襲撃

『自宅のトイレが異世界に!転生者の美女2人と男1人に出会ったので、現代技術を使って産業革命を起こすことにしました』

第33話 『取引』

王国暦1047年12月11日(火)14:00 = 地球暦 2025年09月07日(土)23:38:35 <田中健太(ケント)> マグナスの弱々しい声が、静まり返った工房に響く。 自白の内容は、魔法省のヤツらの全員の動きを止めるのに十分だった...
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第32話 『拷問開始』

王国暦 1047年12月11日(火)06:00 = 地球暦 2025年09月07日(土)23:35:15 自宅兼工房 <レイナ・ターナー>『2回もオレたちを殺しに来た連中に、人道もクソもあるか』『話して分かる相手じゃない。甘いことを言ってい...
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第31話 『科学兵器の洗礼』

王国暦1047年12月10日(月)23:45=地球暦2025年09月07日(土)23:32:38.75 自宅兼工房 <田中健太> 寒い、が、緊張が寒さを吹き飛ばしている。 むしろ感覚が研ぎ澄まされているようだ。冷たい夜気が肌を刺す。 マルク...
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第30話 『夜襲』

王国暦1047年12月10日(月)09:30=地球暦2025年09月07日(土)23:26:42.5 王都中央市場 <エリカ・ハーブマン> 朝の市場は、まるで祭りのようににぎわっていた。 商人たちが大声で客を呼び込み、荷車の車輪が石畳をきし...
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第27話 『魔法(ハッタリ)は鋼(リアル)に勝てず』

王国暦 1047年12月02日(日)15:00 = 2025年09月07日 22:09:00 自宅 <田中健太> アポロと名乗る男は、穏やかな口調で言った。 その表情からは敵意を感じないが、オレは警戒を解かなかった。 魔法省の人間である事実...
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第26話 『資金調達と魔法省の魔の手』

王国暦1047年11月20日(火)13:00=2025年9月7日(日) 20:10:15 ケントの自宅「うーん、いい考えだと思うけど、ちょっと問題があるぞ」 ケントの指摘にエリカは少し眉をひそめる。「問題って何? この世界の人たちの助けにも...
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第25話 『ドライゼ銃かシャープス銃か』

王国暦1047年11月20日(火)12:00=2025年9月7日(日) 19:09:50 ケントの自宅 ケントもマルクスも、工房には休職届を出した。 必要なときは機材を使うので、休職というよりも半分独立に近い。 魔法省の攻撃から親方や職人た...
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第24話 『MPとマナの謎。そして銃武装決断』

王国暦1047年11月13日(火)13:00=2025年9月7日 18:00:15 ルナが言っていた仮説が正しいなら、ヤツらは無制限に魔法が使えることになる。 じゃあゲームでよくあるMPってないのか? ポーションの意味がないよな。あれは不足...
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第23話 『科学兵器初陣とアルゴン仮説』

王国暦1047年11月13日(火)12:23:36=2025年9月7日 18:00:00 <田中健太>「寒っ!」 湿った岩肌と重苦しい空気、鼻を刺すアンモニアとカビの匂いだ。 あまりの寒さに、洗濯していない中世の服に着替えて、オレたちは進む...
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第22話 『ベータ宇宙への帰還』

王国暦1047年11月13日(火)11:53:36=2025年9月7日 17:30:00 健太の社宅<田中健太> オレの社宅に着いたとき、空はすでにあかね色に染まり始めていた。 山城は車を降りてからずっと、疑いの眼差しで周囲を見回している。...
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11~20話の登場人物

田中 健太(たなか けんた) / ケント・ターナー 地球から異世界への転移者。自由に行き来可能。現代日本の知識を活かして活版印刷機を完成させるが、その技術が魔法省や技術省との権力闘争の火種となる。仲間と家族を守るため、モロタダ親王の庇護下に...
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11~20話のあらすじ

異世界の職人ケント・ターナーとして生きる田中健太は、仲間たちとドワーフの都から王都へ帰還する途中、野盗の襲撃に遭う。妻のレイナが背中に矢を受け瀕死の重傷を負うが、元外科医のエリカが健太の持つ現代のLEDライトを使って闇夜の緊急手術を敢行し、...
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第19話 『ヨニクロとスーパー銭湯』

王国暦1047年11月13日(火)02:23:36=2025年9月7日 08:00:00「エリカ、その山城って男に、すぐに連絡を取れるか?」 オレの言葉にエリカはハッと我に返った。「連絡先なんて……もう何年も会っていない。携帯電話も、ないよ...
信長と純正、そして教え子たち

第925話 『二者択一』

慶長九年一月六日(1604年2月6日) 諫早城「実は、先ほど申し上げた北からの知らせとは別に、南明の領内より看過できぬ知らせが届いております」 官兵衛は、手にした書状の中から数枚を抜き出して純正に渡した。「ほう、何じゃ?」「はっ。四川省、加...
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第17話 『消えるゲート』

王国暦1047年11月12日(月)21:00=2025年9月7日 05:15:51 <田中健太> 故郷を離れて未知の世界へ行く。 普通に考えれば、並大抵の決断じゃない。「私は、あなたと一緒に行きます」 最初に口を開いたのはレイナだった。「あ...
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第16話 『決断の夜』

王国暦1047年11月12日(月)19:00=2025年9月7日 05:15:01 <田中健太> アポロ・ルミナスと名乗った青年が消え去った後、工房は静まり返った。 魔導士たちは悪態をつきながら退散して、オレたちだけが残っている。 オレは目...
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第15話 『魔法vs.技術』

王国暦1047年11月12日(月) 11月の日は短い。 工房での1日の仕事を終える頃には、空はすでに深い藍色に染まり、冷たい風が職人たちの襟元を通り抜けていく。「マルクス、また明日な!」「おう、お疲れ~。あ、ケント、どうだ一杯?」「あー、そ...
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第14話 『祝宴の夜と、忍び寄る権力の影』

王国暦1047年11月5日(月) 12:00 = 2025年9月7日(日) 04:02:06<田中健太> 工房に新しい朝が来た。「おはようございます、親方!」 トムの元気な声が、朝の静かな空気に響き渡る。 孤児院育ちで身寄りのないトムの境遇...
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第12話 『癒えぬ傷と王都の喧騒~出没!悪徳商人~』

王国暦1047年10月10日(水)05:00 = 2025年9月6日(土)23:39:11<田中健太> 夜が明け、森の木々の隙間から朝日が差し込んできた時、オレたちの長い夜は終わりを告げた。 でも戦いが終わったわけではない。 むしろ、本当の...
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第10話 『火箭』

王国暦1047年10月6日(火)10:00 = 2025年9月6日(土)23:01:16<田中健太> イワオカに到着してから10日が過ぎた約束の日、オレたちは再びエイトリの工房を訪れていた。 この10日間にオレは毎日工房に顔を出して、細部の...
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第7話 『招かざる客』

王国暦1047年9月15日(日)18:00 = 2025年9月6日(土)19時34分36秒<田中健太> ガルドとの夜の話は、オレの心に重くのしかかっていた。 魔法省の監視。 今のところ実害はないけど、オレの改良を良く思ってはいないはずだ。さ...
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第1話 『価値なき歯車と、異次元の扉』

2025年9月5日(金) <田中健太・52歳> ガチャリ。 トイレのドアノブをひねって一歩、足を踏み出す。 その瞬間、オレの世界は音を立てて書き換えられた。「……ん?」 鼻をついたのは強烈なアンモニア臭。 湿った土とカビ、そして濃密な植物が...
信長と純正、そして教え子たち

第911話 『悪魔の技か、真実の証か』

慶長七年十月十八日(西暦1602年11月3日) 第2回公判が始まったが、リスボン特別法廷には前回とは違う空気が流れている。 第1回公判で、アルメイダは枢機卿すうききょうの権威を法と論理で打ち破った。 この事実が傍聴人の心から古い権威への恐れ...
信長と純正、そして教え子たち

第910話 『世界を繋ぐ線』

慶長七年九月二十五日(西暦1602年10月11日)リスボン「……重要な提案があるんです」 その言葉がセバスティアンの注意を強く引きつけた。イタリア商人たちが退出した後に執務室は急に静かになったが、すでに関心は新しい提案に移っている。 「今後...
信長と純正、そして教え子たち

第907話 『科学の盾と信仰の刃』

慶長七年三月十五日(西暦1602年5月7日)リスボン大聖堂 毒殺計画の失敗から数日が経過し、枢機卿すうききょうの憎悪は頂点に達していた。「王は悪魔に魅入られた。もはや我らが王ではない。毒を見破る術など人間の業ではないのだ。あれは間違いなく悪...
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第412話 『昭武、外交デビュー?』

慶応三年六月二十九日(1867年7月30日)「いえ、これは国際的な人道支援として当然のことをしたまでです。貴殿の感謝の言葉、しかと受け止めました」 ガウワーの言葉は丁寧だったが、その目は次郎の真意を探るように鋭く光っていた。 サラワクでの会...
八紘共栄圏を目指して

第860話 『反転攻勢』

慶長三年十二月二十九日(西暦1599年1月25日) 遼東 三萬衛「よし、攻めるぞ! この機を逃すな」 霧に覆われた草原を、凍いてつく風が吹き抜けていった。 夜明け前の空は、まだ暗く沈んでいる。 何もなければ年の瀬である。大みそかに向けて準備...
八紘共栄圏を目指して

第859話 『ブヤン・セチェン・ハーンと後のクンドゥレン・ハーン』

慶長三年十二月二十六日(西暦1599年1月22日) 遼東 三萬衛「ハーン、このままでは山東は明軍に奪い返されてしまいますぞ!」「分かっておる! しかし、今はこれが最善の策なのだ! くそう、チャハルのブヤンめ、この機に攻め寄せてくるとは、やは...
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第849話 『山東戦線と技術革新』

慶長三年四月十日(西暦1598年5月15日)「総兵大人! 敵艦隊が撤退しています!」「何?」 登州城の城壁の上で、李化龍りかりゅうは遠くに見える船影をじっとにらみつけた。しかし明らかに不自然だ。 これだけの大船団をそろえておきながら、一度も...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第372話 『公議輿論のその先と京都病院』

慶応二年一月二十四日(1866年3月10日) 京都 明保野亭「まったく、なにゆえ斯様かよう(このよう)な世となってしまったのだ」 数名の武士と酒を酌み交わし、愚痴をこぼしているのは清河八郎である。清河の実家は裕福な商家であり、彼の行動資金の...
八紘共栄圏を目指して

第828話 『ポルトガルの戦略と反乱の狼煙』

慶長元年五月十七日(1596/6/12)  リスボン「さて、宰相。この状況をどう見る?」 セバスティアン1世は大西洋の地図を見ながら、宰相のクリストヴァン・デ・モウラに質問していた。 ヨーロッパからアメリカ大陸にかけての地図だ。5月の中旬に...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第356話 『沈むゆく泥船と不協和音』

慶応元年六月二十六日(1865/8/17) 琉球「! ア、アーサー、君なのか! よく、よく生きていたな」 パークスは目を疑い、驚きと喜びの感情が入り混じる。 上海で巻き添えを食って死んだと思っていた領事館員のアーサーが、目の前に立っていたか...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第355話 『ビル・スレイター、猛り狂う』

慶応元年六月二十六日(1865/8/17) 琉球「オレはオールコック! あんたに言われてやったんだぞ! 銃もあんたが用意した! どうやるかっていうシナリオまで、準備していたじゃないか。サツマだったのは偶然だが、あんたが親玉だろうが!」 オー...
八紘共栄圏を目指して

第827話 『憔悴のフェリペ2世』

慶長元年四月二十日(1596/5/17) スペイン マドリード フェリペ2世は疲れきっていた。「陛下、この上はバンカロータ(破産宣告)するしか方法がありません」 フェリペは重々しくうなずく。「わかった。だが、これが最後にしたい。我が治世で4...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第353話 『総辞職と証人喚問』

慶応元年五月一日(1865/5/25) 生麦事件における隠蔽問題や敗戦の責任をとって、パーマストン内閣は総辞職した。 続いてエドワード・スミス=スタンリーを首班とする、第3次ダービー伯爵内閣が圧倒的多数の議席で発足したのである。 第1次、第...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第350話 『賠償金交渉と英国議会』

慶応元年二月十五日(1865/3/12) 台場大砲製造ならびに設置費用 2,870,000ポンド 艦載砲製造ならびに換装費用 33,000ポンド 艦隊運用費用 87,000ポンド 台場損害回復費用(長州) 52,000ポンド 艦船修理費用 ...
八紘共栄圏を目指して

第822話 『純正とバンテン王』

文禄四年十二月二十八日(1596/1/27) バンテン王国 一時は暴徒により占拠されていた駐バンテン肥前国大使館は、肥前国海軍艦艇から上陸した陸戦隊によって取り返された。生き残った大使館員と民間人は保護されたのだ。 同時にパレンバンから南下...
八紘共栄圏を目指して

第820話 『バンテン王国の争乱、広がる』

文禄四年十一月二十九日(1595/12/29)「手ぬるい!」 ウィラブラタの怒号が王宮に響き渡った。その声にムハンマドは拳を握りしめて凝視した。「民の怒りは正当だ。肥前国の横暴を許すべきではありません!」 ウィラブラタはそう声をあげ、ズカズ...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

時系列・あらすじ

以下、旧暦表示。随時更新します。1837年天保7年11月: 50歳の男が幕末の大村藩下級藩士に転生。若い妻と息子がいる状況に戸惑うが、純顕と純熈に仕え、列強に対抗する決意を固める。前世の記憶を頼りに、激動の幕末を生き抜こうと覚悟する。天保7...
八紘共栄圏を目指して

第808話 『イングランドのスペインへの挑戦と東洋への野心』

文禄四年一月七日(1595/2/15) イングランド ロンドン 暖炉の火がパチパチと音を立てて執務室を暖かく照らし、窓の外には、テムズ川の穏やかな流れとロンドン市街の景色が広がっている。  エリザベス1世は羽根ペンを握り、羊皮紙に何かを書き...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第322話 『国外退去ならびに臨戦態勢』

文久四年三月四日(1864年4月9日) 「急ぎなさい。私が戻るかオールコック前公使が戻るか分からないが、正直なところ良い思い出がない。できればあまり関わり合いたくない国だがな」 駐日イギリス代理公使のエドワード・セント・ジョン・ニールは、執...
八紘共栄圏を目指して

第802話 『実行』

文禄三年四月十五日(1594/6/3) 京都 その日は大日本国会議が開かれ、副首相である信長をはじめとする閣僚が集まっていた。議会制度を充実させるため、各州から1名ではなく、各県もしくは各郡から1名を選出しての議会運営を始めようと考えていた...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第310話 『和宮の懐妊と家茂上洛』

文久三年三月二十四日(1863年5月11日)  極秘  1863年3月25日 駐日英国公使館代理公使 エドワード・セント・ジョン・ニール殿 親愛なるニール殿、貴殿より届いた1862年12月20日付の書簡を読んだ首相と私は、大変驚愕きょうがく...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第303話 『ジョン・ラッセルとパーマストン』

文久二年十月二十八日(1862年12月19日) イギリス 極秘 1862年9月10日 ラッセル外務大臣閣下 横浜より、憂慮すべき事件についてご報告申し上げます。去る8月26日、生麦村において、上海の貿易商であるC.L.リチャードソン氏を含む...
東アジアの風雲

第781話 『決戦前夜』

天正二十一年三月十二日(1592/4/23)  竜岩浦 西部軍団「さて、では我らも北上するとしようか」 敵である明軍の補給物資を接収し、補給部隊の再編も終わった島津義弘が号令を発した。竜岩浦から明軍の本隊がある義州府までは約45km、2日な...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第285話 『虚々実々』

文久二年八月五日(1862年8月29日) 江戸城『英国の罠 - 仕組まれた事件』 次郎が小説家なら、この時期の出来事をこういう話題にタイトルをつけそうだ。 が、小説家ではない。 現場にいるのだ。「三郎殿、こたびは従四位下左近衛権少将への叙任...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第284話 『次郎再び江戸へ』

文久二年七月二十八日(1862年8月23日)  発 六位蔵人(次郎) 宛 御大老様 生麦デノ儀ニツキ、急ギ参府イタシタク存ジ候。英吉利カラノ問ヒニツイテハ、先ズ以テ謝罪ト真相ノ解明ガ要ルカト存ジ候 ■横浜診療所 一命をとりとめたリチャードソ...
東アジアの風雲

第766話 『哱拝対魏学曽。石嘴山の戦い』

天正十九年九月十七日(1590/10/15) 寧夏鎮ねいかちん 天正十九年四月八日(1590/5/11)に魏学曽が固原鎮こげんちんに駐屯して5か月がたっていた。 哱拝ぼはい軍と明軍の兵力を考えれば、明軍が倍以上であるがその士気は低く、仮に魏...
転生した無名藩士、幕末の動乱を生き抜く

第277話 『久光の上洛と寺田屋事件』

文久二年四月一日(1862/4/29) 京都 岩倉邸 発 諸調方しょしらべかた(諜報局) 宛 蔵人様 薩摩ノ草ヨリ報セアリ 島津三郎様 上洛ノ由 日本は次郎の活躍で不平等条約は締結しておらず、関税自主権もあり、領事裁判権も認めていない。また...
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第276話 『公儀への報告と対馬事件の国内後始末。くすぶっている火は収まるか?』

文久二年三月十日(1862/4/8)  日露間領土境界確定並びに対馬事件賠償条約と名付けられた長い条約は、批准日を1年後とした。それまでに賠償金の支払いや捕虜の返還、そして樺太(千島列島含む)におけるロシア国籍の民間人と兵の退去が行われる。...