商人

信長と純正、そして教え子たち

第912話 『黄昏の聖職者』

慶長七年十月二十一日(西暦1602年12月4日) リスボン 特別法廷に第3回公判の幕が上がった。 法廷周囲には重警備体制が敷かれて、王室保安局員が常時巡回して緊張感が漂っている。 傍聴席にはポルトガルの貴族や商人、都市参事会の代表が静かに並...
信長と純正、そして教え子たち

第911話 『悪魔の技か、真実の証か』

慶長七年十月十八日(西暦1602年11月3日) 第2回公判が始まったが、リスボン特別法廷には前回とは違う空気が流れている。 第1回公判で、アルメイダは枢機卿すうききょうの権威を法と論理で打ち破った。 この事実が傍聴人の心から古い権威への恐れ...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第31話 『国家と資本』

1591年8月18日(天正19年6月29日) ネーデルラント連邦共和国 ハーグ 数日前の熱気が、オラニエアカデミーの会議室にはまだ残っている。 シャルロットが提示した金融革命の壮大な計画は、メンバー全員の心を1つの方向へと向けさせた。目の前...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第458話 『時と場合』

慶応四年十二月十日(1869年1月22日) 周防国 三田尻「御家老様、三田尻の港が見えてまいりました」 供の助三郎の声に次郎は我に返る。船室の窓に目をやると鉛色の空の下に長州の陸地が横たわっていた。「そうか。出迎えはあるかな」「井上馨殿が直...
信長と純正、そして教え子たち

第910話 『世界を繋ぐ線』

慶長七年九月二十五日(西暦1602年10月11日)リスボン「……重要な提案があるんです」 その言葉がセバスティアンの注意を強く引きつけた。イタリア商人たちが退出した後に執務室は急に静かになったが、すでに関心は新しい提案に移っている。 「今後...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第457話 『グラバーと薩長』

慶応四年十二月八日(1869年1月20日) 京都 大村藩邸 次郎は江戸での諸外国への説明対応を終わり、幕府への引継ぎをした後に京都へ戻っていた。 戻ってきたの表現がしっくりくるほど、京都と江戸、大村を行き来している。 多忙な大村藩の家老であ...
信長と純正、そして教え子たち

第909話 『法廷準備と新たな同盟~枢機卿裁判とイタリア商人~』

慶長七年九月二十五日(西暦1602年10月11日)リスボン「陛下、枢機卿すうききょうの弁護人はどうなさいますか」 法務大臣が羊皮紙に目を通しながら口を開いた。 教皇特使がローマへ帰国してから2週間が過ぎ、リベイラ宮殿では特別法廷の準備が本格...
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第456話 『スコットランド商人のささやき』

慶応四年十一月中旬(1868年12月下旬)「おや、井上さあと伊藤さあじゃなかと? どげんしたと?」 開国の影響を受けて西欧と東洋の文化が混在する国際都市長崎で、出島の多様な商業活動の騒音から距離を置いた丸山の静寂に包まれた高台に、その料亭は...
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第455話 『再び、フィクサー次郎』

慶応四年十一月上旬(1868年12月中旬) ・まずは幕府に公式に合議制を認めさせる(成功・貴族院) ・貴族院議場を幕府の権限を弱めるために本願寺に移設(論議中に騒動発生) ・無党派層の取り込み(進行中だが京都の騒乱のために進んでいない) 本...
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第906話 『賢王の茨の道』

慶長七年二月十三日(西暦1602年4月5日) リベイラ宮殿 セバスティアン1世が政教分離を宣言した後、謁見の間は静寂に包まれていた。 力なく歩きながら部屋を出た枢機卿すうききょうは、恥辱を感じた表情をローブのフードで隠し、彼に従う保守派貴族...
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第453話 『武備恭順 ~長州藩、復讐への道筋~』

慶応四年十月二十七日(1868年12月10日) 周防国 山口城 周布政之助の死は、長州藩に重苦しい影を落としていた。 慶喜の政治的裁定によって藩の重臣が命を絶たれた事実は、藩士たちの心に幕府への消えぬ憎悪を刻み付けたのである。藩庁の空気は悲...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第30話 『金融革命~オランダに現れた銀行と証券取引所~』

1591年8月15日(天正19年6月26日) オラニエアカデミーの一室 フレデリックたちはコルネリス・ピーテルスゾーン・ホーフトをアカデミーの一室に案内して商談し、その後メンバーで相談するために別室に移動して議論を交わしていた。 アカデミー...
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第905話 『望むところだ』

慶長七年二月十三日(西暦1602年4月5日)「では兄上、行ってまいります」「うむ、日本はもちろんだが、欧州においてポルトガルの影響力は大きいからな。しっかり頼むぞ」 フレデリックは、先月ポルトガルより届いた技術交流(供与)と『火山の冬』に関...
信長と純正、そして教え子たち

第903話 『ポルトガルの焦燥』

慶長六年(西暦1601年)十二月 ポルトガル王国・リスボン リスボンの空は鉛色の雲に重く閉ざされていた。 本来であれば冬でも気温が高い地域だが、大西洋から吹く風は冷たく湿気を含んでおり、太陽の暖かさを感じられない港町は、北方の地域と同じく活...
信長と純正、そして教え子たち

第901話 『ポルトガルの疑念』

遡ること慶長五年六月(1600年7月) ネーデルラント連邦共和国 ハーグ ハーグのビネンホフにある共和国議事堂の一室で、ネーデルラントで最も力を持つ2人の男が、1枚の報告書を前に腕組みをしていた。 1人は連邦共和国総督、マウリッツ・ファン・...
信長と純正、そして教え子たち

第899話 『飢える帝国』

慶長六年九月(1601年10月)肥前県諫早 政府庁舎 秋の収穫が終わった。 しかし残念ながら純正の1年前の予言は的中し、破滅的な結果がもたらされたのである。 南米ペルーのワイナプチナ火山が噴き上げた『見えざる灰』は、容赦なく日本列島にも降り...
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第445話 『第一回貴族院と事件』

慶応四年八月下旬(1868年10月) 京・小松帯刀たてわき邸 庭に落ちる影が、ゆっくりと西へ傾き始めていた。 帯刀は大久保利通が去った後、数日間にわたって一人部屋に籠もって考え込んでいる。 大久保が示した策は暗闇を照らす希望の光にも見えれば...
信長と純正、そして教え子たち

第897話 『江戸と館山』

慶長五年九月十三日(1600年10月19日) 安房国館山 館山に向かった純正の座乗艦『多比良』は、3日間の航海を経て館山の港に入港した。 天然の良港として知られている館山港の湾内は、波が穏やかで大型船の停泊にも適している。 里見義重は佐貫城...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第442話 『典薬寮と権力闘争』

慶応四年八月十一日(1868年9月26日) 「ふう」 次郎は、書き上げたばかりの『重要技術管理法案』の草案から顔を上げた。 新暦に直すと9月末だが、それでも残暑が厳しい。 洛中らくちゅうの連続ボヤ騒ぎに関する加賀藩からもたらされた情報は、犯...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第441話 『技術の担い手』

慶応四年六月二十三日(1868年8月11日)  横浜外国人居留地内 商館 商館内は緊張感に包まれていた。 幕府とフランス、双方の技術者を集めた実務者協議の場である。 パリ万博において、フランスに対する無煙火薬と高強度鋼の供与に関する協定が結...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第439話 『事件は迷宮へ、されど疑心暗鬼は深まり時は過ぎる』

慶応四年五月三日(1868年6月22日)「五兵衛よ、詳しく知らせよ」 慶寧よしやすの問いに、五兵衛は頭の中で情報をすり合わせ、間違いがないか考えている。 ただの風聞では片付けられない、不穏な意味合いを持っていると考えられるのだ。「はい、申し...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第438話 『顛末とこれから』

慶応四年五月三日(1868年6月22日)「申し上げます。禁裏御守衛総督屯所より上使がお越しになりました」 張り詰めた声が静かな部屋に響く。純顕が短く応じた。「お通しせよ」 初夏の陽光が障子を通して柔らかく差し込む中、大村藩邸の奥座敷には純顕...
一強からの変化

第890話 『飢餓の進軍と死装束の長政』

慶長五年四月十日(西暦1600年5月22日) 「おお、越後屋に組屋ではないか。他にも……。何人かは見知らぬが、代替わりでもしたか? 懐かしいのう。如何いかがした?」 嘆願書を携えた十名の商人である。 昔馴染みへ語りかける穏やかな口調とは裏腹...
一強からの変化

第889話 『深夜の脱出』

慶長五年四月十日(西暦1600年5月22日) 深夜 岐阜城 半月の夜だった。 岐阜城はまるで巨大な獣が寝息を殺しているかのように、深い静寂に包まれている。 だが、その静寂は張り詰めた弦にも似て、いつ切れてもおかしくない緊張をはらんでいた。 ...
一強からの変化

第887話 『座して死を待つか』

慶長五年四月二日(西暦1600年5月14日)  春の柔らかな日差しとは裏腹に、織田家とその同盟国が治める地は、静かに、しかし確実に壊死えしし始めていた。 肥前国資本の生産業者が一斉に撤退してから、わずか1か月後である。 当初の『暴動寸前の騒...
一強からの変化

第886話 『塩が消える日』

慶長五年三月四日(西暦1600年4月17日) 尾張 清洲城下「おい、どけ! 俺が先だ!」「ふざけるな! 昨日から並んでるんだぞ!」 美濃路に面した大店、『尾張屋』の店先は、怒号と罵声が飛び交う戦場と化していた。 店の前には数百の民が殺到し、...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第427話 『薩長』

慶応四年(明治元年)三月五日(1868年3月28日) 鹿児島城「そもそも、今に始まった話では無いわ」「は」 鹿児島城内では、江戸城での一件で激高して帰ってきた島津忠義と、その父である久光、そして淀よど屋や清兵衛の三者が会談していた。 久光の...
一強からの変化

第885話 『抗えぬ国力差』

慶長五年二月二十日(西暦1600年3月16日) 岐阜城「何だと? 上様が?」 武井十左衛門は家来からの報告を受け、苦々しい顔をしている。 大日本国崩壊を受け、織田家は日ノ本大同盟以前の状態に戻り、純正から一切の干渉を受けなくなった。 信長の...
一強からの変化

第884話 『純正、問答無用』

慶長五年二月十六日(西暦1600年3月12日) 諫早城「して、殿下、この先は如何いかがなさるおつもりでしょうか。陸海軍すべて備えは十分にて、あとは殿下の号令のみにございます」「まあ待て、直茂、まだ最後の確認をいたしておらぬ。安土の政庁にて、...
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第28話 『投資家たちの驚愕」

1591年8月15日(天正19年6月26日) オラニエアカデミー 中央広場「本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます」 シャルル・ド・モンモランシーが、約30人の投資家たちを前に堂々と挨拶した。41歳の貫禄かんろく...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第423話 『パリからの帰国と国内情勢』

慶応四年一月二十五日(1868年2月18日)<徳川慶勝> ああ、ようやく終えたな。 なんとか公儀の名代としての大役を果たせたわ。 帰りは英吉利との交渉で補給の港を得た故、行きのごとく難儀ぜずにすんだわい。 はやいとこ尾張に戻ってゆるりとした...
一強からの変化

第878話 『根深き溝』

慶長四年十月十五日(西暦1599年12月2日) 大日本国議会「第二に、身分の仕来りじゃ」 純正は話を続けた。「肥前州では武士や町人、農民の別なく学び、求めればいかなる職で働いても良い。才ある者は身分を問わず登用する。商人でも農民でも、優秀で...
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第27話 『蒸気機関計画始動』

1591年5月3日(天正19年3月10日)ライデン大学 天文台「完成しました!」 ウィルは興奮した声で父ルドルフを呼んだ。「フレデリックとアドリアンさんの拡大観察装置の技術を応用して、約20倍の倍率を実現できました。レンズの組み合わせと焦点...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第406話 『研究会のその後とパリデート』

慶応三年五月十八日(1867年6月20日)フランス・パリ「確かにその面は無きにしも非ずでしょう」 渋沢が答え、通訳がフランス人に伝えている。「商人風情町人風情と、武士が町人を下に見ている風潮が、産業の発展を阻害してきたと言われても、反論はで...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第405話 『武士の商人化、商人の武士化』

慶応三年五月十八日(1867年6月20日)フランス・パリ パリ万博の日本パビリオン内に設けられた小さな会議室。 緊張感と熱気が入り混じる空間で、渋沢栄一主催の研究会が始まろうとしている。 この集まりは、当初大々的に開かれる予定であったが、現...
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第404話 『通信革命②』

慶応三年五月二十二日(1867年6月24日)パリ 大村パビリオンでは、電話機の実演が始まった。「Hallo! Kunt u mij horen?」(もしもし! 聞こえますか?) 離れた場所のもう一台の電話機からオランダ語で話しかけると、受話...
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第403話 『通信革命』

慶応三年五月十五日(1867年6月17日)パリ 朝方、日本パビリオンから叫び声が上がった。 警備を担当していた藩士が、息を切らして次郎のもとへ駆け込んでくる。「た、大変です! 大変です! 御家老様!」 次郎は慌てて起き上がり、部下の報告を聞...
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第401話 『移動と計算の革命』

慶応三年五月十一日(1867年6月13日)万博会場 晴れ渡ったパリの朝。 日本パビリオン前には前日を上回る長蛇の列ができていた。昨日の電灯実演の評判が市内に広まり、多くの見学者が詰めかけている。「兄上、もう門前にこれほどの人が……」 隼人が...
八紘共栄圏を目指して

第865話 『電信の実験とフレデリック・ヘンドリック』

慶長四年二月五日(西暦1599年3月2日)科学技術省 技術開発研究所 太田和源五郎秀政は夜明け前から実験準備に没頭していた。 目の前には、改良を重ねた電信装置が置かれている。2本の銅線と新型電池、そして信号を記録するための装置が綿密に配置さ...
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第400話 『移動と計算の革命(前夜)』

慶応三年五月十日(1867年6月12日)万博会場 日本パビリオン 電灯の実演が終わり、パリの夜も更けようとしている。日本パビリオンの初日は大成功を収め、スタッフたちは疲労と達成感が入り混じった表情で片付けを終えていた。「みんなご苦労、明日も...
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第25話 『五つの歯車がかみ合い始める』

1591年3月15日(天正19年閏うるう1月20日) ライデン「なあみんな、オレ、思ったんだけど」 フレデリックはコンパス会議の中で他の四人に提案した。「みんな、ギルドから反発を食らっているよね。シャルルおじさんは領民からの反発もあるって言...
外伝!フレデリック・ヘンドリック転生記~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~

第24話 『五人の技術者、それぞれの戦場で』

1591年2月19日(天正19年1月26日) ライデン フレデリック・ヘンドリックは(1584年1月29日~7歳/前世は51歳・伊藤英太郎)ネーデルランド総督の弟。前世は理工学者で外交官。 オットー・ヘウル二ウスは(1577年9月8日~13...
八紘共栄圏を目指して

第854話 『三国鼎立とモンゴルのオルドス・トゥメト・ヨンシエブ・チャハル・ハルハ・ウリャンカイ』

慶長三年八月一日(西暦1598年9月1日) 諫早「殿下はこれでもまだ、明が弱まるべきだと仰せになりますか――」 明国の内閣次輔、沈一貫は諫早城下の外交使節迎賓館の一室に滞在していた。 純正との初回交渉から一週間。 彼は齢六十を超え、最後の奉...
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第10話 『兄貴へ直談判②本格始動へ』

1590年4月5日 オランダ デン・ハーグ <フレドリック・ヘンドリック>「砂糖と塩、それに石けんとロウソクか」 兄貴は、ふむ、とうなずきながら、羊皮紙に書かれた計算式に目を通した。 寒い。 16世紀のオランダは寒いな。オランダの気候には慣...
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第376話 『万博とアラスカとイギリス』

慶応二年四月二十九日(1866年6月12日) 「前田殿、淀屋、と申しましたかな。商人にあのような物言いをさせて良いのでしょうか」 前田斉泰に対して、伊達慶邦が問いかけた。 慶邦はその責任感と保守的な性格から、孫三郎の放埓な物言いに眉をひそめ...
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第9話 『石けんとロウソクとストーブ』

1590年3月12日 オランダ デン・ハーグ「……さて、次は石けんだな」 オレは市場で見かけた石けんを思い出していた。 地中海沿岸、特にマルセイユ産は高級品として有名だが、主な原料はオリーブオイルとソーダ灰だ。 ソーダ灰はオランダでも手に入...
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第375話 『淀屋清兵衛の策略』

慶応二年三月十五日(1866年4月29日) 江戸 加賀藩邸「兵備輸入取締令? あの……あれは確か万延、いや安政六年に御公儀が出した法であったな」 前田斉泰が思い出しながら牧田孫兵衛(淀屋清兵衛)に聞き直した。『兵備輸入取締令』 大名・家臣に...
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第374話 『中居屋重兵衛と三野村利左衛門。牧田孫兵衛……』

慶応二年三月十五日(1866年4月29日) 大村藩邸の応接間で、次郎と中居屋重兵衛が向かい合って座っていた。 障子越しに差し込む陽光が、畳の上に柔らかな影を落としている。「久しいな、大村の海軍伝習課程を卒業して以来ではないか」 次郎はほほえ...
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第373話 『その後』

慶応二年一月二十四日(1866年3月10日) 京都病院「まずは気道の確保、それから酸素投与だ」 一之進は洪庵の顎を持ち上げ、気道を確保する。 助手はすぐにガラス容器とチューブ、マスクを組み合わせた原始的な酸素吸入器を装着した。シュコシュコと...
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第372話 『公議輿論のその先と京都病院』

慶応二年一月二十四日(1866年3月10日) 京都 明保野亭「まったく、なにゆえ斯様かよう(このよう)な世となってしまったのだ」 数名の武士と酒を酌み交わし、愚痴をこぼしているのは清河八郎である。清河の実家は裕福な商家であり、彼の行動資金の...