動』 令和9年8月3日(2027年8月3日)15時05分 首相官邸 橘たちばなの所信表明演説が国会で終わったのが午後1時過ぎである。官邸が演説成功の祝賀ムードから解放され、通常の業務に戻ろうとしていた矢先だった。 「尖閣諸島、魚釣島北西沖にて所属... 2025.09.11 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第18話 『所信表明』 令和9年8月2日(2027年8月2日) 日本の新政権誕生の翌日、海外メディアは一斉に反応を示していた。 ――北京・人民日報 ――『極右政権、日本に誕生 ―― 戦時回帰の危険』 記事はこう続く。 『日本新生党とその連立勢力は、軍国主義の亡霊を... 2025.09.02 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第17話 『政権交代』 令和9年7月下旬 総理暗殺の衝撃が冷めやらぬ官邸の一室には、閉ざされたカーテンと沈んだ空気が漂っていた。 岩西猛外務大臣は腕を組み、机の上の湯飲みに鋭い視線を向けたまま、何も言わない。 久米義政官房長官は、総理代理として緊急対応に追われ疲れ... 2025.08.29 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第16話 『国会の嵐(後編)~暗殺と変革の始まり~』 令和9年7月15日(2027年7月15日) 佐世保 護衛艦『飛龍』艦内 司令室の大型モニターに、緊急速報のテロップが素早く流れた。『【速報】柳井総理、都内ホテルで何者かに撃たれる。心肺停止の模様』 その場にいた山口多聞、艦長の加来、副長の鹿... 2025.08.25 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第15話 『国会の嵐(前編)』~政権の黄昏~」 令和9年5月(2027年5月) 国会議事堂 4月の衝突事件から1か月が経過しても国会の熱気は収まらない。 折からの裏金問題や様々な政策への批判が、各党の党首から政権与党である自由保守党の総裁へ、矢継ぎ早に続いている状態であった。 SNSが普... 2025.08.24 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第14話 『緊迫の尖閣』 令和9年4月8日(2027年4月8日) 東シナ海 尖閣諸島周辺海域 横須賀で編成式が執り行われていた、まさにその時。 東シナ海の尖閣諸島、魚釣島周辺海域は一触即発の緊張に包まれていた。 巡視船『あさづき』の船橋内の空気は張り詰め、田中は双眼... 2025.08.10 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第13話 『新鋭、第一護衛艦隊第一機動護衛隊』 令和9年4月8日(2027年4月8日) 海上自衛隊の横須賀岸壁には、初春の柔らかな陽光が降り注いでいる。 海将補として任官していた山口は、第一護衛隊群司令である沢村利行海将補とともに、横須賀基地で執り行われる特別な編成式に参加していたのだ。... 2025.07.24 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第12話 『海将補、山口多聞』 令和9年4月1日(2027年4月1日)佐世保教育隊 本日ここに、特別プログラムを修了された三名の皆さんに、心から敬意と祝意を表します。 皆さんはかつて日本海軍で指揮を執り、歴史の荒波を生き抜いた指揮官であり、幾多の困難と責任を背負ってこられ... 2025.05.08 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第11話 『幹部候補生学校と航空学生』 令和7年4月(2025年4月)佐世保 山口多聞少将、加来止男大佐、鹿江隆中佐をはじめとする数名の士官は、佐世保教育隊の敷地内で幹部候補生課程に入った。 同様に角野博治大尉、橋本敏男大尉、重松康広大尉、その他の航空要員の下士官や兵士たちは、山... 2025.04.14 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第10話 『軍人としての矜持』 令和7年3月16日(2025年3月16日) 護衛艦『いずも』 多目的室「小松司令、そして石川艦長、一つお伺いしたいのですが、よろしいですか?」「どうぞ」 山口に聞かれて小松は返事をした。石川は黙ってうなずいている。「この戦争はなぜ始まったの... 2025.04.11 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第9話 『ロシア・ウクライナ戦争』 2025年3月16日(令和7年3月16日)「この馬鹿者が! 一列に並べ! 足を開け! 歯を食いしばれ!」(元)飛龍副長の鹿江隆(海軍中佐)の叫び声が聞こえた。「はっ!」 角野、橋本、重松が横並びになり、足を開いて休めの姿勢で直立不動の状態に... 2025.04.06 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第8話 『適応プログラム』 2025年2月14日(令和7年2月14日) 佐世保市内 適応プログラムと言っても特に難しくはない。4月1日から各教育課程が始まるが、それまでの3か月間に現代人としての素養を身につけるのが目的である。 2024年度の教育課程全てが修了する3月... 2025.03.23 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第7話 『情報統制と非公式法整備』 2025/1/30(令和7年1月30日) 海上自衛隊 佐世保地方総監部 山口と加来、そして隊司令の小松と艦長の石川が出迎えた7名の正面に座り、聴取が行われた。 会議室には緊張感が漂っている。 時を超えてきた軍人たちと、彼らを受け入れる現代日... 2025.03.02 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第6話 『佐世保へ』 2025/1/30(令和7年1月30日)佐世保港 ミッドウェーから父島の海上自衛隊基地での補給を終え、佐世保へ帰港したのは十日後であった。 艦橋には小松と石川が立ち、石川が入港の指揮をとっていたが、普段の護衛艦隊の入港とまったく変わらない光... 2025.02.21 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第5話 『山口多聞と飛龍乗組員』 2025/1/20(令和7年1月20日) 夜「おお! 副長! それに攻撃隊の君たちもあの渦に! いや……しかしよかった。生きてまた会えるとは、夢じゃあないだろう?」 そう言ってニコニコ笑う山口多聞司令官の横で加来止男艦長が、やれやれ、とジェ... 2025.02.16 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第4話 『護衛艦いずもと山口多聞』 2025/1/20(令和7年1月20日) 夜 日没までに洋上の第1護衛隊では救助活動が終わりを迎え、各艦連動して負傷者の治療その他を行っていた。本来であれば戻ってハワイに寄港し、米軍の協力を受ける等の措置が行われるかもしれない。 しかし幸い... 2025.02.09 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第3話 『遭難者たちの正体』 2025/1/20(令和7年1月20日) 太平洋 ミッドウェー海域「れ、令和……? 2025年だと……?」 鹿江の声が震えた。 その目は護衛艦『いずも』の士官室の中空をさまよい、気がつけば壁に掛けられたカレンダーを凝視していた。周囲の自衛官... 2025.01.31 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第2話 『昭和17年・飛龍からの来訪者』 2025/1/20(令和7年1月20日) 太平洋 ミッドウェー海域 護衛艦『いずも』の艦橋では、艦長の石川と隊司令の小松が驚きの表情を浮かべていた。目の前の海上に、突如として現れた数百人の遭難者たち。 さまざまな格好の人間が遭難していたが、... 2025.01.27 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第1話 『ミッドウェー』 昭和十七年六月六日(1942/6/6)23:30(現地時間 1942/6/6/02:30)ミッドウェー海域 第二航空戦隊司令官である山口多聞は、飛龍の艦橋で静かに立っていた。炎と煙が艦を包み、爆発音が断続的に響く中でも、彼の表情は穏やかだっ... 2025.01.21 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 登場人物 山口多聞(やまぐち たもん): 旧日本海軍の少将。第二航空戦隊司令官。ミッドウェー海戦で空母「飛龍」と共に戦死…したはずだったが、不可思議な現象に巻き込まれる。冷静沈着で部下思いの指揮官。加来止男(かく とめお): 旧日本海軍の大佐。空母「... 2025.01.21 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 時系列・あらすじ 話数:第1話 タイトル:ミッドウェー 時系列:昭和17年6月6日23:30(ミッドウェー海域)/ 令和7年1月20日(ミッドウェー海域) あらすじ:ミッドウェー海戦で沈没するはずの空母飛龍。山口多聞司令官と加来艦長は艦と運命を共にする覚悟を... 2025.01.21 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』