生殺与奪

転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第474話 『議題草案』

慶応五(明治二)年四月二十七日(1869年6月7日) 江戸城 謁見の間「京の議会は、見ての通りの有り様でございます」 慶喜は京からの最新の報告を粛々と述べ終えた。 上座には将軍家茂が座る。 もともと体が強い方ではなかった。外患が消えても内憂...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第464話 『詭弁か忠義か』

慶応五(明治二)年二月十六日(1869年3月28日) 京都 大村藩邸 本日は夜も遅いので、と言って別れた翌日、居室で先に口を開いたのは純顕であった。「次郎。昨日は詭道きどうと申したが、つぶさにはいかなる手を打つのだ。公議政体党は数で我らを上...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第443話 『公儀の影』

慶応四年八月十三日(1868年9月28日) 京・大村藩邸 小御所での嵐の朝議から二日が経過した。 次郎が心血を注いで起草した『重要技術管理法案』は、帝の裁可を経て正式に布告される段取りとなり、その知らせは京の有力者たちの間に静かだが確実な波...
二島五ヶ村の領主 無双≠生き延び スタート

第41話 戦乱の足音 藤原千方の報告

「千方か、入れ」「はは」 相手が千方だと無駄な話がない。性格が生真面目、ではなく、主従の関係がそうさせているのだろう。「それで、どうであった?」 言葉少なに聞く。「は、されば先日の曲者ですが、やはり針尾伊賀守の手の者に間違いございません。昨...