転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第392話 『喜望峰沖の嵐』 慶応二年一月六日(1867年2月12日)喜望峰沖 大村藩海軍艦艇『知行』を旗艦とした日本国万博遣欧艦隊は、南緯三十八度、喜望峰沖の海上を進んでいた。 夕暮れの空は一面灰色の雲に覆われ、海面は不自然なほど静まり返っている。「嵐の前の静けさだな... 2025.05.01 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第856話 『大明皇帝朱翊鈞と肥前国王純正』 慶長三年十月一日(西暦1598年10月30日) 開封府「直茂よ、オレは初めて大陸に来たが、やはり北京の紫禁城を訪れてから開封府に来てよかったの。都なれば、その国のすべてが集まっておるであろう? ゆえにその国の力とそのゆえんの何たるかが分かる... 2025.04.28 八紘共栄圏を目指して
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第390話 『交渉の平行線――補給地の誘惑と日本の決断』 慶応二年十一月十日(1866年12月16日)サラワク王国 クチン ガウワーの言葉の裏にある意図を感じ取りながらも、次郎は表情を崩さず、静かに返答した。「過去の出来事は決して忘れませんが、未来を築くためには慎重な歩みが必要です。今はまだ状況が... 2025.04.27 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第388話 『結局、とサラワン王国』 慶応二年十一月三日(1866年12月9日) バタヴィア「やや! 今なんと? ……我がんこ? なんか? 無理やり……最初……めん、つ?」 各藩がそれぞれの方言と共通語で翻訳するが、さっぱり分からない。 分からないが、次郎が感情をあらわにしてい... 2025.04.22 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第854話 『三国鼎立とモンゴルのオルドス・トゥメト・ヨンシエブ・チャハル・ハルハ・ウリャンカイ』 慶長三年八月一日(西暦1598年9月1日) 諫早「殿下はこれでもまだ、明が弱まるべきだと仰せになりますか――」 明国の内閣次輔、沈一貫は諫早城下の外交使節迎賓館の一室に滞在していた。 純正との初回交渉から一週間。 彼は齢六十を超え、最後の奉... 2025.04.20 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第853話 『新都 開封』 慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 開封府 黄河のほとりに広がる開封は、かつて北宋の『東京』として栄えた都だった。 三重の城壁に囲まれた街並みは、長安のような碁盤目状ではなく、複雑に入り組んだ路地と水路が張り巡らされている。 ... 2025.04.19 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第852話 『決断』 慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 万暦帝は決断を下した。 開平府(現在の内モンゴル自治区シリンゴル盟正藍旗南部)から順天府(北京)までは、約441km。 宣府(河北省張家口市)からは約194km、大同府(山西省大同市)からは... 2025.04.17 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第850話 『登州決戦』 慶長三年五月十五日(西暦1598年6月18日) 満州国が登州に侵攻して1か月。 その間李化龍りかりゅうは敵の動きを警戒しつつ、防衛線の強化を図ってきた。しかし、事態は彼の予想以上に深刻な展開を見せている。「総兵大人! 沙門島しゃもんとうに敵... 2025.04.11 八紘共栄圏を目指して
Uncategorized 第849話 『山東戦線と技術革新』 慶長三年四月十日(西暦1598年5月15日)「総兵大人! 敵艦隊が撤退しています!」「何?」 登州城の城壁の上で、李化龍りかりゅうは遠くに見える船影をじっとにらみつけた。しかし明らかに不自然だ。 これだけの大船団をそろえておきながら、一度も... 2025.04.07 Uncategorized
八紘共栄圏を目指して 第848話 『山東から北京へ。寧夏の決断』 慶長三年四月九日(西暦1598年5月14日)「急報! 急報! 登州沖に大船団が出現しました! 女真の水軍と思われます!」 副官からの報告を受け、李化龍は全軍に戦闘態勢を整えるよう指示した。「おいでなさったな。女真のヤツらめ」 李化龍は城壁に... 2025.04.04 八紘共栄圏を目指して
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第377話 『イギリス、再び』 慶応二年五月十二日(1866年6月24日)「Oui,jepensequec'estunebonneidée.(はい、これでいいと思います)」 駐日フランス帝国全権公使ミシェル・ジュール・マリー・レオン・ロッシュは、幕府からの出品目録を見て言... 2025.04.03 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第847話 『ネゴシエイト』 慶長三年三月四日(西暦1598年4月9日) 諫早「これはこれはフュンドン殿、遠いところわざわざようお越し下さった」「いえいえ。伊集院殿も安国寺殿も、お元気そうでなによりです」 ヌルハチの腹心、フュンドンが肥前国首都の諫早を訪れるのは2度目で... 2025.04.02 八紘共栄圏を目指して
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第376話 『万博とアラスカとイギリス』 慶応二年四月二十九日(1866年6月12日) 「前田殿、淀屋、と申しましたかな。商人にあのような物言いをさせて良いのでしょうか」 前田斉泰に対して、伊達慶邦が問いかけた。 慶邦はその責任感と保守的な性格から、孫三郎の放埓な物言いに眉をひそめ... 2025.04.01 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第846話 『哱拝(ぼはい)の死』 慶長三年一月二十七日(西暦1598年3月4日) 寧夏 寧夏城の居室で、哱拝は苦しそうな呼吸を繰り返していた。布団の上で横たわる彼の顔は蒼白で、額には大粒の汗が浮かんでいる。「父上、お薬を」 長男の哱承恩が差し出す薬を、哱拝は手を震わせながら... 2025.03.31 八紘共栄圏を目指して
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第375話 『淀屋清兵衛の策略』 慶応二年三月十五日(1866年4月29日) 江戸 加賀藩邸「兵備輸入取締令? あの……あれは確か万延、いや安政六年に御公儀が出した法であったな」 前田斉泰が思い出しながら牧田孫兵衛(淀屋清兵衛)に聞き直した。『兵備輸入取締令』 大名・家臣に... 2025.03.30 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第845話 『電気・電灯・電信』 慶長二年十二月二十日(西暦1598年1月27日) 純正が転生してから36年が経過したが、肥前国では蒸気船をはじめ、さまざまな分野で研究・開発が盛んに行われている。 軍事分野では管打式小銃の実用化が進み、炸裂さくれつ弾や榴弾りゅうだんといった... 2025.03.29 八紘共栄圏を目指して
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第374話 『中居屋重兵衛と三野村利左衛門。牧田孫兵衛……』 慶応二年三月十五日(1866年4月29日) 大村藩邸の応接間で、次郎と中居屋重兵衛が向かい合って座っていた。 障子越しに差し込む陽光が、畳の上に柔らかな影を落としている。「久しいな、大村の海軍伝習課程を卒業して以来ではないか」 次郎はほほえ... 2025.03.28 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第844話 『渓谷の戦い』 慶長二年十月二十九日(西暦1597年12月20日)「隊長~。いつまで続けるんすか? もう2か月たちますよ」 スペイン王国ペルー副王領の兵士が愚痴をこぼした。 ビルカバンバのインカ帝国残党に対する攻撃部隊の兵士である。 インカ帝国は、1533... 2025.03.27 八紘共栄圏を目指して
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』 第47話 『解読の連鎖』 2024年12月10日 SPRO内「槍太そうた!」 救出から1週間たった頃、槍太が目覚めた。「うん? あれ? みんなどうしたの? ちーちゃん(千尋)、何で泣いているの?」 大学のサークルには開放的なイメージがあるが、考古学研究会は純粋に考古... 2025.03.21 『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』
八紘共栄圏を目指して 第839話 『あり得ぬこと』 慶長二年二月二十二日(1597/4/8) ポルトガル リスボン 肥前国大使館「ほう……謝罪ですか」 謝罪の言葉では足りないが、国の威信と誇りに関わる問題だと親ちかしは考え、もう少し話を聞いてみようと思った。 それにしても、グスマンの変わり身... 2025.03.17 八紘共栄圏を目指して
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第337話 『是非』 慶応元年十一月三日(1865/12/20) 江戸城 御用部屋 全員が話すのを止め、辺りを静寂が包むのを次郎は待つ。 おもむろに安藤信正に正対し、居住まいをただした。「金山の儀につきましては、ひとえにそれがしの不徳のいたすところにございます。... 2025.03.14 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第836話 『明の内情と三国志』 慶長二年一月六日(1597/2/22)「なんと! それで明け渡したのでございますか?」「明け渡したのではない。そもそも誰の領土でもなかったであろうが」 大陸から戻ってきた純正に対して直茂が問いかけた。新年早々小言は勘弁してくれといわんばかり... 2025.03.11 八紘共栄圏を目指して
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第364話 『幕閣のアラスカ購入論議』 慶応元年十一月二日(1865/12/19) 江戸城 御用部屋「やれやれ、朝廷にも困りましたな」「然様さよう、いかに公儀の力を強めるための公武合体とはいえ、いささか度が過ぎるのではありませぬか?」「然さりとてこたびの英国との戦に際して、丹後守... 2025.03.08 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第834話 『関白太政大臣小佐々純正の大義』 慶長元年十一月十四日(1597/1/2)へトゥアラ「なぜそこまで領土を広げる必要があったのですか? 日本だけでは足りなかったのですか? 倭寇わこうは途絶えて久しいし、日本に攻め入る国もない。琉球や朝鮮と交易すればよかったのでは? 呂宋やアユ... 2025.03.07 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第833話 『遼東では足りぬのか、沿海州では足りぬのか』 慶長元年十一月十四日(1597/1/2)へトゥアラ「はっきり言っておきますが、余は肥前国はもちろん、その冊封国である朝鮮と戦うつもりはありませんぞ」 ヌルハチはそう言って純正の言葉を待った。「戦うつもりがないのであれば、なおさら兵を引き上げ... 2025.03.05 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第828話 『ポルトガルの戦略と反乱の狼煙』 慶長元年五月十七日(1596/6/12) リスボン「さて、宰相。この状況をどう見る?」 セバスティアン1世は大西洋の地図を見ながら、宰相のクリストヴァン・デ・モウラに質問していた。 ヨーロッパからアメリカ大陸にかけての地図だ。5月の中旬に... 2025.02.23 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第827話 『憔悴のフェリペ2世』 慶長元年四月二十日(1596/5/17) スペイン マドリード フェリペ2世は疲れきっていた。「陛下、この上はバンカロータ(破産宣告)するしか方法がありません」 フェリペは重々しくうなずく。「わかった。だが、これが最後にしたい。我が治世で4... 2025.02.20 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第826話 『知られざるイスパニアの内情と、敵の敵は味方』 慶長元年三月二十三日(1596/4/20) メキシコシティ(テノチティトラン) はいそうですか、と素直に信じるわけにはいかなかった。 自分の先祖、母なるアステカを滅ぼしたスペインが負けたなど、簡単には信じられなかったからである。 その男が言... 2025.02.17 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第825話 『地震対策とトゥパクアマルとクイトラワク』 慶長元年二月二十五日(1596/3/23) 南近江蒲生郡安土山 大日本国政庁「それで、具体的な案とその進捗をおしえてくれ」 純正は国土交通大臣の遠藤千右衛門に聞いた。「はっ、畠山修理大夫様(畠山義慶・大日本国国交大臣)とも諮らねばなりませぬ... 2025.02.14 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第824話 『再び、スペインと』 慶長元年一月二十七日(1596/2/25) 諫早 -発 小樽鎮守府 宛 殿下 以下、転送文也。 アラスカ南部の新たに発見、入植せしオレゴンにてイスパニア(スペイン)探検隊と遭いけり。 幸いに打ち合い(戦闘)にはならねども、この地を境にとの話... 2025.02.11 八紘共栄圏を目指して
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第346話 『イギリスの時間稼ぎ?』 元治元年十一月五日(1864/12/22) 会見終了後「Mr.オオタワ、今回はどのような協議がなされたのですか?」 ジャパン・タイムズのチャールズ・D・リッカービーがまず第一声をあげ、次郎に質問をした。川路聖謨としあきらはいない。英語が次郎... 2025.02.02 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第820話 『バンテン王国の争乱、広がる』 文禄四年十一月二十九日(1595/12/29)「手ぬるい!」 ウィラブラタの怒号が王宮に響き渡った。その声にムハンマドは拳を握りしめて凝視した。「民の怒りは正当だ。肥前国の横暴を許すべきではありません!」 ウィラブラタはそう声をあげ、ズカズ... 2025.01.31 八紘共栄圏を目指して
『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』 第3話 『遭難者たちの正体』 2025/1/20(令和7年1月20日) 太平洋 ミッドウェー海域「れ、令和……? 2025年だと……?」 鹿江の声が震えた。 その目は護衛艦『いずも』の士官室の中空をさまよい、気がつけば壁に掛けられたカレンダーを凝視していた。周囲の自衛官... 2025.01.31 『新しい国 ―空母飛龍から、最後の戦いへ―』
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第342話 『昇任問題とレオン・ロッシュ』 元治元年八月二十七日(1864/9/27)「して次郎、朝廷から昇任の知らせが来ていたようだが、その後は如何いかがあいなっておるのだ?」「は、その儀につきましては丁重にお断りいたしたく、返信をいたしましてございます」「なんと、断ったのか?」 ... 2025.01.28 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第341話 『琉球とオランダ』 元治元年八月二十七日(1864/9/27) 江戸 大村藩邸「さて次郎、次はいかにすべきかの」「は、イギリスが本気を出してくればかなり難かたし事様ことざま(難しい状況)にございますが、そうならぬよう各国の公使館や新聞各社には根回しをしておりま... 2025.01.27 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第339話 『対英、対列強会議』 元治元年七月十四日(1864/8/15) 江戸城 御用部屋「さて方々、これより先のイギリスならびに列強に対する策を論じたいと存じます」 集まったメンバーは下記のとおり。 ・将軍後見職 一橋慶喜 ・政事総裁職 松平春嶽 ・大老筆頭 安藤信正 ... 2025.01.24 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第337話 『捕虜』 元治元年七月三日(1864/8/4) 日英戦争における鹿児島・馬関戦役の捕虜は、士官・下士官兵すべてが横浜の称名寺にある収容所へ送られた。鹿児島湾海戦で200名、馬関海戦で340名、合計540名である。 称名寺は金沢区にある真言律宗の別格本... 2025.01.22 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第335話 『鹵獲戦利品の分配』 元治元年五月十六日(1864/6/19) |鹵獲《ろかく》したイギリス軍艦を大村藩の海軍工廠こうしょうで修理しているころ、大村・佐賀・長州・薩摩・幕府の間ではその分配協議がなされていた。 五大老とはいえ、土佐藩、加賀藩、仙台藩は除外されてい... 2025.01.20 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第334話 『最終決戦』 元治元年四月十一日(1864/5/16) 蓋井ふたおい島東岸沖「さーて、次郎様の言うとおりに……おお! あれは! どこの艦だ?」「艦橋-見張り! WhiteEnsign! イギリス艦隊です!」「よし来た!」 佐賀藩艦隊旗艦である甲子こうし丸... 2025.01.18 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第803話 『空軍』 文禄三年六月三日(1594/7/20) 蒸気機関の発達により、諫早から大阪までは10日から2週間程度で往復できるようになっていた。そのため純正は3か月は大阪・京都に滞在し、残りの9か月は諫早で過ごすという生活を送っていたのである。「ほうほ... 2025.01.05 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第802話 『実行』 文禄三年四月十五日(1594/6/3) 京都 その日は大日本国会議が開かれ、副首相である信長をはじめとする閣僚が集まっていた。議会制度を充実させるため、各州から1名ではなく、各県もしくは各郡から1名を選出しての議会運営を始めようと考えていた... 2025.01.03 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第801話 『洛中』 文禄三年三月二十八日(1594/5/18) 京都の片隅にある小さな居酒屋の2階。 薄暗い部屋の中で、3人の男がささやくように会話を交わしていた。 かつての室町幕府将軍・足利義昭、近江の宇多源氏佐々木氏流六角氏の16代当主・六角義治、そして美... 2025.01.02 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第799話 『8路24万』 文禄二年十二月十八日(1594/2/8)「陛下、明からの使者が参っております」「おお、ようやく来たか。遅すぎるぞ」 楊応龍は|播《は》州の宮殿で明からの使者が来たという報告を受け、笑みをこぼす。独立と領土の要求をして期日を設け、ようやくその... 2024.12.31 八紘共栄圏を目指して
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第316話 『薩摩と長州』 文久三年十月二日(1863年11月12日) -発 次郎左衛門 宛 松前勘解由様 昨今の日英関係に鑑み、開戦となればロシアの動向愈々以ていよいよもって重きにして、特に間宮海峡並びに宗谷海峡の備えは重きと存じ候間(思うので)、近く新式砲台の設... 2024.12.29 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第795話 『哱拝・ヌルハチ・楊応龍』 文禄二年六月十日(1593/7/8) 寧夏鎮「陛下、明が我が国の独立を認めましたな。これでようやく、民を安んじることができ、平穏が訪れるというものです」 哱拝ぼはいが独立を宣言後に明国の軍勢は撤退したが、和平は成立したものの、正式に明は寧夏... 2024.12.26 八紘共栄圏を目指して
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く 第313話 『技術革新と大老会議』 文久三年六月二十九日(1863年8月13日) 強力な海軍を創る。 その一環として次郎がオランダに発注した2,500トン級鋼鉄艦である『大成』が川棚に到着したのは、去年のちょうど今ごろである。 世界でも最先端の同艦の設計図をもとに、同型艦を... 2024.12.26 転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く
八紘共栄圏を目指して 第794話 『割譲開始』 文禄二年五月十一日(1593/6/10) 明国から割譲された広州、寧波、天津の3港は、海西地方として肥前国に組み込まれた。総督府は広州である。居住民に関しては向こう2年の間は自由とし、その間に肥前国籍とするか明国籍とするかを選ばせた。「お... 2024.12.25 八紘共栄圏を目指して
八紘共栄圏を目指して 第792話 『賠償金の受取~黄金の雫』 文禄二年三月十日(1593/4/11) 京都 大日本国政庁「これはこれは……まさに圧巻であるな」 大日本国の財務副大臣である羽柴秀吉は、目の前にある66万貫文の永楽通宝を見てあっけに取られていた。肥前国(肥前州)の役人が特別歳入として届けて... 2024.12.23 八紘共栄圏を目指して
東アジアの風雲 第791話 『条約締結と新しい秩序』 文禄二年二月八日(1593/3/10)諫早城「御苦労様でした、叔父上」 居室でくつろいでいた純正に報告をしている政直であったが、公務以外のときは叔父と甥である。「いやいや、まさかわしがあの明国との交渉にあたるとは……考えもみんかったわい」「... 2024.12.22 東アジアの風雲
東アジアの風雲 第789話 『東南アジアの国々と万暦帝』 文禄元年十一月四日(1592/12/7) 琉球王国 首里城「肥前国が明に勝ったか……」「予想はしておりましたが、やはり我らの決断は正しかったようです」 伊地親方の言葉に長嶺親方が同意した。伊地親方は事実上の行政のトップとなる三司官であった。... 2024.12.20 東アジアの風雲