転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル

沢森武は一見普通のサラリーマン。ある時事故に会い、気絶から覚めたら戦国時代の地方領主の跡取りとして転生していた。この異時代を生き抜くため、彼はその膨大な歴史の知識を広く浅い現代知識を活用して新しい産業を興す。南蛮貿易を活発化させ、新しい技術や商品を導入する。そして、独自の商品や技術で市場に参入し、他の商人や大名との交渉や競争に打ち勝つ。

しかし、すべてが順調なわけではない。革命的な動きは、他の大名からの敵意や嫉妬を引き起こす。彼の領地や技術を狙う者たちが次々と現れ、仲間や領民を守るための戦いに挑むことになる。

一強からの変化

第878話 『根深き溝』

慶長四年十月十五日(西暦1599年12月2日) 大日本国議会「第二に、身分の仕来りじゃ」 純正は話を続けた。「肥前州では武士や町人、農民の別なく学び、求めればいかなる職で働いても良い。才ある者は身分を問わず登用する。商人でも農民でも、優秀で...
一強からの変化

第877話 『新生 大日本国と信長』

慶長四年十月四日(西暦1599年11月21日)「斯様かような仕儀にて、ここにいたっては、乱れ騒ぎし策も立たず(混乱の解決策もなく)、殿下にご足労いただくほかないと愚考した次第にございます」 純正の御前で平伏しているのは、1か月半前から大日本...
一強からの変化

第876話 『佐世保電信開通と大日本国の動向』

慶長四年八月十五日(西暦1599年10月4日) 肥前国佐世保「接続完了!」 太田和源五郎の声が、佐世保の電信局に響き渡った。 諫早から佐世保まで、約56.5kmにわたって敷設された電信線が、ついに開通したのである。 当初は4月に完成予定だっ...
一強からの変化

第875話 『純正とフレデリックの密談と協定』

慶長四年七月二十八日(西暦1599年9月17日) 諫早城・純正私室「申し訳ありません、フレデリック殿下。本日の電信施設見学は急きょ延期とさせていただきたく」 純正は朝食後にフレデリックを私室に呼び、予定の変更を告げた。昨夜、一晩中考え抜いた...
一強からの変化

第874話 『世界技術・学術同盟』

慶長四年七月二十七日(西暦1599年9月16日)午前「殿下、和蘭(オランダ)の蒸気船から煙が上がっております!」 突然、諫早城の見張り台から報告が入った。 純正は書斎でマウリッツからの親書を読み返していたが、慌ただしい足音と共に直茂が駆け込...
一強からの変化

第873話 『金色の時計』

慶長四年七月二十六日(西暦1599年9月15日) 諫早城<小佐々純正> あー、眠……。 オレはコーヒーを飲み干しておかわりを頼み、立ち上がって伸びをする。それから頭の上で手を組んで、左右に体を伸ばした。 次に、前屈して腕を前にやろうとする。...
一強からの変化

第872話 『オラニエ公マウリッツからの使者』

慶長四年七月二十五日(西暦1599年9月14日)諫早城「申し上げます殿下! 諫早の湊みなとに蒸気で動く汽帆船。我が国の船ではなく、横に上から赤、白、青の三色の旗を掲げています!」 急ぎ足で入ってきた伝令の報告に、居室に居合わせた全員が息をの...
一強からの変化

第871話 『遠国からの知らせ』

慶長四年七月二十五日(西暦1599年9月14日)「暑い、暑い……今年は残暑が厳しいのではないか」 大陸では女真とモンゴルの争いが激化するなか、純正は諫早城の居室で、うちわをあおぎながら愚痴を言っていた。 それでも、諫早城内では各所に蒸気機関...
八紘共栄圏を目指して

第870話 『大ハーン、リンダン・フトゥクト・ハーン』

慶長四年六月四日(西暦1599年7月25日) アスト部領域 リンダン大ハーン即位式典 春の草原に清らかな風が吹いている。 小さな丘の上には、簡素ながらも厳かな祭壇が設けられ、その周囲をチャハル部とアスト部の部族民が囲んでいた。 参列者の顔に...
八紘共栄圏を目指して

第869話 『守りなき竜』

慶長四年四月十二日(西暦1599年6月4日)アスト部領域との境 チャハル部臨時宿営地 春の嵐が過ぎ去った草原に、朝の光が差し込む。 20ほどのゲルを中心に、その外側には馬と家畜の柵、さらにその外には見張りの塚が置かれていた。 中央の大きなゲ...
八紘共栄圏を目指して

第868話 『5年の計』

慶長四年三月二十六日(西暦1599年4月21日) 集落の東側 ヌルハチは馬上から集落の内部へと突入する兵たちを見渡した。予想以上に激しい抵抗に、眉を少しひそめている。「ブヤンめ……まだこれほどの抵抗力を持っていたか」 エイドゥが近づいてきた...
八紘共栄圏を目指して

第867話 『密かなる進軍』

慶長四年二月二十五日(西暦1599年3月21日) 建州女真本営 早春の風が吹き抜ける建州女真の本営。 モンゴル高原への入口に位置する本営は、女真軍の集結地となっていた。広場には1,500名を超える騎兵が整然と隊列を組み、出発の合図を待ってい...
八紘共栄圏を目指して

第865話 『電信の実験とフレデリック・ヘンドリック』

慶長四年二月五日(西暦1599年3月2日)科学技術省 技術開発研究所 太田和源五郎秀政は夜明け前から実験準備に没頭していた。 目の前には、改良を重ねた電信装置が置かれている。2本の銅線と新型電池、そして信号を記録するための装置が綿密に配置さ...
八紘共栄圏を目指して

第864話 『つかの間の平穏と技術の発展』

慶長四年正月二十五日(西暦1599年2月20日) 肥前国諫早城「あー、良い天気……」 純正は両手を頭の上で組んで伸ばし、さらに左右に倒してストレッチした。 ふうっと一息ついて縁側に座り、春の訪れを告げるかすかな梅の香りを感じながら、東アジア...
八紘共栄圏を目指して

第863話 『開封府にて。諫早にて』

慶長四年正月十日(西暦1599年2月5日) 開封府「李化龍りかりゅうよ、それに李如松。余が貴公らと約束したのは、二ヶ月の後に女真に奪われた土地を全て取り戻すことである。それがなぜ、追いやるどころか、蓬莱ほうらいを残して和睦となったのだ?」 ...
八紘共栄圏を目指して

第862話 『登州会談、決着』

慶長四年正月二日(西暦1599年1月28日) 登州城外・会談場「申し上げます! 急報でございます!」 明軍の伝令の声が高らかに響いた。「何事だ! いや待て! ホホリどの、しばし失礼を」 ただならない様子に声を上げた李化龍は、李如松に目配せを...
八紘共栄圏を目指して

第861話 『登州会談』

慶長四年正月二日(西暦1599年1月28日) 登州城外 霧の立ち込める湾に、沙門しゃもん島を経て一隻の小舟が静かに近づいていた。ホホリは和平の旗印を携え、緊張した面持ちで周囲を警戒している。 女真軍は登州全域から撤退し、登州城を中心とした蓬...
八紘共栄圏を目指して

第860話 『反転攻勢』

慶長三年十二月二十九日(西暦1599年1月25日) 遼東 三萬衛「よし、攻めるぞ! この機を逃すな」 霧に覆われた草原を、凍いてつく風が吹き抜けていった。 夜明け前の空は、まだ暗く沈んでいる。 何もなければ年の瀬である。大みそかに向けて準備...
八紘共栄圏を目指して

第859話 『ブヤン・セチェン・ハーンと後のクンドゥレン・ハーン』

慶長三年十二月二十六日(西暦1599年1月22日) 遼東 三萬衛「ハーン、このままでは山東は明軍に奪い返されてしまいますぞ!」「分かっておる! しかし、今はこれが最善の策なのだ! くそう、チャハルのブヤンめ、この機に攻め寄せてくるとは、やは...
八紘共栄圏を目指して

第858話 『鄧松と明黎国境・中原の争いやまず』

慶長三年十一月二十八日(西暦1598年12月26日) 大越国 東京(トンキン・ハノイ)「何? 肥前国から使者が来たと? ふむ、お通しせよ」 後期後黎朝の都、トンキンの宮殿で、丞相である鄭松ていしょうは使者の謁見を受けた。「よくぞ来られた。肥...
八紘共栄圏を目指して

第857話 『盤上の策士たち』

慶長三年十月三十日(西暦1598年11月28日) 海西地方 天津市 開封府で万暦帝との会見を終えた純正は、大陸三分の計が実現しようとしている今、海西地方の天津市で今後の対策を練っていた。 女真はモンゴルの侵攻を受けて防戦のために遼東へ撤退し...
八紘共栄圏を目指して

第856話 『大明皇帝朱翊鈞と肥前国王純正』

慶長三年十月一日(西暦1598年10月30日) 開封府「直茂よ、オレは初めて大陸に来たが、やはり北京の紫禁城を訪れてから開封府に来てよかったの。都なれば、その国のすべてが集まっておるであろう? ゆえにその国の力とそのゆえんの何たるかが分かる...
八紘共栄圏を目指して

第855話 『保定府会談と草原の狼煙』

慶長三年九月一日(西暦1598年10月1日) 天津衛「何だ、ヌルハチはおらんのか?」 三国戦争の調停のために渡海し、天津に到着した純正は、河間府にヌルハチがいないと知り、驚きを隠せなかった。 随行員はいつもどおり、戦略会議室のメンバーで構成...
八紘共栄圏を目指して

第854話 『三国鼎立とモンゴルのオルドス・トゥメト・ヨンシエブ・チャハル・ハルハ・ウリャンカイ』

慶長三年八月一日(西暦1598年9月1日) 諫早「殿下はこれでもまだ、明が弱まるべきだと仰せになりますか――」 明国の内閣次輔、沈一貫は諫早城下の外交使節迎賓館の一室に滞在していた。 純正との初回交渉から一週間。 彼は齢六十を超え、最後の奉...
八紘共栄圏を目指して

第853話 『新都 開封』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 開封府 黄河のほとりに広がる開封は、かつて北宋の『東京』として栄えた都だった。 三重の城壁に囲まれた街並みは、長安のような碁盤目状ではなく、複雑に入り組んだ路地と水路が張り巡らされている。 ...
八紘共栄圏を目指して

第852話 『決断』

慶長三年七月二十一日(西暦1598年8月22日) 万暦帝は決断を下した。 開平府(現在の内モンゴル自治区シリンゴル盟正藍旗南部)から順天府(北京)までは、約441km。 宣府(河北省張家口市)からは約194km、大同府(山西省大同市)からは...
八紘共栄圏を目指して

第851話 『対スペインパルチザンと李化龍のあせり』

慶長三年六月十八日(西暦1598年7月21日)「直茂、ビルカバンバの皇帝に親書は届いておろうな?」「は、そろそろかと存じます」 今年の2月にインカ帝国の皇帝から親書を受け取り、正式に国交を樹立する旨の返書を送ったのだ。 ただし、軍事支援は行...
八紘共栄圏を目指して

第850話 『登州決戦』

慶長三年五月十五日(西暦1598年6月18日) 満州国が登州に侵攻して1か月。 その間李化龍りかりゅうは敵の動きを警戒しつつ、防衛線の強化を図ってきた。しかし、事態は彼の予想以上に深刻な展開を見せている。「総兵大人! 沙門島しゃもんとうに敵...
八紘共栄圏を目指して

第848話 『山東から北京へ。寧夏の決断』

慶長三年四月九日(西暦1598年5月14日)「急報! 急報! 登州沖に大船団が出現しました! 女真の水軍と思われます!」 副官からの報告を受け、李化龍は全軍に戦闘態勢を整えるよう指示した。「おいでなさったな。女真のヤツらめ」 李化龍は城壁に...
八紘共栄圏を目指して

第847話 『ネゴシエイト』

慶長三年三月四日(西暦1598年4月9日) 諫早「これはこれはフュンドン殿、遠いところわざわざようお越し下さった」「いえいえ。伊集院殿も安国寺殿も、お元気そうでなによりです」 ヌルハチの腹心、フュンドンが肥前国首都の諫早を訪れるのは2度目で...
八紘共栄圏を目指して

第846話 『哱拝(ぼはい)の死』

慶長三年一月二十七日(西暦1598年3月4日) 寧夏 寧夏城の居室で、哱拝は苦しそうな呼吸を繰り返していた。布団の上で横たわる彼の顔は蒼白で、額には大粒の汗が浮かんでいる。「父上、お薬を」 長男の哱承恩が差し出す薬を、哱拝は手を震わせながら...
八紘共栄圏を目指して

第845話 『電気・電灯・電信』

慶長二年十二月二十日(西暦1598年1月27日) 純正が転生してから36年が経過したが、肥前国では蒸気船をはじめ、さまざまな分野で研究・開発が盛んに行われている。 軍事分野では管打式小銃の実用化が進み、炸裂さくれつ弾や榴弾りゅうだんといった...
八紘共栄圏を目指して

第844話 『渓谷の戦い』

慶長二年十月二十九日(西暦1597年12月20日)「隊長~。いつまで続けるんすか? もう2か月たちますよ」 スペイン王国ペルー副王領の兵士が愚痴をこぼした。 ビルカバンバのインカ帝国残党に対する攻撃部隊の兵士である。 インカ帝国は、1533...
八紘共栄圏を目指して

第843話 『アステカとビルカバンバ』

慶長二年八月十九日(西暦1597年9月30日)  小樽鎮守府から北米大陸西岸の探険結果と、スペイン探検隊との遭遇に関する報告が届いてから、1年半が経過している。 探険の拠点はアンカレジであったが、その後アラスカ州シトカに新たな拠点を建設した...
八紘共栄圏を目指して

第842話 『純勝の帰郷と対スペイン』

慶長二年七月七日(西暦1597年8月19日)  蒸気船の導入により、海路での航行が格段に速くなり、東北から諫早まで1か月半もかからずに往復可能となっていた。 東北だけでなく世界各地に給炭地を整備し、蒸気機関や船体の改良を経て、諫早からリスボ...
八紘共栄圏を目指して

第841話 『調略』

慶長二年五月二十三日(西暦1597年7月7日) 「さて直茂よ、わが国は明国と講和しているわけだが、無論このままではいかん。いずれ明が力を回復すれば、再び大陸統一の野望を抱くやもしれんからの」 純正は居並ぶ戦略会議室の面々を前にして、直茂に言...
八紘共栄圏を目指して

第840話 『3年後の紫禁城』

慶長二年四月八日(西暦1597年5月23日)  肥前国と講和した明国であったが、国内経済は依然として疲弊しており、復興にはほど遠い状態であった。 加えて寧夏国の独立による国土の割譲、膨大な戦費を浪費した楊応龍の乱の鎮圧は、明国にさらなる苦痛...
八紘共栄圏を目指して

第839話 『あり得ぬこと』

慶長二年二月二十二日(1597/4/8) ポルトガル リスボン 肥前国大使館「ほう……謝罪ですか」 謝罪の言葉では足りないが、国の威信と誇りに関わる問題だと親ちかしは考え、もう少し話を聞いてみようと思った。 それにしても、グスマンの変わり身...
八紘共栄圏を目指して

第838話 『条件』

慶長二年二月二十二日(1597/4/8) ポルトガル リスボン 肥前国大使館 どれくらいの時間がたったのだろうか。グスマンは言葉をしぼり出す。「奇妙な問いですが、もし閣下が逆の立場に立たれた場合、講和に応じる条件は何でしょうか?」「? 本当...
八紘共栄圏を目指して

第837話 『駐ポルトガル肥前国大使とスペイン宰相』

慶長二年二月二十二日(1597/4/8) ポルトガル リスボン 肥前国大使館「これはこれは……(招かれざる客か)予想だにしなかったお客人ですね」 駐ポルトガル肥前国大使の松浦九郎親ちかしはわずかに笑みを浮かべて来客を受け入れた。 アロンソ・...
八紘共栄圏を目指して

第836話 『明の内情と三国志』

慶長二年一月六日(1597/2/22)「なんと! それで明け渡したのでございますか?」「明け渡したのではない。そもそも誰の領土でもなかったであろうが」 大陸から戻ってきた純正に対して直茂が問いかけた。新年早々小言は勘弁してくれといわんばかり...
八紘共栄圏を目指して

第835話 『建州沿岸と豆満江』

慶長元年十一月十四日(1597/1/2)夜 へトゥアラ <小佐々純正> オレたちは問題が解決するまで滞在することになり、宿舎に案内された。『お互いに戦うつもりはない。じっくり腰を据えて話し合おう』 ヌルハチの提案を受けて、居室で一人考え事を...
八紘共栄圏を目指して

第834話 『関白太政大臣小佐々純正の大義』

慶長元年十一月十四日(1597/1/2)へトゥアラ「なぜそこまで領土を広げる必要があったのですか? 日本だけでは足りなかったのですか? 倭寇わこうは途絶えて久しいし、日本に攻め入る国もない。琉球や朝鮮と交易すればよかったのでは? 呂宋やアユ...
八紘共栄圏を目指して

第833話 『遼東では足りぬのか、沿海州では足りぬのか』

慶長元年十一月十四日(1597/1/2)へトゥアラ「はっきり言っておきますが、余は肥前国はもちろん、その冊封国である朝鮮と戦うつもりはありませんぞ」 ヌルハチはそう言って純正の言葉を待った。「戦うつもりがないのであれば、なおさら兵を引き上げ...
八紘共栄圏を目指して

第832話 『何をもって領土とするか』

慶長元年十一月十四日(1597/1/2)肥前国彼杵そのぎ郡 佐世保湊みなと『失礼いたします! こおおおおぉぉぉぉぉぉぉのおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおお馬鹿者があああああ!』「そんな感じで殿下の前で、自分の息子を力いっぱいぶん殴ったのよ」「へえ…...
八紘共栄圏を目指して

第831話 『豆満江からウラジオストク』

慶長元年九月十日(1596/10/31)「長官、なんの変哲もございませんな。海沿いに砦と言えるような代物はありませんぞ」「うむ」 海軍大臣長崎甚左衛門純景からの命令で、佐世保を母港とする第一艦隊は豆満江河口周辺を索敵していた。同時に豆満江ト...
八紘共栄圏を目指して

第830話 『地震のその後と内憂外患』

慶長元年九月一日(1596/10/22)大日本国仮設政庁 災害復興会議 地震の被害状況で言えば、発生から2か月弱しかたっていなかったが、天正地震に比べると雲泥の差があった。天正地震の際にも対策は実施されていたが、完成度が違った。 畳三畳分の...
八紘共栄圏を目指して

第829話 『領土開発省と慶長大地震』

慶長元年閏うるう七月九日(1596/9/1) 純正は肥大化する領土経営の効率化のため、領土開発省大臣の日高甲斐守喜と行政区画の再編成を協議していた。 まずは台湾と東南アジアであるが、これはあくまで領土開発省の管轄であり、陸海軍の管理地域とは...
八紘共栄圏を目指して

第828話 『ポルトガルの戦略と反乱の狼煙』

慶長元年五月十七日(1596/6/12)  リスボン「さて、宰相。この状況をどう見る?」 セバスティアン1世は大西洋の地図を見ながら、宰相のクリストヴァン・デ・モウラに質問していた。 ヨーロッパからアメリカ大陸にかけての地図だ。5月の中旬に...
八紘共栄圏を目指して

第827話 『憔悴のフェリペ2世』

慶長元年四月二十日(1596/5/17) スペイン マドリード フェリペ2世は疲れきっていた。「陛下、この上はバンカロータ(破産宣告)するしか方法がありません」 フェリペは重々しくうなずく。「わかった。だが、これが最後にしたい。我が治世で4...